桜新町駅前に広がるサザエさん通りを抜けた先にあるのは、サザエさんの作者として知られる長谷川町子さんのミュージアム。彼女の集めた美術品を展示した美術館と、彼女自身の生涯や作品に焦点を当てた記念館、2つの施設が並びます。
早熟の天才・長谷川町子
まずは長谷川町子さんがどんな方なのかさらっと年表でご紹介。
1934年(14歳) 家族とともに上京、当時のらくろで一世を風靡していた田河水泡(たがわすいほう)に入門
1935年(15歳) デビュー作「狸の面」を少女倶楽部にて発表
1936年(16歳) 初の連載作品「チャッピーフーチャン」が東京日日新聞に掲載開始
1939年(19歳) 「ヒィフゥみよチャン」を国民新聞に連載開始
1940年(20歳) 「仲よし手帖」連載開始
1944年(24歳) 福岡県に家族で疎開
1946年(26歳) 「サザエさん」連載開始、再び上京して世田谷区新町へ
1957年(37歳) 「エプロンおばさん」連載開始
1966年(46歳) 「いじわるばあさん」連載開始
大正時代に生まれた長谷川町子さんは、第二次世界大戦、高度経済成長期と激動の昭和を生き抜きます。何より特筆すべきは、デビューの早さ!15歳という若さで漫画家として活動を始めた彼女は、「天才少女」と呼ばれていたそうです。
サザエさん通り
長谷川町子美術館&記念館の最寄り駅は、東急田園都市線の桜新町駅。地下にある駅で、西口・南口・北口の3つの地上出口があります。
階段を登った先には、サザエさんファミリーの銅像が勢ぞろい!3ヶ所全て、それぞれ異なる組み合わせの像が設置されています。
波平さんの頭にはしっかりと髪の毛が生えています。ワイヤー製のこの毛は、これまでに何度か抜かれてしまう事件が発生しています。直近では2019年にも起こっていますが、何度抜かれようとしっかりとまた生えてきます。
駅から南にのびる商店街はサザエさん通りと呼ばれています。配電盤やお店の壁など、様々なところにサザエさんが描かれた楽しいストリート。ここを抜けると、美術館&記念館へとつながっていきます。
長谷川町子美術館
長谷川町子さんとその姉である毬子さんが集めた美術品を展示した美術館。日本画を中心に、陶芸品や工芸品、彫刻などをコレクションしています。
館内は撮影禁止だったので、パンフレットの写真で雰囲気だけご紹介。展示室は1階と2階に1部屋ずつの小さな美術館で、静かに作品鑑賞が楽しめます。
入館時にいただけるパンフレットの裏側には、長谷川町子さんが美術館開設にいたった経緯を描いた漫画「私と美術館」が掲載されています。こちらを読んでから展示品を見ると、また少し違った気持ちで見ることができるのではないでしょうか。
こちらの美術館は、「サザエさん色」はほとんどありません。美術館開設の当初、彼女は自分自身の作品を展示するつもりはありませんでした。
しかし、ファンからの要望に答えるため一角に町子コーナーが作られました。新しく長谷川町子記念館ができた現在、そこはアニメコーナーとなっています。アニメができるまでを紹介したパネル、キャラクター紹介、磯野家の模型、書籍などが置かれています。モニターでは、実際のアニメも上映中。
長谷川町子記念館
2020年に長谷川町子生誕100周年を記念して、美術館の向かい側にオープンしたミュージアム。美術品展示がメインの美術館とは異なり、こちらは長谷川町子&サザエさんに焦点を当てた展示が中心。ファン向けの楽しい記念館です。
入口ではサザエさん、エプロンおばさん、いじわるばあさんという長谷川作品3大キャラクターが勢揃い。それぞれ別の作品ですが、3人そろって立ち話している姿は凄く馴染んでます。
館内は長谷川町子さんの生涯についての展示が充実。代表作が生まれる経緯や、時代と照らし合わせた解説を見ることができます。
展示品は撮影禁止ですが、一部撮影可能なポイントもあります。サザエさんの世界を再現した昭和の部屋では、ブラウン管テレビにサザエさんの漫画が映し出されています。
他にも、実際に読める作品や、塗り絵をテーマにしたデジタルコンテンツなど、楽しい展示が多くそろいます。Tシャツやポストカード、エコバッグなどのグッズを扱うショップ、カフェもあり、観光スポットとして楽しめる施設です。
知らない人はいないであろう超有名作品ですが、大人になってからあらためて向き合ってみると、その奥行きの深さに気づかされます。
海産物からとったサザエさんのキャラクターネームは、町子さんが福岡の百道浜(ももちはま)を眺めていて思いついたというエピソードや、幕末から続く磯野家の家系図など、いろいろな発見があって面白かったです!
コメント