岩崎家3代が築いた明治を代表する回遊式林泉庭園。水鳥が集まる大きな池には、飛び石や島が浮かんでいます。園内には全国から集められた様々な石が並んでおり、石の博物館としても楽しめる庭園です。
明治を代表する日本庭園
江戸の面影が残る深川エリアを代表する観光スポット、清澄庭園。入園口は一ヶ所であり、清澄白河駅から徒歩3分ほどのところにあります。
江戸時代の大名屋敷を三菱財閥創業者の岩崎弥太郎が買い取り、弟である岩崎弥之助、長男である岩崎久弥と岩崎家3代にわたって造成されてきました。大正13年(1924年)、岩崎久弥によって東京市に寄付され、その後は市の公園として利用されていくことに。
大泉水と名付けられた大きな池を中心とした「回遊式林泉庭園」。かつては隅田川の水をひいていたという池であり、アオサギ、ヒドリガモ、キンクロハジロなど水鳥がたくさん。コイやカメも多数泳いでいます。
大泉水の見どころ
大泉水には磯渡りと呼ばれる飛び石が数ヶ所あります。石も大きく安定感はあります。
橋で渡れる島もいくつかあります。ベンチが多数設置されておりのんびりした雰囲気。カップルや仲の良い友人と訪れて、のんびりと過ごすのも良さそうです。
池の向こうに見える大きな築山は、その名も富士山。植え込みや松が、さながら山にかかる雲のようです。
池にせり出した建築、涼亭。明治42年(1909年)に建てられた数寄屋造りの建物です。現在は集会施設として、催し物などで利用可能となっています。
冬ならではの景色
もちろんサクラ、アジサイ、ハナショウブなど季節の花も楽しめます。1月に訪問したところ、サザンカ、スイセンなどの花を見ることができました。
冬ならではの光景として「雪吊り」も行われています。これは雪の重から枝を守るためのもの。雪が積もることは少ない地域ですが、冬の風物詩として行われているそうです。
マツに巻かれている「菰巻き」、これも冬ならではの光景です。てっきり雪から守るための保温などの目的かと思ったのですが、実はそうではありません。
冬になると枝先にいる害虫が越冬のために地中へ降りようとするのですが、この菰は下がきつく結んでいるため出口が無く、さらに暖かいため虫たちはここで冬を越そうとします。春が来て虫が動き出す前にこれを外して焼却することで、害虫駆除ができるという工夫なのです。
日本各地の名石
園内を歩いていると目につくのは大きな石。伊豆川奈石、伊豆網代石、生駒石、伊予青石、相州鍛冶屋石など日本各地の石が置かれています。それぞれ産地を示した立て札が設置されているため、とってもわかりやすいです。
そびえ立つのは紀州青石。青緑色の石に白い筋が入っており、アート作品のような美しさです。
こちらよ赤く輝く個性的な姿の石は、佐渡赤玉石。日本三大銘石のひとつであり、非常に高い値がつくことでも知られています。
なぜこんなに日本各地の石があるのかというと、岩崎家が自社の汽船を用いて全国から集めたそう。伊豆諸島の式根島の石もあったのですが、そこまで船で出向いたのでしょうかね。
石で造られた作品
石そのものではなく、石を加工したものも多数置かれています。こちらは高さ1.5mはあるかという大きな水鉢で、大和御影石でできています。竹から流れる水が爽やかな音色を奏でており、風流な気持ちになれます。
木々に包まれるようにそびえ立つのは九重塔。伊勢御影石でできており、江東区登録文化財でもあります。
こちらは石仏群。阿弥陀供養塔、庚申塔、馬頭観音供養塔が並んであります。由来は不明ですが、明治時代に庭園を造成する際に出土したそう。
木陰に隠れている山燈籠は、讃岐御影石でできています。自然石を利用したその独特な見た目から「化け燈籠」とも呼ばれているそうです。
いくつかの石を紹介させていただきましたが、これはほんの一部。園内には他にもいろいろな石がたっぷり!次々と登場する日本各地の名石、さらには立て札がなくとも何だか凄そうな石も。のんびりと歩いていたはずが、力技で石の魅力を叩き込まれたような感覚でした!
アクセスと営業情報
都営地下鉄大江戸線・東京メトロ半蔵門線の「清澄白河」駅A3出口より徒歩3分
開園時間 | 9:00~17:00 |
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休園日 | 年末年始 |
料金 | 150円 |
公式サイト | https://www.tokyo-park.or.jp/park/kiyosumi/ |
※掲載の情報は2024年12月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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