朝霧橋、宇治神社、宇治上神社、源氏物語ミュージアムを繋ぐ、宇治の観光スポットが連なる道。源氏物語にも所縁のある風情ある散策路です。平等院鳳凰堂を拝観した後、この道を通って京阪宇治駅へ向かいました。
宇治川を越えて『さわらびの道』へ
さわらびの道は宇治駅近くに延びる、源氏物語ゆかりの散策路。宇治神社、宇治上神社、源氏物語ミュージアムといった宇治の観光スポットを繋いでいるため、宇治観光の定番コースとも呼べるルートです。
なお、「さわらび」は漢字で「早蕨」と書き、春に芽を出した「蕨(わらび)」のこと。源氏物語48帖のタイトルであり、春の季語でもあります。
平等院鳳凰堂からさわらびの道へ向かうにはクリーム色の橘橋を渡ります。眼下に広がる宇治川は、とても穏やかで鏡の様です。
渡った先は宇治川に浮かぶ宇治公園。川沿いには神代曙や江戸彼岸などのサクラが植えられています。続く朝霧橋を渡ると道の入口へ。
渡ってすぐの小さな公園には、ヒカルゲンジという品種のつばきも植えられています。1〜4 月が花期とのことで、淡く絞りの入った品のある花を咲かせていました。
ウサギがたくさん『宇治神社』
朝霧橋を渡った先には朱色の鳥居をくぐると、宇治神社の境内へと入っていきます。朱色の玉垣に囲まれた本殿は、桧皮(ひわだ)葺きでとっても趣があります。
この宇治神社の境内には、あちこちにかわいらしいウサギが隠れています。
手水舎にもウサギ。龍やカメは見かけますが、ウサギから水が出ているのは珍しい。どちらかといえばカッコイイ路線のウサギで、今にも手水の中に飛び込みそうな躍動感たっぷりの造形です。
なぜウサギがいるかというと、この神社には「みかえり兎」のお話が伝わっているため。御祭神である菟道稚郎子命 (うじのわきのいらつこのみこと)が河内(大阪)に向かう際、道に迷って困っていたところ一羽のウサギが前に現れ、振り返りながら道案内をしたという伝説が残されています。
この伝承から、人々が道徳に叶った正しい人生の道を歩むように案内してくれるとのことで、うさぎを神様の使いとして祭っているのです。宇治という地名も、もともとは菟(うさぎ)の道と書いて菟道(うじ)と呼んでいたことがはじまりとも言われています。
本殿の右側にはパワースポットと呼ばれるポイントがあります。伊勢神宮遥拝所と書かれた札の下には横たわるウサギの姿が。
こちらは「願いうさぎ」と呼ばれており、ここで願い事をすると、うさぎが正しい道へと導いてくれるそうです。
清らかな水が湧く『宇治上神社』
宇治神社の先には宇治上神社。世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一社であり、江戸時代までは宇治神社とニ社一体を成していました。
境内に踏み込むと、まず目に入るのは立派な拝殿。縋破風(すがるはふ)の屋根は、角を落としたような独特の曲線を描く。一見すると左右対称に見えますが、実は異なっている部分があります。
その前には一対の円錐の盛り砂があります。こちらは「清め砂」。9月1日の八朔祭で氏子によって奉納され、境内を清めるため一年間盛られ続けているそう。
神社クイズや参拝のしおりを無料配布しているのですが、これがとってもわかりやすくて面白い!境内散策の前に、ぜひ手に取ってご覧ください。
拝殿の奥には本殿が。前面が格子状になっており、中にある3つの内殿を拝観することができます。
本殿の隣に置かれた大きな石。これは、かつてここに社があった社跡。神聖な場所のため、人が踏まないように大きな石を置いているそう。
境内でこんこんと湧いているのは、宇治七名水の1つ桐原水(きりはらのみず)。そのまま飲用には適さないため、口には入れず手を清めるのに使用します。他の七名水はどこにあるのか調べてみたところ、現存しているのはこの桐原水のみであるそう。
やってなかった『源氏物語ミュージアム』
源氏物語の魅力を知ることができるミュージアム。2018年9月にリニューアルされた館内は、シアターや立体模型、デジタルコンテンツが並び、平安時代の世界を体感できます。
休館日:月曜、年末年始
料金:600円
なんと3/30まで臨時休館中でした!!でもここまで来たので、せっかくだからちょっとだけ源氏物語について調べてみました。
源氏物語は平安時代、紫式部によって書かれた長編小説。平安貴族の暮らしや恋愛観、藤原氏による摂関政治など、当時の社会や文化が描かれた作品です。現代では20ヵ国語以上に翻訳され、世界的に評価されています。
概要を見てみたのですが・・・
・全54巻の3部構成
・文字数は100万文字
・登場人物500人
・約800首の和歌が登場
・70年に渡る出来事が描かれている
全ての数字のスケールが大きすぎて、とても気軽に踏み込めそうにありません。いずれ源氏物語ミュージアムが再開したら、また来ようと思います。
源氏物語ミュージアムからは京阪線の宇治駅がすぐ近く。宇治に来る際は京都駅からだったためJR宇治駅を利用しましたが、この後は祇園方面へ向かうため京阪線がとっても便利。
京阪宇治駅はコンクリートが曲線を描いており、何とも魅力的な建物。南海ラピートのデザインも手掛けた若林広幸さんという建築家の作品で、グッドデザイン賞を受賞しています。
30分ほど電車に乗って祇園へ向かいます。
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