安芸灘とびしま海道 Part 2 大崎下島〜岡村島(芸予諸島)

芸予諸島

安芸灘とびしま海道めぐり、後半戦は情緒あふれる港町が魅力的な「大崎下島」、愛媛県に属する終点「岡村島」をめぐります。終点から先は、船でさらなる島へと向かいます。

下蒲刈島、上蒲刈島、豊島をめぐった前半はコチラの記事にて。

安芸灘とびしま海道 Part 1 下蒲刈島〜上蒲刈島〜豊島(芸予諸島)
瀬戸内海に浮かぶ安芸灘諸島の島伝いに橋が架かる海の道・とびしま海道。まずは、歴史と文化を感じる「下蒲刈島」、古代の遺跡が残る「上蒲刈島」、インパクト抜群なサークル展望台がある「豊島」の3島へ向います。
2020/9/26(土)

【④島目】大崎下島

4つ目の有人島は大崎下島(おおさきしもじま)。江戸時代には潮待ち・風待ちの港として栄え、御手洗地区ではその名残を見ることができます。

日本一のジャングルジム

豊島から大崎下島へ渡ったすぐのところにある架橋記念公園。島をつなぐ豊浜大橋の完成を記念して造られた公園には、日本一のジャングルジムがあります。

高さ約13メートルにもおよぶ巨大な鉄パイプのお城。ジャングルジムというより工事現場の足場のようです。真下から見上げると、組み上がった鉄パイプが美しい。

骨組みの中には階段や床板が設置されているため、通常のジャングルジムと違い、手を使わずに登ることができます。足場があるのはありがたいですが、歩くとかなりきしむのでなかなかのスリル。

頂上まで来ると、そこは見晴らしの良い展望台。ブルーグレーの豊浜大橋と、そこからつながる豊島の港町がよく見えます。

※周辺には駐車場が見当たらず、近くの路肩のくぼみに停めて歩いて向かいました。また、ジャングルジムまでは草木が茂っているため、歩きやすい靴・動きやすい服装がおすすめです。

みかんメッセージ館

大崎下島・大長(おおちょう)地区の名物であるミカンの歴史を学ぶことができるミュージアム。みかん栽培に使用していた道具や、品種の解説などみかんに関する展示が詰まっています。

開館時間:8:30~17:15
休館日:年末年始
料金:無料

江戸時代より大長ではミカン作りがはじまります。戦時中にはイモの栽培が奨励されたためミカンの木は伐採されてしまいましたが、島の人々の努力で復活しました。

険しい山に囲まれた大長では、山を切り開き段々畑にしてミカンを植えていました。ジオラマをよく見ると白い線が無数に張り巡らされています。こちらの線は、なんとロープウェイ。収穫したみかんを麓まで運ぶための道具として活用していたのです。

2001年まで現役で活躍していた大長丸もそのまま展示されています。この船は漁船ではなく、農家が使用していた農船この地域では農家が船を持つことは珍しくなく、みかん箱をたっぷり積載して各地へ出荷していたそうです。

見慣れたみかんの缶詰。実は、このみかんの缶詰を初めて作ったのはここ大崎下島。加島正人という青年が独学で皮のないミカンの缶詰化に成功します。その苦難のストーリーがパネルで紹介されていました。

なお、このみかんメッセージ館は呉市豊市民センターに併設しています。トイレがとってもキレイなので、休憩がてら立ち寄るのもアリです。

御手洗町並み保存地区

島の東部にある御手洗港周辺は江戸から昭和にかけての伝統的な家屋が立ち並んでおり、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。風情ある港町は、鞆の浦のような雰囲気。飲食店やおしゃれなカフェも並びます。

駐車場は、保存地区を過ぎたあたりに「かもの駐車場」という大きめの駐車場があります。一見離れているように感じますが、町並みまで徒歩3分ほど。ここに来るということは、きっと街歩き目的で来ていると思うのでこれくらい全く気にならない距離です。
※途中に民間の有料駐車場もありますが、6時間1,000円というなかなかのお値段でした

