知られざる洛北の巨大禅宗寺院『大徳寺』(京都市北区)

京都府

一休宗純、織田信長、千利休など、数多くの有名人と関わりの深い寺院。広大な境内には巨大な伽藍に加えて多数の塔頭寺院が集まります。見どころが多く、なおかつ公開期間が限定の塔頭もあるため事前に計画を練ってからの訪問がおすすめです。

訪問日:2025/3/30(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

歴史に名を残す古刹

京都市北区に建つ大徳寺は、臨済宗大徳寺派の大本山。鎌倉時代末期の正和4年(1315年)に大燈国師こと宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)によって開かれました。

後醍醐天皇に保護され、京都の代表的な禅宗寺院「京都五山」のさらに上位に位置付けられます。その後室町幕府が成立すると、京都五山から離脱。禅修行に専心する道を選びます。応仁の乱によって多くの伽藍を焼失するも、「一休さん」こと一休宗純によって再興。

本能寺の変の後、羽柴秀吉によって織田信長の葬儀が行われた場所でもあります。さらに、村田珠光・千利休・武野紹鴎・小堀遠州など、多くの僧や茶人と深い関係を持っています。特に千利休はその命運にかかわる話が残されていますが、それは後ほど。

清水寺や金閣寺に比べると知名度はそれほど高いわけではありませんが、著名な人物と多く関わってきた歴史を持つお寺なのです。

そして、現在においても京都有数の規模を持つ巨大な寺院。境内・境外には、なんと20を超える塔頭寺院を有しております。塔頭についても、詳しくは後ほど。

以前近くを通る際に立ち寄ろうかと思ったのですが、見どころが非常に多く「ちらっと立ち寄るのはもったいない!」と考えてずっと温めておりました。今回、やっと訪問することができました!

山門と千利休のエピソード

塔頭寺院はそれぞれ拝観料が必要ですが、大徳寺自体は拝観料はかからず、境内は自由に散策できます。

東側の総門をくぐり、最初に見える建築は、唐破風がついた豪華な姿の勅使門。慶長年間(1596~1614年)に造られた御所の門であり、寛永17年(1640年)に後水尾上皇より下賜され移築されました。基本的に閉ざされており、柵もあるため近づくことはできません。

勅使門の先にあるのは立派な山門。存在感は抜群ですが、垣根で近づくことができず、生い茂る松の木であまりよく見えません。

通り過ぎると、裏面側に立つことができました。二層の山門であり、千利休によって上層部が完成すると「金毛閣」と呼ばれていたそう。

寺は利休の恩に報いるため、上層に草履を履いた利休の木像を安置します。しかし、この木像が「門をくぐる者は利休の足下をくぐる」ということになるため豊臣秀吉の怒りを買ってしまい、利休切腹の一因となったそう。

飛天図が広がる仏殿

本堂にあたる仏殿。寛文5年(1665年)に京の豪商・那波常有(なわじょうゆう)による寄進で再建されました。

こちらは開門しており、内部を覗くことができます。祀られている本尊の釈迦如来坐像は、「京の大仏」こと方広寺の1/10サイズの模像であるそう。

天井には円とともに何かが描かれています。こちらは狩野元信による「飛天図」。雲と龍が描かれた「雲竜図」はよく見かけますが、飛天図とはどのような絵なのでしょうか。調べてみると、「飛天というのは空を飛ぶ天人や天女」のことであるそう。かなり薄れてはいますが、よく見ると左右に天女の姿を見ることができます。

仏殿の先にある法堂。 寛永13年(1636年)に小田原藩主稲葉正勝の遺志により、子の正則によって再建されました。山門同様に近づくことができず、なおかつ木々が茂っているため少し見づらいです。

内部は非公開ですが、天井には狩野探幽の作である「雲龍図」が描かれているそうです。

数多くの塔頭寺院

前述の通り、大徳寺は24もの塔頭寺院を有しています。塔頭(たっちゅう)というのは、大きな寺院の中にある独立した寺院のこと。下図のピンクのところが塔頭寺院。ぎっしりつ詰まっています。

境内を歩くと多数の寺院が並んでおり、まるで「お寺だけの町」のような姿。この雰囲気は、他ではなかなか味わうことができません。

そんな塔頭寺院ですが、そのほとんどは非公開。または公開していても期間限定であったりします。

常時拝観可能な「龍源院」「瑞峯院」「大仙院」「黄梅院」の4つ。以前は「高桐院」も常時拝観可能でしたが、2025年3月時点では拝観休止となっているようです。他にも「興臨院」「総見院」は期間限定で公開を行っています。

今回は通年公開の「大仙院」、限定公開の「総見院」、そして「芳春院盆栽庭園」を訪問してきました!詳しくは次回の記事にて。

アクセスと参拝情報

拝観時間 境内自由 ※塔頭寺院はそれぞれ異なる
料金 無料 ※塔頭寺院はそれぞれ異なる
公式サイト 不明

※掲載の情報は2025年3月時点のものです。

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