水に浮かぶシンメトリーの美学『平等院鳳凰堂』(宇治市)

京都府

鳳凰が翼を広げたように広がる鳳凰堂。池に浮かぶ様に建つその姿は極楽浄土を表しています。内部拝観も可能なので、時間を調整して訪問するのがおすすめです。

【情報】
庭園:8:30~17:30 600円
鳳凰堂内部:9:30~16:10 300円
公式サイト:https://www.byodoin.or.jp/
訪問日:2020/3/27(金)

鳳凰堂へのアクセス

平等院鳳凰堂のある宇治市は京都の中心部から少し離れているため、電車で向かうのが一般的。京都駅からJR奈良線で20分ほどのJR宇治駅が最寄り駅で、そこから徒歩10分程で到着となります。祇園方面から向かう方は京阪線の京阪宇治駅から歩いても徒歩10分ほどでアクセスできます。

今回は京都駅から向かったのでJR線を利用しました。平等院鳳凰堂のように左右対称に広がるJR宇治駅。

JR宇治駅の前にある郵便ポストは、なんとお茶壷。こちらは宇治市制施行50周年を記念して2001年に設置されたもの。宇治といえばお茶の産地として全国的に有名ですよね。

宇治駅から鳳凰堂までの道のりは商店街。飲食店やカフェがあるのですが、そこには抹茶スイーツ、茶そば、抹茶ラーメンなど、とにかく抹茶推しのメニューが並びます。

まだお店はオープンしていないため、さくっと歩いて鳳凰堂の受付に到着。拝観料の600円を払って境内へと入ります。

シンメトリーの鳳凰堂

平等院は、平安時代に関白・藤原頼通(よりみち)が、父である道長(みちなが)から譲り受けた別荘を寺に改めたのがはじまりの寺院。門をくぐるとすぐに目に入る鳳凰堂。均整の取れた建築が水面に映る様子はただただ美しいです。

左右に翼廊と呼ばれる三層櫓が組み上がっており、斜めから見るとお堀に囲まれた要塞のような雰囲気も。

屋根には一対の鳳凰が向かい合うように設置されています。キラキラと輝くこの鳳凰は、実はレプリカ。本物は鳳翔館にて保存されております。

鳳凰堂のまわりは、ほぼ一周することが可能。正面からの印章が強いですが、横から見るとまた違った印象になります。

鳳凰堂といえば10円硬貨のデザインでもなじみ深い。せっかくなので10円玉と一緒に写真に撮ってみました。もっとキレイな10円玉硬貨を用意してくれば良かったです。

ちなみに10円玉硬貨ではお堂が乗る基礎の部分「基壇(きだん)」のデザインが異なっています。これは昭和の修理の際に当時の姿が判明し、造り変えているからだそう。

抹茶色の浄土式庭園

鳳凰堂ばかりに目が行ってしまいますが、美しく手入れされた庭園も見どころの1つ。まるで鏡の様な水面の阿字池は、ゆるやかな曲線でとても優雅。

枝垂れサクラが咲く箇所は、絶好の撮影ポイント。宇治にいるせいか、緑色の池がだんだん抹茶に見えてきました。

平安時代から鎌倉時代にかけて、極楽浄土をイメージして造る浄土式庭園が現れますが、平等院の庭園はその初期にあたります。

浄土式庭園の特徴は池泉と、そこに浮かぶように建つ阿弥陀堂。西に阿弥陀如来の極楽浄土があるという浄土教の理念に基づいており、池の西側に阿弥陀堂を配置し、それを東側から拝むように造られています。

現在残っている浄土式庭園はとても少なく、平等院の他には、奈良県の円成寺、岩手県の毛越寺、福島県の白水阿弥陀堂などがあります。

池を眺めていると、水中に丸い石を2つ見つけました。これはもしかして、鳥居を建てる台石ではないでしょうか?詳しいことはわかりませんが、かつてこの阿字池には鳥居が建っていたのかもしれません。

黄金の如来像が安置された堂内へ

池越しに見るだけでなく、鳳凰堂内部に入ることも可能。ただし定員が40名と定まっているため、別途受付が必要となります。

9:30から20分毎に開始時間が定められており、受付にて希望の時間を指定して時間券を受け取ります。ピーク時には1時間以上待ちが出ることもでるらしいので、平日や朝イチなどを狙うのが良さそうです。

係員さんの案内のもと、向かって右側から橋を渡って堂内へ。靴を脱ぐ、内部撮影NG、壁や柵に触れることは禁止などいくつかのルールがあります。

堂内中央に鎮座するのは、3m近い大きな阿弥陀如来像。複数の木材をつないだ寄木造りですが、継ぎ目などは全く見えない仕上がりです。平安時代の仏師・定朝(じょうちょう)の、現存する唯一の作品といわれています。

※パンフレットの写真をお借りしています

堂内の壁面には、雲に乗った小さな仏像・雲中供養菩薩像(うんちゅう くよう ぼさつぞう)が52躯勢揃い。名前が南4号像、北12号像など番号で示されているのですが、もしかして詳しくわかっていないからなのではないでしょうか。

なお、阿弥陀如来像は外からも見ることが可能。もし内部見学に参加しない場合は、鳳凰堂正面から中心部分をよく見ると金色に輝く御姿を拝むことができます。

 

ミュージアム鳳翔館

宝物館の老朽化にともない、2001年にオープンした博物館。自然光を取り込むように設計された建築や、国内最大級のガラスウォールケーズなど、デザイン性の高い展示で、まるで現代美術館のようです。地中に埋まるように造られているところも、直島の地中美術館のような雰囲気。この建築を手掛けたのは栗生明。植村直己冒険館や岡山市美術館を手掛けた人物です。

館内は撮影禁止のため写真はありませんが、重要文化財である十一面観音像や国宝に指定されている梵鐘などが展示されています。


※パンフレットの写真をお借りしています

鳳凰堂内部の装飾を再現した部屋や、雲中供養菩薩像の彩色想定復元像など、内部拝観の後に来ると楽しめるポイントが多い。映像コンテンツもあり、とてもわかりやすいです。

鳳凰堂屋根の両端に付けられた鳳凰の実物も保管されており、間近で見ることができるのもポイント。風切り羽や尾羽はそれぞれ別々で鋲により組み立てられていおり、じっくり見るとメカっぽい要素を感じます。

怒涛のグッズ展開

鳳翔館出口にあるミュージアムショップには様々な平等院グッズが並びます。クリアファイルやトートバッグ、10円玉風のマグネットなど、鳳凰堂や鳳凰をあしらったグッズはカッコいいデザインが多いです。

中でも、鳳凰堂壁面に並んでいた52体の雲中供養菩薩像のグッズはかなりユニーク。なんと、52体それぞれ独立してポストカード化しています。推し菩薩像がある方は、お気に入りだけチョイス可能です。

また、菩薩像それぞれの持つ楽器をあしらったストラップや、52体という数を活かした「雲中トランプ(800円)」(ジョーカーは鳳凰)などもあり、グッズ展開のバリエーションはとっても豊か。

多様なグッズを眺めていると何か欲しくなったので、クリアファイルを3種類購入しました。旅先でいただいたパンフレットなどをまとておくのにとっても便利!

 


このあとは、宇治の見どころが並ぶ散策路・さわらびの道を通って京阪線の宇治駅へと向かいます。

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