清らかな水が流れる都内屈指の古刹『深大寺』(調布市)

東京都(市町村部・多摩地区)

水神・深沙大王を祀っており、境内に多数の湧水源を擁する水と関わりの深い寺院。国宝に指定された仏像や、「角大師」を祀る元三大師堂など見どころは豊富。ユニークな名前の樹木も見ることができます。

訪問日:2024/8/31(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

都内有数の古刹

調布にある天台宗の寺院、深大寺(じんだいじ)。創建は奈良時代、天平5年(733年)と伝わっており、都内では浅草寺に次ぐ古刹といわれています。日本三大だるま市の一つ「深大寺だるま市」などでも知られるお寺です。

境内の入口となる山門は、茅葺き屋根の趣深い出で立ち。元禄8年(1695年)に建立されたものであり、境内に現存する中で一番古い建築であるそうです。

山門の先にすぐ見えてくるのが本堂。大正8年(1919年)に完成したもので、入母屋造りの棧瓦葺き仕立て。

様々な彫刻が施されたお堂ですが、目を引くのは賽銭箱の奥に並ぶ2つの文字。最初は「水」かと思ったのですが、どちらかというと「木」のような気がします。気になったので調べてみると、「植木屋さんによって奉納された木の字の燭台」というウワサが。よく見ると文字の中央の円には「植」と書かれています。

国宝仏像を安置する釈迦堂

昭和51年(1976年)に新築された釈迦堂。平成29年(2017年)に国宝に指定された銅造釈迦如来倚像を安置しています。

開帳されており参拝者は自由に見学できる・・・と思いきや拝観時間は16:30まで。混雑を避けて遅めに訪問したところ、間に合いませんでした!

この像は明治42年(1909年)に元三大師堂の壇の下から発見されたものであるそう。建立されたのは飛鳥時代後期にあたる白鳳時代とのこと。その頃の仏像は、関東ではとってもレアです。

なお、この釈迦如来像を安置するためのお堂「白鳳院」の建立を計画中とのこと。令和9年(2027)に落慶予定であるそうです。

角の生えた元三大師

本堂の隣にあるのは、慶応3年(1867年)に建立された元三大師堂。その名の通り、元三大師像を安置しています。

元三大師(がんざんだいし)というのは、慈恵大師こと良源という天台宗の僧のこと。

天台宗のトップである「天台座主」という役を務め、比叡山延暦寺の中興の祖とも知られる人物。優れた法力を持っており、自らの姿を鬼に変えて疫病を払ったという伝説も残されています。そのため、「角大師」と呼ばれる角の生えた姿で描かれることが多いです。魔除けの護符として多くの天台宗寺院で見ることができます。

眺めの良い開山堂

元三大師堂の脇の階段を上っていくと、見えてくるのが開山堂。本尊の薬師如来像とともに、深大寺の開基である満功(まんくう、まんこう)、天台宗第一祖である惠亮(えりょう)の尊像も併せて安置されているそうです。

昭和58年(1983年)の開創1250年大法会記念事業として新築されたお堂で、奈良時代様式で造られています。

高い位置にあるため、ここからは他の堂宇も見渡せます。左が本堂、右が元三大師堂。大正時代に建立された本堂に比べて、江戸時代の建築である大師堂は屋根にその歴史が詰まっているように感じます。(といいつつ、葺き替え作業が行われていたら完全な思い込みです)

水神・深沙大王

「深大寺」の名称は、仏法を求めて天竺(インド)へ旅した中国唐代の僧・玄奘三蔵を守護したとされる水神「深沙大王(じんじゃだいおう)」に由来しているそう。本堂から少し離れたところには、そんな深沙大王を祀る深沙堂が建立されています。

もともとは大師堂クラスの規模のお堂が建っていたそうですが、明治時代の神仏分離令によって取り壊しに。現在のお堂は昭和43年(1968年)に再建されたものです。

安置されている像は、髑髏の胸飾りに象皮の袴を身に着け、すさまじい形相であるそう。非常に気になりますが、秘仏であるため公開されることはないようです。

ちなみに先ほど話した「玄奘三蔵」は西遊記の三蔵法師のモデルとなった人物。それを守護した深沙大王というのは、「沙悟浄」のモデルとも言われています。髑髏の胸飾りや水との関係など、一致する部分は多いです。

境内散策で見つけたもの

水神を祀る寺に相応しく、境内には複数の湧水源があります。こちらの不動の滝は、「東京の名湧水57選」に選定されているそう。

深沙堂の裏手の祠に安置されているのは、岩に刻まれた延命観音。慈覚大師・円仁によって彫られたもので、昭和41年(1966年)に秋田県象潟港工事の際、海底より引き上げられたそうです。

釈迦堂のすぐ近くには稲が植えられています。これは木島平米というお米。調布市と姉妹都市である木島平村のお米であり、収穫された稲穂は大師堂に奉納されているそうです。

シダレカツラ、ムクロジ、巨大なキンモクセイなど様々な樹木をみることができる境内。そんな中でも異彩を放つのがこちら。

一見するとそれほど個性的な感じはしませんが、ユニークなのはその名前。この木はナンジャモンジャの木といいます。

ナンジャモンジャの木は特定の種を指すわけではないようですが、ここではヒトツバタゴのことをそう呼んでいます。5月頃に訪れると、白い花がぶわっと咲く姿を見ることができるそうです。ナンジャモンジャ目当ての方は5月がおすすめです!

アクセスと営業情報

京王線の「調布駅」からバスで12分ほど。「つつじヶ丘駅」「吉祥寺駅」「三鷹駅」からもバスが出ているようですが、本数は少な目です。

ちなみに私は今回調布駅からHELLO CYCLINGというレンタサイクルを利用していきました!

開門時間 春分~秋分:5:00~18:00
秋分~春分:6:00~17:00
料金 無料
公式サイト https://www.jindaiji.or.jp/

※掲載の情報は2024年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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