五重塔&夜桜ライトアップと立体曼荼羅『東寺(教王護国寺)』(南区)

京都府

京都駅の程近く、日本一の木造五重塔を有するお寺。春の夜間拝観期間中はサクラや塔が幻想的にライトアップされています。21体の仏像が並ぶ立体曼荼羅は圧巻です。

2020/3/28(土)

東寺へのアクセス

京都駅八条口から徒歩15分、もしくは近鉄東寺駅から徒歩10分。京都駅から歩いていける距離にあるため、初日や最終日にも訪問しやすいお寺です。

なお、読み方は「あずまでら」でも「ひがしでら」でもなく「とうじ」です!間違えやすいのでご注意ください。

現在の京都の東といえば祇園や東山エリア。どちらかといえば南西にあるのに、なぜ「東」寺なのでしょうか。それは、平安京のメインゲート「羅城門」の東につくられたから。もちろん当時は対を成す西寺もありましたが、火災により焼失してしまったそうです。

春の夜間拝観

京都のいくつかの観光スポットはサクラの季節にライトアップや夜間拝観を開催しておりますが、この東寺もそんな夜桜スポットの1つ。

開催期間:2020/3/14~4/12
開門時間:18:30~21:30(21:00最終受付)
拝観料:1,000円

2020年の開催要項はこんな感じで、17:00に通常拝観が終了したあと、入れ替え制となります。

門をくぐるとすぐに広がるファンタジックな世界。宝蔵のまわりの堀に浮かび上がるライトアップはとっても幻想的です。

夜桜ライトアップ

以前3月上旬に訪問した際はサクラがまだ咲いていませんでした。しかし、3月下旬に訪問した今回は見事に咲き乱れるサクラに出会うことができました!夜の闇に浮かび上がる白やピンクの花に、春の訪れを感じます。

なんといっても目を引くのは境内中央にそびえる不二桜。高さ13m、樹齢120年といわれる大木で、円山公園のしだれ桜をわずかに上回ります。ひときわあざやかなピンク色で優しく輝いています。

どうしてもサクラに目が行ってしまいますが、ライトアップされた柳も非常に美しい。暗闇にグリーンが映える様子が凄く新鮮です。

東寺といえば五重塔

東寺の五重塔は、京都を代表するといっても良いくらいの存在感ある伽藍。高さは54.8mで、木造塔の中では日本一の大きさです。

五重塔とサクラのコラボレーションもこの季節ならでは。

ところで、五重塔ってお寺でよく見かけますが、いったい何なのでしょうか?
塔の起源は、釈迦様のお墓であるストゥーパ。このストゥーパは、「とう」の語源でもあるといわれています。ストゥーパは半球型をしていますが、中国を経由し日本に渡る過程で、五重塔のような楼閣型に変化していったといわれています。

五重塔は地・水・火・風・空という、仏教の五大思想を表しているそうです。だから五重になっていてそれぞれの層が地や水を司っている・・・かと思いきや、そうではない様子。

・・・基礎
・・・塔身
・・・笠
・・・請花 ※屋根の上に乗る飾り部分のこと
・・・宝珠 ※請花のてっぺんに乗る装飾のこと

このように、5つの階層というより、パーツ毎に分かれているようです。となると、五重である理由は別にあるのでしょうか。

五重塔より高い建物

ライトアップされた五重塔は荘厳な雰囲気。塔そのものの重厚さももちろんですが、バックにビルなどの近代的な建物が映り込まないという点もポイント。

京都は歴史的な景観を守るため、建築物には高さ制限が設けられています。「五重塔以上の高さの建物は建てられない」なんて噂も耳にしたことがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。

さらっと調べてみたところ、地区により差がありますが、2020年現在では31mが最大と決められているようです。これまでも時代によって制限される高さは変化してきましたが、基本的には五重塔の高さ以下は保たれてきています。

なお、様々な事情により建設された、この五重塔より高い建物も存在しています。気になったので調べてみたところ、7つの建築物が見つかりました!

【東寺五重塔より高い建物】
・京都タワー 131m
・日本電産本社ビル 100.6m
・NTTドコモ京都ビル 100m
・京セラ本社ビル 94.82m
・NTTコミュニケーションズ京都南ビル 66.6m
・京都駅ビル 59.8m
・京都ホテルオークラ 58m

なんだかんだ高い建物がたくさん建っているのかと思いきや、まだ7つなのですね。ただ、都市計画に基づき、一部地域では規制緩和の動きもあるそう。やはり、街の発展に高層ビルは不可欠なのでしょうか。

深い歴史を持つ金堂

夜間拝観期間は、金堂&講堂の諸堂見学も可能です。どちらも非常に多くの仏像が並んでおり非常に壮観ですが、残念ながら撮影は禁止されています。

金堂というのは東寺の本堂。内部は、真っ暗な中にろうそくの明かりが灯る神秘的な空間となっています。本尊の薬師如来を中心に、日光菩薩・月光菩薩、十二神将などの仏像が静かに安置されていました。

794年に平安京遷都が行われ、都が現在の京都市街地へ移ります。京を守るために東寺が造られましたが、最初に建ったのがこの金堂。1486年に焼失しており、現在の金堂は豊臣秀頼によって再建されたものになります。

立体曼荼羅の講堂

金堂が顕教であるのに対し、講堂は密教の世界。中央には宇宙の中心である大日如来、四隅には四天王が配置されており、合計21体と非常に多くの仏像が並びます。

この仏像群は立体曼荼羅と呼ばれています。通常、曼荼羅といえばたくさんの仏様が描かれた布。そこには密教の思想世界が表れています。それを、実際の仏像で立体的に表現したのがこちらの立体曼荼羅。

密教の世界

仏像が並ぶ講堂の中で、一番印象的だったのが、八臂(8本腕)の降三世(ごうざんぜ)明王。手をクロスさせて小指をつなぐ独特の印相を示しており、足下には何かを踏みつけています。

気になったので調べてみたところ、これは最も教化しがたい外教の最高神・大自在天とそのお妃である烏摩(うま)を踏みつけています。
外教というのはヒンドゥー教のこと。その最高神ということは、なんと、シヴァ神とその妃であるウマー(パールヴァティー)を指しています。降三世明王という名前は「三つの世界を収めたシヴァを下した明王」という意味を持つそう。

現代日本で暮らしていると、宗教同士の対立を目にする機会は少ないです。まして仏教が他宗教に対して攻撃的な姿勢を見せるところに違和感すら感じてしまいます。
しかし、そもそも密教というのは、ヒンドゥー教に対抗するべく成立した仏教。このような姿勢は当然の成り行きなのではないでしょうか。


これにて京都旅行2日目はおしまい。明日は最終日。嵯峨野・嵐山エリアへ向かいます!

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