海を見渡す爽快なロケーションに造られた巨大な前方後円墳。復元整備が行われており、石葺きとハニワで装飾された姿はとっても写真映えします。上に登って自由に見学することができますが、開門時間は決まっているのでご注意。
古墳がいちばん多い県
突然ですが、日本一古墳がたくさんある都道府県ってどこかご存知でしょうか?
とりあえず世界遺産の百舌鳥・古市古墳群のある大阪府、石舞台古墳・キトラ古墳など著名な古墳の多い奈良県、西都原古墳群を有する宮崎県、さきたま古墳群のある埼玉県なんか多そうなイメージがあります。
しかし、実はいずれも1位ではありません。
正解はなんと兵庫県。古墳のイメージがあまり無かったのですが、その数はなんと約17,000基。にわかに信じがたいほどのボリュームです。ちなみに、2位以下は鳥取県、京都府、岡山県、千葉県といずれもそれほど古墳のイメージが無い府県が続いています。(参照:Wikipedia)
しっかり管理された古墳
そんな古墳大国の中で、最も有名と思われるのが今回紹介する五色塚古墳。4世紀後半頃に作られた古墳で、その大きさは全長194mと兵庫県内で最大を誇ります。斜面に密集した住宅街の中に突然現れる巨大な姿は、なかなかの迫力です。
史跡としてきちんと管理されているため、9:00〜17:00と開園時間が決められています。古墳=見学自由だと思って早朝や夕方に訪問すると、外から見ることしかできないので要注意。
また、入園料は無料ですが、受付にてどこから来たかだけの申し出が必要となります。受付のある小さな建物内では、古墳の解説パネルや出土した埴輪も展示しており、パンフレットもいただけます。
古墳を歩こう
この古墳は眺めるだけではりません。墳丘に階段が設けられているため、自由に登ることが可能!手すりも付いており、とっても歩きやすく造られています。
五色塚古墳上からみると鍵穴のようなカタチをした前方後円墳。前方部分はきれいな長方形で、なんだか広々としたテラスみたいな雰囲気。
さらに階段は続き、最も高いポジションとなる後円部分にも進むことができます。
後円部の高さは18.8m。数字だけ見るとそれほどでもありませんが、丘陵に造られているため見晴らし抜群!瀬戸内海に浮かぶ明石海峡大橋と、そこからつながる淡路島が見渡せて、とっても爽快です。
国内初の復元整備
江戸時代の絵図などに記載は見られるものの、松の木が生い茂った森となっていました。戦時中に木々は資材として伐採、戦後は食糧難が続いていたため墳丘上には段々畑がつくられていました。その後は特に管理もされていなかったため荒れ果ててゆき、明石海峡大橋の橋脚候補地としても挙げられるほどであったそう。
そんな状態を見た考古学者の坪井清足(つぼい きよたり)という人物が、積極的に調査に取り掛かります。1965年から10年の歳月をかけて発掘調査と復元整備が行われ、築造当時の姿へと蘇りました。
国内には復元整備された古墳は多数存在していますが、実はこの五色塚古墳が一番最初。それまでは「古墳=うっそうとした森」と認識されていましたが、往時の姿を復元するという動きが生まれ、実際に見て体感できる古墳が増えていきます。
ハニワと石葺き
斜面にびっしりと並べられた石葺きが印象的。復元の際に、築造時の姿を再現するために敷かれたものです。
墳丘上にはハニワがずらり。ハニワといっても、ハニ太郎的な人型ではなく、ほとんどは鰭付円筒埴輪(ひれつきえんとうはにわ)。間に上部がラッパ型の鰭付朝顔形埴輪が加えられています。これらのハニワは、出土したものをもとに合成樹脂で再現されています。
かつて、全体でおよそ2,200本もの埴輪が並べられていたと考えられています。発掘調査ではそのうち約600本が出土。受付内には、破片をつなぎ合わせて復元したものが展示されていました。
謎多き古墳
眺めが良い素晴らしいロケーションに見えますが、周辺は耕作には不向きな土地であり、さらに集落跡も見つかっておりません。現在は市街地の中にありますが、当時は人里離れた土地に造られていたということになります。
また、埋葬施設の発掘調査は行われていないため、被葬者ははっきりとわかっていません。海を見渡す立地から、明石周辺と海上交通を支配していた豪族であり、発掘された葺石が淡路島産であったことから被葬者の支配が淡路島にまで及んでいたのではないかとも考えられています。
すぐ隣にあるこんもりとした山は小坪古墳。直径70m高さ8.5mの円墳で、五色塚古墳と同じ頃に造営されたと考えられています。こちらも被葬者はわかっておらず、五色塚古墳との前後関係もはっきりとはしていません。
いったいどんな人物が眠っていたのか、造られた当時の周辺の景色はどんな感じだったのか・・・実際に墳丘の上を歩きながら考えて見るのも五色塚古墳の楽しみ方の一つです。
アクセスと営業情報
JR山陽本線の垂水駅から徒歩15分、山陽電鉄の霞ヶ丘駅から徒歩10分ほどと、車が無くてもアクセスしやすい古墳です。
車の場合は、市街地の中の細い坂道を進むため、ちょっとだけ注意が必要です。古墳の北部に広めの専用駐車場(無料)があります。
開園時間 | 9:00~17:00 |
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休園日 | 12〜3 月の月曜、年末年始 |
料金 | 無料 |
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