東京世田谷の地に隠れるように残る等々力渓谷は、23区内で唯一の渓谷。手軽に自然を感じられるリフレッシュスポットとして人気の場所です。日本庭園やお寺、さらには古墳など見どころも多く、ローカルな観光地のような情緒も感じられます。
突然現れる渓谷
自然が恋しい!大都会・東京に暮らしていると、そう思う瞬間があるのではないでしょうか。特に真夏の猛暑日が続くと、蒸し暑いコンクリートジャングルから抜け出したい気持ちが高まります。都心から比較的近い山といえば奥多摩や秩父がありますが、それでも2時間くらいかかってしまう・・・そんなときにおすすめなのが等々力渓谷!東京都世田谷区という都心に存在している23区唯一の渓谷なのです。(※間違えて「都内唯一」と言ってしまうと、鳩ノ巣渓谷や御岳渓谷が黙っちゃいません。あくまで23区唯一なのです)
等々力渓谷のある場所は等々力駅から歩いてすぐ。とにかくアクセスしやすいのがポイントです。道路沿いに設けられた階段を降りていくと、そこは緑豊かな渓谷。一気に空気が変わるのを感じます。
渓谷入り口には、渓谷内と渓谷外の温度を示す温度計が設置されております。これによると渓谷外は26℃ですが、渓谷内は23℃と気温が3度も違うのです。暑い日はただ涼みに行く、なんて方も多いのではないでしょうか。
自然あふれるせせらぎの渓谷
渓谷に降りるとすぐに目に入るのが朱色のアーチ橋。この橋はゴルフ橋という名がつけられており、等々力渓谷を代表する景色の一つ。かつて存在したゴルフ場にちなんでこんな名前が付いているそう。
月並みの感想で申し訳ないのですが、本当にここが東京都心!?と思わせる緑豊かな渓谷が広がっています。聴こえてくるのは鳥の声と虫の声、そしてせせらぎの音。心が穏やかになっていきます。
周辺は住宅街が広がっていますが、ここは渓谷という利用が難しい地形ゆえに宅地開発されることなく残されてきたそう。
展望が楽しめる等々力不動尊
渓谷を進んで行くと、不動の滝が見えてきます。古来より滝行の場とされており、現代でも行われていることがあるそうです。
不動の滝から階段を登ると等々力不動尊へと繋がります。等々力駅の北側に建つ満願寺というお寺の別院で、不動明王を祀っています。
境内には、組み上がった舞台の展望台も。木々が生い茂っているため渓谷の姿はほとんど見えませんが、まるで山の中の展望台へ来たような清々しい気持ちになれます。
竹林が茂る日本庭園
等々力不動尊の対岸には日本庭園もあります。開園時間は決まっていますが、無料で入ることができます。
3月~10月:9:00~17:00
11月~2月:9:00~16:30
竹林や池などが造られた庭園で、飯田十基という作庭家による作品。それほど大きくはありませんが、渓谷沿いという地形を利用して造られた庭園は非常に個性的。
庭園を登り切ったところにある書院は、出入り自由な休憩スポット。軒下に置かれた木のベンチに腰かけてほっとひと休みできます。
ここには高速道路のPAエリアでおなじみの「水とお茶が飲めるウォーターサーバー」が設置されており、自由に飲むことができます。暑い日はありがたいサービスです!ちなみに水は冷水が出ますが、お茶はホットのみです。繰り返します、お茶はホットのみです。
古代から残る史跡
渓谷周辺を歩いていると、祠のようなものを見つけました。
こちらは3号横穴という古墳。渓谷内には東京都指定史跡である等々力渓谷横穴古墳が残されています。看板にはわかりやすいイメージイラストがあります。かつて有力な農民を埋葬したと考えられているそうです。
3号というからには1号と2号もあるのかと辺りを探しましたが見つかりません。どうやら跡だけしか残されていないようです。
この古墳の他にも等々力渓谷周辺には古墳がたくさん残されています。渓谷から階段を登り、町を少し歩くと玉川野毛町公園へ。
この公園にどっしりかまえるのは野毛大塚古墳。立派な帆立貝形古墳で、全長は82mとなかなかの大きさ。
この古墳は階段があり、墳丘に登ることもできます。頂上から見下ろすと、四角い造出部(つくりだしぶ)が生えているのがわかります。葬儀かなにかの儀式を行うための舞台だったと考えられていますが、いまは親御さんたちが腰かける休憩スポット。
この野毛大塚古墳は5世紀前半に造られたそう。5世紀は401~500年。1600年も昔からこの地に存在している古墳は、これまでどれだけの変化を見てきたのでしょうか。そんな壮大な古代ロマンも感じられるスポットです。
自然豊かな渓谷、お寺、庭園、そして古墳。ゆったりとお散歩するのにぴったりの場所です。とにかく都心にこんな場所が残されていたのが驚きでした。
アクセスと周辺情報
東急大井町線の等々力駅より徒歩3分。道中にはセブンイレブン、ローソン、成城石井があります。
駅からはすぐですが、その最寄り駅となる等々力駅は若干行きにくい場所にあります。アクセスが良いとさんざん書いてきましたが、何かのついでに立ち寄るようなシチュエーションはあまり無いかもしれません。
あと、渓谷内は蚊がたくさんいます!今回は少し涼しくなった9月の訪問ですが、たくさんの蚊におそわれました。気になる方は虫よけのご用意をお忘れなく!
※掲載の情報は2022年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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