国立印刷局に併設された「お札」と「切手」をテーマにしたミュージアム。様々な技術が詰まった紙幣や、精巧なデザインの切手をたっぷりと見ることができます。他では見られないようなレアなお札&切手の姿も・・・!
王子の無料博物館
王子駅の北側に立つお札と切手の博物館。その歴史は古く、1971年に大蔵省印刷局創立100年を記念して開館しました。もともとは東京都新宿区市ヶ谷の市ヶ谷センター敷地内にありましたが、2011年3月に国立印刷局王子工場に隣接するこの地に移転しました。
入館は無料ですが、入館者票の記入は必要となります。入口に置かれているのはカウントダウンプロジェクトのプレート。新紙幣発行のカウントダウンも行っていたのですね!
1階が常設展示、2階が常設展示+企画展示となっています。展示ボリュームはほどほどなので、さらっと見るだけなら30分くらいでもいけます。
印刷技術に関わる展示
最初に展示されているのは、2024年7月に発行された新日本銀行券。実物ではなく、お札のもとになる絵である「原図」が展示されています。壁に貼られたパネルでは、偽造防止技術についての解説も。
こちらの重厚感ある機械は、スタンホープ印刷機。1800年にイギリスのチャールズ・スタンホープ伯爵が発明した手引き活版印刷機です。ここにあるものは、1850年に長崎のオランダ商館ながらが将軍に献上したもので、現存する日本最古の近代的印刷機であるそう。
令和6年度特別展「お札の誕生祭 新しいお札がやってきた!」も開催中。日本銀行から国立印刷局へ贈呈された記番号「AA000004AA」の1万円券、5千円券、千円券が展示されていました。
楽しい体験コーナー
ちょっとした体験コーナーもそなえています。こちらは1億円の重さ体験。その重量は約10kgとかなりの重さです。1枚1枚は薄くて軽い紙幣ですが、これだけ集まるとこんなにも重くなるのですね。
ケースに入った旧紙幣と新紙幣。足元のスイッチを踏むとそれぞれが動き、偽造防止のホログラム変化を体験できます。他にも、紫外線ライトで浮かぶ特殊発光インキや、顕微鏡で確認できるマイクロ文字、傾けると光るパールインキなど、様々な仕掛けを体感することができます。
日本の紙幣だけでなく、海外の紙幣も。スイスの50フラン、フィリピン1000ペソなど、世界の紙幣の偽造防止技術も体験できます。
なかなか見れないレアなお札
2階へ進むと珍しいお札がたくさん並んでいます。こちらは世界の昔のお札。写真手前に映る14世紀中国の「大明通行宝鈔」は、A4サイズくらいあるとっても大きな紙幣です。
日本の昔のお札も。加賀金沢藩札や備中岡山藩札など、江戸時代に各藩で発行された藩札がそろっています。偽造防止のためか、いずれも精巧なデザインに仕上がっていますね。
世界の紙幣も多数展示されています。アメリカのドル札、イギリスのポンド札、EUのユーロ札などだけでなく、チュニジアのディナール札や、イランのリアル札など、様々な国の紙幣がそろう。多くの紙幣は偉人の顔と数字が大きくデザインされているという共通点も。
不思議な切手の世界
さて、紙幣だけでなく切手もこの博物館のメインテーマ。その歴史やデザインの変遷などが紹介されています。
こちらは世界最初の切手であるペニー・ブラック。イギリスで発行されたものであり、ヴィクトリア女王が描かれています。
日本で最初の切手、竜文切手。左から48文、100文、200文、500文となっています。48文という半端な数字が気になりますが、発行された江戸時代には96文で100文とした特殊計算があったためであるそう。
納得しかけましたが、96文で100文として扱うのっていったいどういうことでしょうか?調べてみると「九六銭」と呼ばれるもので、明治以前には一般的な計算であったそう。理由ははっきりとしていませんが、2でも3でも4でも割れるので扱いやすかったという記載を見つけました。たしかに、96は100よりも公約数が多いのでこれは納得ですね・・・!
こちらのシートの中央に印刷されているのは、世界最大の切手。その大きさ、なんと24cm×15cm。一般的なハガキや封筒よりも大きいですが、どういうケースで利用できるのでしょうかね。
こちらのちょっと変わったカタチの切手たち、ユニークなポイントはその素材。磁器、刺繍、スキー板、タラの皮、ゴムと様々な素材でできています。切手の世界は奥が深い・・・!
さてさて、最後に私が一番気になった展示品をご紹介。
こちらは高額紙幣。旧ユーゴスラビアの「5000億ディナール」、第一次世界大戦後のドイツの「1兆マルク」、第二次世界大戦後のハンガリーの「10垓ペンゴ」、経済混乱時のジンバブエの「100兆ドル」と、意味わからないくらい高額な紙幣がずらり。
「5000憶ディナール」っていくらくらいかなと今の為替で計算してみると、なんと9150憶円!!!やばいやばい、さすがに1枚の紙が背負う価値としてオーバー過ぎます。と、Googleで調べていると、なんとメルカリに出品されている様子も!いったいどれほどの金額かと見てみると、2,000円程度で販売されています。価値観が壊れそうになりましたが、実はこの高額紙幣が発行されたのは超インフレがおこったとき。当時の日本円で410円ほどの価値であったそうです。
アクセスと営業情報
・JR京浜東北線の「王子駅」より徒歩3分
・東京メトロ南北線の「王子駅」より徒歩3分(1番出口)
・都電荒川線(東京さくらトラム)の「王子駅前」より徒歩3分
開館時間 | 9:30~17:00 |
---|---|
休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.npb.go.jp/museum/index.html |
※掲載の情報は2024年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント