隅田川の川開きとともに人々の楽しみであった両国の打ち上げ花火。その歴史や花火の製造工程を知ることができる小さな資料館。無料で利用できるので周辺の観光と併せてちょこっと立ち寄るのにぴったりです。
両国花火の資料館
両国にはかつて花火師も多く江戸っ子は夏の風物詩として花火を楽しんできました。そんな花火と縁の深いまちにある両国花火資料館は、「隅田川花火大会」のルーツである両国花火の歴史を展示する資料館。住友不動産両国ビルに併設されております。
入口はビルのメインエントランスとは別で、建物向かって右奥を進んだ先にあります。看板などは控えめであるため、通り過ぎてしまわないようにご注意を。
入館料は無料!スタッフのおじさんもすごく丁寧で、入りやすい雰囲気です。
花火の製造過程
館内は1部屋だけの小さなミュージアム。各花火会社の半纏や、実物の花火玉など、花火に関連する様々な資料が並んでいます。
モニターでは、約15分の映像コンテンツも上映。日本に花火が伝来するところから、打ち上げ花火ができるまでの工程を映像で見ることができます。
花火師たちが手作業で作り上げていく花火玉。紙でできた丸い玉「玉皮」に、火薬の粒である「星」を並べて丁寧に仕上げていきます。この時点で美しさを感じます。
普段ただただキレイだと思っていた打ち上げ花火の中身を知ることができて、非常に面白いです。「菊」や「椰子」など専門用語も飛び出し、その奥深さも学べます。
現物の花火玉
壁に掛けられているのは花火玉。上から「尺玉」こと10号玉、7号玉、5号玉、4号玉、3号玉と続きます。
一番大きな花火玉は30号玉。3尺(90cm)、重さ200kgという巨大な姿。打ち上げて開花したサイズはなんと600mにも及ぶそうです。
なお、隅田川で上げられる最大サイズは5号玉とのこと。これは会場となっている隅田川の川幅による制限があるため。都市部ではない花火大会では30号玉が打ち上げられることも多く、新潟県小千谷市で開催される「片貝まつり」では玉の直径が4尺(120cm)という40号玉も打ち上がり夜空を染め上げるそうです。
立ち並ぶ打ち上げ筒
ずらりと並ぶのは打ち上げ筒。縄で巻かれた大正時代のものから現代のものまで、いろいろなタイプがそろっています。
手前の一番大きな筒は尺玉こと10号玉で、その直径は30cmほどの大きさです。さきほどの巨大な30号玉の打ち上げ筒はいったいどれくらいの大きさなのか、想像してみると面白いです。
金属製の筒はスターマイン打ち上げ筒。速射連発を行うことができる筒で、近年ではコンピューター制御も可能となっているそうです。
両国花火の歴史
花火が日本に伝来したのは1613年。徳川家康が駿府城にて日本人初の花火見物を行ったとされています。
1733年、江戸幕府は飢饉や疫病による犠牲者の慰霊のための「両国川開き」を開催します。初日に花火が打ち上げられ、これが毎年恒例の夏の一大イベントに。(※諸説あるそうです)
明治時代にもその人気は続き、戦時中に一時中断となるも、1948年には川開きが復活。1962年に交通状況悪化のために廃止となるも、1978年には「隅田川花火大会」として再開。コロナ禍による中断はあったものの、現在もその人気は続いています。
ちなみに花火を見た際の掛け声「たまや~」「かぎや~」は、花火屋の屋号がもとになっています。1659年に「鍵屋」が花火を製造開始。その後、鍵屋から暖簾分けして「玉屋」が誕生、2件は競って江戸の花火を盛り上げていきます。しかし、玉屋は1843年に火事を起こしてしまい廃業に。一方、鍵屋は現在も営業が続いています。
展示室は本当にコンパクトで、展示品のボリュームも少なめ。さらっと見るだけなら5分程度でも見れてしまいます。ただし、スタッフのおじさんのお話はとっても面白いです!他の方へ解説しているところを便乗して聴かせてもらったのですが、まるで講談を聴いているかのような巧みなトークでした。訪問する際は、ぜひいろいろ質問してみるのがおすすめです。
ひと通り展示を見ていると花火大会に行きたくなりました!
しかし訪問したのは11月末で各地の花火大会は軒並み終了したタイミング。ということで、夏前に訪問するのが良さそう。記念撮影用の花火パネルで、雰囲気だけでも。
アクセスと営業情報
JR総武線の両国駅より徒歩5分、都営大江戸線の両国駅より徒歩10分。
開館時間 | 12:00~16:00 |
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開館日 | 木、金、土、日(7・8月は毎日開館) |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://visit-sumida.jp/spot/6036/ |
※掲載の情報は2024年12月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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