茅葺きの仁王門や斜面に佇む多宝塔、神仏習合が残る妙見堂など、見どころの多い寺院。斜面を覆う苔の絨毯は、思わず写真に撮りたくなる美しさ。境内を散策していると、意外なあの植物を見つけてしまいました!
静かに佇む古刹
渡月橋や竹林の径など、人気のポイントが多くある嵐山エリア。混雑する中心部を抜けたあたりに立つのが日蓮宗の寺院、常寂光寺(じょうじゃっこうじ)。創建は安土桃山時代末の文禄5年(1596年)。小笠原秀政の母で日野輝資の養女である延壽院が開基となり、日禛(にっしん)が隠棲の地として開きました。
耽美な響きを感じる「常寂光寺」という名前ですが、仏教における理想郷「常寂光土」がその由来。境内の美しさを例えて名付けられたそうです。この寺院は応仁の乱以降の創建であるため戦火は免れており、それ以降は火災や地震などによる被害の記録も見当たりません。長い年月、静けさを守り続けた寺なのです。
入口となる山門は江戸時代の後期に造り変えられたもの。太い角材が格子状に組まれており、風通しの良いデザイン。この先に拝観受付があります。

苔の絨毯につつまれた石段
青モミジに包まれ、情緒が溢れすぎてる仁王門。本圀寺客殿の南門として建立されたもので、元和2年(1616年)に移築されました。茅葺屋根の趣深い姿で参拝者を出迎えます。

仁王門の先は2つの石段。どちらを上っても本堂へと向かうことができます。

この石段のまわりの斜面は、一面が苔に覆われています。モスグリーンの絨毯が広がる、なんとも趣深い姿。

立ち並ぶ堂宇
石段の先にある本堂。戦国武将・小早川秀秋の助力によって伏見桃山城の客殿を移築したものであるそう。建立は慶長年間(1596年-1615年)とのこと。

本堂の裏側には苔と池の庭園が広がっています。自由に腰かけられる縁側もあり、ひと休みもできます。

北極星、または北斗を象徴した妙見菩薩を祀る妙見堂。ここで祀られている妙見菩薩像は、慶長年間の保津川洪水の際に上流から流れついた像とのこと。町の集会所で祀られていたものをこの地に遷座したそうです。

なお、この妙見堂には「手水」も「鳥居」もあり、さらには「狛犬」も置かれています。おそらく明治以前の神仏習合の名残なのでしょう。
元和6年(1620年)建立の多宝塔は檜皮葺のシックな立ち姿。高さは約12m。内部は非公開ですが、釈迦如来と多宝仏が安置されているそうです。

石畳が敷かれた
本堂から先は、斜面に石畳が敷かれております。この寺院は小倉山の中腹に立っているため、境内は基本的に斜面。樹高の低い松が茂る道を進んで行くと、先ほどの多宝塔を上から眺めることができます。

最上部まで登ると、そこは展望台。京都タワーがそびえ立つ京都の中心部を一望できます。天気が良いと比叡山まで見渡せます。

ここにあるのは時雨亭跡。藤原定家の山荘の跡であり、この地で「小倉百人一首」を撰んだとされている場所です。

あれ、先ほど訪問した二尊院にも時雨亭跡ありましたね・・・?実は正確な場所については諸説あるそうです。

まさかのあの植物が登場
拝観を終えて帰り際に本堂の横を通ると、大きな鉢を見かけました。

普通に通り過ぎてしまいそうになったのですが、よく見ると何か巨大な植物が植えられています。
もしかしてショクダイオオコンニャク!?
世界一大きな花をつけることでお馴染みの植物。この姿は絶対そうなのですが、なぜここにあるのでしょうか。しかも何の案内もなくさり気なく置かれているのです。気になったので受付の方に尋ねてみたところ、やっぱりショクダイオオコンニャクでした!
ちょうど1週間前くらいに花が咲いたらしく、スマホの写真をたくさん見せてくれました。その姿はテレビで放映されたくさんの人が訪れたそうです。なお、ウワサ通り凄い臭いを放っていたとのこと。
ちなみになぜあるのかというと、住職のご趣味だそうです!こんなところでまさかショクダイオオコンニャクに出会えるなんて。なんだか得した気分でした。
アクセスと参拝情報
・JR嵯峨野線の「嵯峨嵐山駅」より徒歩約15分
・京福電鉄 嵐山線の「嵐山駅」より徒歩約13分
・阪急電車 嵐山線の「嵐山駅」より徒歩約24分
| 拝観時間 | 9:00~17:00 |
|---|---|
| 料金 | 500円 |
| 公式サイト | https://jojakko-ji.or.jp/ |
※掲載の情報は2025年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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