高灯籠

石積みの堤防の先には平成元年の高灯籠(たかどうろう)がそびえます。およそ6mの大きな灯籠で、太陽の光を受けて真っ白に耀きます。こちらは1991年に再建されたもので、すぐ近くには江戸時代の高灯籠の姿も。

御手洗昭和館

レトロな町並みにぴったりはまる、昭和のおもちゃを中心に展示しているミニミュージアム。壁に貼られたボンカレーやキンチョールのブリキ看板がいかにもな外観です。

お面や面子、おはじきや塗り絵など、昭和30〜40年頃のおもちゃがびっしりと並ぶ館内。柱にしがみついただっこちゃんがかわいい。全体的に駄菓子屋さんのような楽しい雰囲気なので、昭和を体験したことがない方でも楽しい気持ちになれるはず。

 

乙女座

ピンクとグレーがかわいらしい石造りの建物。こちらは乙女座という名の劇場。無人のスポットですが、実は内部も一般公開されており見学可能です。

畳敷きの席の向こうにはステージが見えます。昭和初期に当時の町長が私財を投じて建設した施設。劇場や映画館、社交場など様々な用途で御手洗の人々に利用されてきました。

階段を登った先には、観覧席をぐるりと取り囲むように桟敷席も作られています。

舞台に上がることも可能で、舞台袖に立てば気分は出番待ちの役者さん。このまま舞台裏の楽屋まで回ることもできます。普段見ることができない裏側が見えるのは面白い。

足長小学生

「文」と書かれた白いひし形の標識。昭和に作られた標識なのですが、描かれている小学生の足が妙に長いため、今では「足長小学生」の愛称で人気の撮影スポットとなっています。

このポーズを真似してジャンプした写真を撮る「#足長小学生チャレンジ」も行われています。こんなに足を開くのはなかなか大変そうですが、検索してみると上手く撮れている方も多いです。なお、この足長小学生はTシャツにもなっており、近くにある潮待ち館などで購入できるそう。

歴史のみえる丘展望台

御手洗地区から車で5分ほど登った先にある展望台。

ここからは、切妻の瓦屋根が並ぶ町並み保存地区を上から眺めることができます。さらに海の向こうには平羅島、中ノ島、小島、岡村島ととびしま海道の島々の姿も。

周辺にはミカンの木が並んでおり、みかんと町並みがコラボレーションしたこの島らしい写真も撮れます。9月だったのでまだ青々としていましたが、もう少し寒くなってくると、黄色いミカンが見れそうです。

【⑤島目】岡村島

とびしま海道の終点、これまでの島は広島県呉市ですが、ここだけ愛媛県の今治市。島の観光スポットは、島の南部の岡村港周辺に集中しています。

岡村港

島の中心となる集落がある岡村港。大三島へ向うフェリーが出ており、しまなみ海道へと抜ける方は引き続き海道旅が楽しめます。

岡村港には「ちょうちょ島館」という名の観光案内所兼レストランもあり、カレーやあかもく丼などのメニューを扱っています。

港の向かいにあるまるせきカフェは、自家焙煎コーヒーやお肉屋さんのコロッケなどのメニューがそろいます。水色の壁が爽やか。

お汐亀松の壁画

九州筑前生まれの兄妹・亀松とお汐の物語が描かれた壁画。高さ10m、幅25mにおよぶ大きさで、非常に目立っています。案内板には兄妹の悲しいストーリーも記されていました。

とびしま海道の終点へ

愛媛県まで渡ることができるしまなみ海道とは異なり、とびしま海道は岡村島までしか橋が架かっておりません。ここからのルートは3択です。

 ①来た道を戻る
②船で大三島(しまなみ海道)へ渡る
船で大崎上島へ渡る

1つ手前の島、大崎下島の小長港からは【大崎上島行き】のフェリーが出ています。

大崎上島はとびしま海道・しまなみ海道2つの道に挟まれていながらも架橋されていません。ここまで来たのだから、渡ってみよう!続きは次回に!

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