江戸から続く憩いの超低山『飛鳥山公園』(北区・王子)

東京都(23区)

王子駅のそばに広がる丘の上の公園。周辺住民の憩いの場的な雰囲気も持ちつつ、見どころが豊富であるため観光で訪れても楽しむことができます。江戸時代や渋沢栄一に興味がある方にもおすすめなスポットです。

訪問日:2024/9/7(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

江戸時代に整備された公園

飛鳥山公園は、東京都北区・王子駅のすぐそばにある区立公園。桜の名所として知られており、3月〜4月は花見客で大いに賑わいます。

この飛鳥山公園が人々でにぎわうようになったのは、江戸時代のこと。当時、花見を楽しめる場所は上野しかなかったため、江戸幕府8代将軍・徳川吉宗がここを行楽地として整備。1270本の桜が植えられました。明治6年(1873年)には、上野公園・芝公園・浅草公園・深川公園と共に日本最初の公園にも指定されました。

NHK大河ドラマや新紙幣で話題になった渋沢栄一の邸宅があったことでも知られています。園内には「渋沢資料館」に加えて、栄一に寄贈され国の重要文化財にも指定された洋風茶室「晩香廬(ばんこうろ)」と「青淵文庫(せいえんぶんこ)」も建っていることから、「渋沢翁のテーマパーク」というキャッチフレーズも。

アスカルゴで山頂へ

飛鳥山公園は王子駅のすぐ目の前にあります。中央口を出るとすぐに見える公園の入口。

「山」とつくだけあり、周囲よりも一段高い丘になっております。そのため、園内に進むには階段を上って行く必要があるのです。大した段数ではありませんが、夏場はなかなかハード・・・・。そんなお悩みを解決してくれるのが、こちら。

スロープカーの「アスカルゴ」。10:00~16:00と時間は決まっていますが、なんと無料で乗車することができます。

なお、車内はばっちり冷房が効いております。山頂まではわずか2分ですが、暑い季節はずっと乗っていたいくらい快適でした。

アスカルゴを降りてすぐのところにあるのが山頂モニュメント。飛鳥山の標高は25.4mであるそう。超低山ではありながらも、23区内の自然山ではおそらく第2位の高さを誇ります。(ちなみに1位は港区の愛宕山で25.7m。何かあれば巻き返せそうなくらいの差です。)

建立された多数の石碑

江戸から続く飛鳥山公園には、様々な石碑が建立されています。こちらは桜の賦の碑佐久間象山の書いた「桜賦」を、門弟であった勝海舟が碑にしたもの。明治14年(1881年)に建立されました。

飛鳥山を整備した徳川吉宗の業績を顕彰するために建てられた飛鳥山碑(あすかやまのひ)。王子権現社別当金輪寺の住職が元文2年(1737年)に建立したものです。使用石材は、紀州から献上されたものを利用しているそう。

木々に包まれるように立つ船津翁の碑。船津翁っていったい誰、と気になり調べたところ、幕末から明治にかけて活躍した農業研究科の船津伝次平のことであるそう。大久保利通の招きで駒場農学校農場監督となり、後に西ケ原の農事試験場技師として農業の発展に努めた人物。

ちなみにこの船津伝次平は、中村直三、奈良専二とともに「明治の三老農」にも数えられているそう。初めて聞く名前や単語がたくさんです!ちょっと気になりますが、長くなりそうなので今回はこのあたりで。

保存された鉄道車両

ちょっとマニアックな切り口から始めてしまいましたが、飛鳥山公園は周辺住民の憩いの場。犬の散歩やランニングしている人も多数で、児童エリアは多数の親子連れでにぎわいます。お城のような遊具は、もし子供だったら果てしなくときめいていたでしょう。

そんな児童広場のそばに置かれているのは蒸気機関車D51の853号機。昭和18年(1943年)に製造されたもので、吹田、梅小路、姫路、長岡、酒田を経て昭和22年(1947年)に役目を終えました。その総走行距離は1,942,471.3km、地球で例えると48.5周にも及ぶそうです。

蒸気機関車の隣に置かれているのは都電6080。昭和53年(1978年)まで飛鳥山公園脇の荒川線を走っていた車両です。 北区では都電のワンマン化を機会に交通局から譲り受けたそう。

この2つの保存車両は、2005年の園内整備に併せて修復・再塗装が行われ上屋が設置されました。9:00~16:30は、車両内部に入ることもできます。

児童広場の近くにはエプロンマークというカフェ&レストランも。ナポリタン、オムライス、コーヒー、ソフトクリームなどを扱う休憩スポットです。

渋沢グッズ多数のおみやげ館

園内には2021年にオープンした渋沢×北区飛鳥山おみやげ館があります。

渋沢栄一をモチーフにしたキャラクター「しぶさわくん」グッズや、武州発酵藍染めの巾着やストールなど様々な品々が並んでいます。

渋沢栄一の様々なグッズがある中でも気になったのは渋沢栄一貯金箱。これ、めっちゃお金貯まる気がします・・・!

個性的な3つ博物館

この飛鳥山公園の最大の見どころといえば、園内にある3つの博物館。

渋沢栄一の活動を広く紹介する渋沢史料館、洋紙発祥の地であることから設置された紙の博物館、北区の考古・歴史・自然を学べる北区飛鳥山歴史博物館。いずれもコンパクトながらユニークな展示を見ることができます。

次回からは、それぞれ記事にしていきますね!


ということで、最後の1枚は児童広場で見つけたゾウのすべり台。

ゾウがリアルすぎることはもちろん、気になるのは滑る部分。通常ゾウのすべり台といえば鼻部分をスロープにするのが定番ですが、そんな固定概念を否定するかのようなデザインがお見事です。

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