歴史や民俗といった人文系の分野を専門にしたミュージアム。旧石器時代から続く神奈川の人々の営みを掴むことができます。ユニークな土偶や実物大の円覚寺舎利殿など、立体的な展示が非常に多く、見ごたえのある歴史博物館です。
歴史ある歴史博物館
馬車道駅のすぐ近くに建つ横浜市歴史博物館は、横浜正金銀行として1904年に完成した建物を神奈川県が買い取り、1967年に神奈川県立博物館として開館しました。1995年に自然史の分野が神奈川県立生命の星・地球博物館として分離し、神奈川県立歴史博物館として再整備されました。
明治初期の建物にしては少しモダンなような・・・?それもそのはず、入口となっているのは1967年に増築された新館。前述の旧横浜正金銀行については最後に書きますね。
館内は3階建て。エスカレーターで一番上まで上り、降りていきながら見るのが順路となっています。
古代の神奈川
まずは古代からスタート!神奈川県内の旧石器時代の遺跡から出土した土器や石器が展示されており、はるか昔の人々の営みを知ることができます。
縄文時代の集落のジオラマ。横須賀市にある茅山貝塚を参考に、台地に造られた集落が再現されています。よく見ると一角には、ゴミ捨て場である貝塚も。
日本列島最大級の縄文のあたまと書かれた頭部の破片。横幅20cmを越える大きな頭ですが、首から下が見つかっていないため、土偶だったのか、それとも土器につけられた顔面把手なのかはわかっていないそう。
古墳時代のハニワもいくつか展示されています。人物埴輪、馬形埴輪、円筒埴輪と、いずれも神奈川県内の古墳より出土したものです。
中世の神奈川
ときは進み、中世。武士の世が訪れ、鎌倉が中心となっていく時代です。
こちらは中世の相模国分寺(僧寺)復元模型。左に塔、右に金堂、正面奥に講堂が並ぶ法隆寺式伽藍配置となっています。
こちらは円覚寺仏殿の1/10復元模型。1573年の円覚寺仏殿再現計画の図面をもとにつくられています。鎌倉五山に数えられるお寺、かなりの規模の建築であったことがわかっているそう。
さらに、フロアの一角には円覚寺舎利殿の実物模型も。この博物館が開館する際に、県内の代表的な歴史的建築として設けられたそうです。
撮影禁止でしたが、日蓮聖人坐像や夢窓疎石坐像、平安時代の薬師如来像など、仏像や人物像も多数展示されています。
近世以降の神奈川
江戸時代に入ると、神奈川県は東海道の宿場町として川崎、藤沢、小田原、箱根などが栄えていきます。関所三道具といわれたのが、こちらの「突棒(つくぼう)・刺叉(さすまた)・袖搦(そでがらみ)」。目立つところに置いて、通行人が違反しないように見張っていたそうです。
唐突に現れる巨大な大砲。こちらは「青銅80ポンド陸用カノン砲」のレプリカ。頻繁に訪れるようになった異国船を撃退するため、江戸幕府が品川台場に設置していたものだそう。
近代コーナーには、昔の家電も展示されています。冷蔵庫、足踏み式ミシン、テレビなどレトロなものがラインナップ。手前のレトロフューチャーなものは日本語ワードプロセッサ。キー配列が現代とほとんど一緒ですね!
特別展示も開催
この博物館では、様々な企画展示も開催されています。2022/12/24(土)から2023/1/29(日)までの期間は、令和四年度かながわの遺跡展「縄文人の環境適応」を開催。別料金は不要、常設展示のチケットで合わせて見ることができます。
いきなりの土偶。こちらは秦野市の菩提横手遺跡より出土した大型中空土偶。
続いて両面顔面把手。座間市の蟹ヶ澤遺跡より出土したもの。その名の通り、反対側にも同じような顔が作られています。令和四年10月と、最近発見されたばかりのものとのこと。
ユニークなのが、クルミ形の土器。クルミのようなカタチをした器から、そのままクルミを再現したかのような土製品まで、様々な作品が作られています。クルミが身近なモチーフであったことがわかるラインナップです。
歴史的な建物にも注目
さて、展示を見終えたあと忘れては行けないのが建物の外観。入り口とは反対側へまわってみると、歴史的価値の高い建築を堪能することができます。
こちらが前述した横浜正金銀行であった建築。横浜赤レンガ倉庫も手掛けた建築家、妻木頼黄(つまきよりなか)による設計。八角形のドームを持つネオ・バロック様式で仕上げられています。
この辺りの通りはきれいに整備されており、なんだかパリの街中を歩いているような気持ちになってきます。
この建築は、関東大震災、横浜大空襲を乗り越え、1969年に「旧横浜正金銀行本店本館」として国の重要文化財に指定されます。さらに1995年には明治以降の建物としては初となる国の史跡にも指定されました。
横浜市歴史博物館に訪問の際は、外から裏側へまわるのをお忘れなく!
アクセスと営業情報
みなとみらい線の馬車道駅から徒歩1分、JR線の桜木町駅から徒歩5分、市営地下鉄関内駅から徒歩5分。
開館時間 | 9:30~17:00 |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 常設展300円 |
公式サイト | https://ch.kanagawa-museum.jp/ |
※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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