日蓮生誕にまつわる3つの不思議『誕生寺』(鴨川市)

千葉県

日蓮宗の開祖である日蓮生誕の地に建てられた寺院。紆余曲折の歴史を経て、今も港町を見守るように佇みます。日蓮が生まれたときに起こった3つの不思議な出来事「三奇瑞」にまつわる伝説も残されています。

2021/3/26(土)

波乱万丈の歴史

千葉県鴨川市にある小湊(こみなと)は、日蓮誕生の地。その生家跡に建てられたのが誕生寺。日蓮がこの世を去る6年前の健治2年(1276)に、弟子である日家の手によって造られました。

しかし、明応7年(1498年)に明応地震によって巻き起こった海嘯により土地が陥没。伽藍は流されてしまいます。復興するも、元禄16年(1703年)の元禄地震によって再度壊滅。現在の地に移転し、水戸光圀による保護もあり再興を果たします。
これにて安泰かに見えましたが、宝暦8年(1758年)の火災によりほとんどの伽藍を焼失してしまいました。

まるで、日蓮の生涯のような波乱に満ちた歴史を歩んできた寺院なのです。

重厚な伽藍

参拝者を出迎えるのは、立派な仁王門。宝永3年(1706年)に水戸徳川家の助力のもと建立されたもので、宝暦8年の火災からも免れました。

参道を進むと見えてくるのが祖師堂。市内で最大規模の木造建築で、天保13年(1842年)に造られたものです。龍や獅子、亀などの精巧な彫刻が施されており、迫力満点。

内部にも木彫りの彫刻がびっしりと続き、天井には龍も描かれています。大きなケヤキの柱が並んでいますが、こちらはもともと江戸城改築用だったもの。用材を運んでいた伊達家の船が遭難し、これを譲り受けたそうです。

隣には、屋根の鬼瓦が安置されています。誕生寺では2018年に800年記念事業として屋根瓦の大修復を行っていたので、そのときに葺き替えたものと推測されます。近くで見ると、思っていたよりも巨大!その高さは4mにも及びます。

日蓮の生涯を知る宝物館

祖師堂のすぐ隣にある宝物館では、「誕生寺絵図」や、日延の書いた棟札などの資料に加え、江戸時代の誕生寺を再現した模型などが展示されています。入館料は500円で、開館時間は9:00〜16:00とのこと。

入ってすぐの部屋では20分の映像作品を上映しています。こちらは入館料不要で無料で閲覧可能。イラストとナレーションで日蓮の波乱万丈の生涯をわかりやすく知ることができます。

誕生にまつわる三奇瑞

この地域には、三奇瑞(さんきずい)といわれる、日蓮誕生にまつわる3つの不思議が伝えられています。簡単に説明するとこのような感じです。

①誕生水:庭の片隅で水が沸き起こった
②蓮華:浜辺に青い蓮華の花が咲き誇った
③鯛:鯛の群れが海面に現れ誕生を祝った

境内には誕生水の井戸があります。また、蓮華が咲いた場所(蓮華ヶ淵)と、海面に集まる鯛は、すぐ近くから出港している「鯛の浦遊覧船」に乗ると見ることができるそうです。

縁起物の鯛

三奇瑞の1つである鯛。この地では、鯛は日蓮の化身とされ、手厚く保護されてきました。境内には、そんな鯛を祀る鯛塚があります。毎月6日には鯛の御供養も行っているそう。

また、願満の鯛も扱っております。願いをかけて、叶ったら右目を黒く塗りつぶす、だるまさんのような縁起物です。

なお、この地域では鯛を食べないという話を耳にしましたが、実際のところどうなのでしょうか・・・?

アクセス情報

最寄り駅は安房小湊駅。徒歩なら約20分、バスを利用すれば最寄りバス停《誕生寺・鯛の浦》まで約6分ほど。このバス停は東京駅から安房小湊行きの直通バスも出ており、これに乗ると2時間ちょっとでアクセスできます。便数は1日3往復ほど。

 

日蓮の生涯については、以下の記事に簡単にまとめています。合わせてご覧ください!

山上に広がる日蓮宗の世界『身延山久遠寺』(身延町)
幾度も降りかかった災いを乗り越えて建つ、日蓮宗の総本山。本堂の墨龍や3代目となる五重塔、ロープウェイで向かう奥之院など見どころは豊富です。

コメント

  1. […] すぐ近くにある誕生寺へ訪問すると「三奇瑞」などについて詳しく知ることができます。境内にある宝物館では20分ほどの映像を無料で見ることができるので、先に見ておくとよりクルーズが楽しめます。 […]

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