レントゲン船が最後に立ち寄る島は宝島。海水浴場に温泉に鍾乳洞など、最後に相応しく様々な魅力がつまった南国の離島です。その名が示す通り、海賊の財宝伝説も残されています。疲労はMAXですがラストスパート気合いで乗り切ります!
滞在時間:2時間
年に1度、たった2日でトカラ列島7つの島をめぐる『フェリーとしまレントゲン便』。ついに最後の島宝島へと向かいます。
フィクションの世界や焼肉屋さんでおなじみの「宝島」ですが、日本には本当にその名を冠した島があるのです。その名に相応しく、海賊キャプテンキッドが財宝を隠したという伝説もあったりします。
南の楽園
小宝島と同じく、宝島はサンゴ礁に囲まれている島。青く透き通る海が本当にきれいです。
これまで各島々の港にウェルカムアートがありましたが、宝島のそれは一番大きく手が込んでいます。
サカナがたくさんですごくファンタジックな世界!と思ったのですが、よく見ると手が生えた怪しい笑顔のサカナの姿が。
なぜかタンクを背負ったサカナもいます。エラ呼吸を忘れてしまったのでしょうか・・・?なんとなく性格が良さそうです。
そして人面魚。27というナンバリングと、どことなく潜水艦のようなフォルムから乗り物のような雰囲気も。ネコバスみたいな生き物でしょうかね。
宝島ももちろん起伏の多い島ですが、集落は比較的港に近い位置にあります。良かったー!
そう思ったのですが、地図を見ていると、観音洞という名の鍾乳洞が目に入ります。宝島は海賊の財宝が隠されているという伝説残る島。そんな島にある洞窟なんて、魅力的過ぎませんか。
ただし、港からはかなり距離がありそうです。レントゲン便のスケジュールでは厳しいかも。
たまたま以前宝島に来たことある人が船に乗っていたので聞いてみたところ、『全然行けると思うよ~』との答えが!これが最後の島です。気合い入れて鍾乳洞目指そう!
鍾乳洞への道のり
下船した人々のほとんどが集落目指すなか、私は一人で山道へ向かいます。
アップダウンはありますが、これまでの島に比べたらこれくらい楽勝です。幸い生い茂る木々が日陰を作ってくれていました。
何故か脳内では「おばけなてないさ、おばけなんて嘘さ」がエンドレスリピートしてます。・・・いったい何分くらいでつくのだろうか?
帰りのことを考えると、そろそろ折り返した方が良いかも。でも、ここまで来たからにはあとちょっと、あとちょっとと進みます。
海が見えてきた!!!!
すると、すぐに鍾乳洞の入り口が・・・!!港からここまで30分弱かかりました。
鍾乳洞内部へ
薄暗い道を抜けると洞窟入り口が見えてきます。
宝島に6つある鍾乳洞のうち、最も大きいのがこちらの観音堂。少しだけですが、鍾乳洞の内部に入ることができます。軍手とヘッドライトを持ってきていてよかった!
ただよう秘境感。久米島にあった人骨が散らばる洞窟ヤジャーガマを思い出します。歩いていると、同じ船に乗っていたロードバイクのお二人と会いました。
今日もあっつい日ですが、中はひんやりと涼しい。探索できるのは入り口付近なので、宝を見つけることはできませんでした。しかし、離島の鍾乳洞はとっても神秘的でした!
小説「宝島」のモデル!?
この宝島、イギリスの作家スティーブンソンによる小説「宝島」のモデルになったという話があります。
確かに名前は一緒ですが、日本人にとってもそんなに知名度の高くない島。遠くイギリスまでその存在が伝わっていることにちょっと違和感があります。
気になったのでちょっと調べてみたところ、具体的な裏付けは見つかりませんでした。
他にもモデルといわれている島は、ケイマン諸島のケイマンブラック島、ロス諸島のルーム島、クック諸島のスワロー島など複数あります。トカラ列島よりは信憑性が高い気がします。
せめてスティーブンソンに何か日本との関係があれば・・・そう思い調べていると、なんと「吉田松陰」の伝記を執筆していたらしい!
彼の父と祖父は灯台技師。お雇い外国人を探していた明治政府とも関わりがあったのです。その繋がりでスティーブンソンは吉田松陰という人物の存在を知り、彼の伝記を書くに至ったといいます。
その調査の課程でトカラ列島が出てきたなら可能性があるかもしれないのですが、吉田松陰とトカラ列島も直接は繋がらなそう。もしかしたら、灯台技師の父と祖父がこの島と関わっていたとかあり得ないでしょうかね。
前述のキャプテンキッドが財宝を隠したという話で宝島がスティーブンソンの耳に入るくらい世界的に有名になったのかもしれない!とも思ったのですが、これは実は昭和になってから出てきたお話。スティーブンソンが宝島を書くよりもずっと後の時代です。
もっと明確な裏付けがあるかもしれませんが、この辺にしておきます。
宝島の集落さんぽ
さて、鍾乳洞からの帰り道。また30分歩くのか・・・でも、これで最後!がんばろう!!!
『乗っていくか?』
女神(おじさん)あらわる!!!
※私は青ヶ島以来、車に乗せてくれる人を老若男女問わず「女神」と呼びます。
一気に集落まで乗せてもらいました。この女神(おじさん)のお陰で時間と体力に余裕ができたので集落を散歩。
こちらはイギリス坂。宝島事件が起こった場所です。
1824年、宝島にあらわれたイギリス船。
イギリス船員は島民に牛を求めたが断られたため、その結果強奪したといわれています。それに対し役人らが応戦し、イギリス人一名が命を落としました。
このことがきっかけで日本は鎖国体制を強め、異国船打払令が出されたといわれています。もしかしてこの話がスティーブンソンの耳に入っていたら、モデルにした可能性もあり得そう。
恒例の郵便局発見。「局めぐり」の方々の姿は見えません。もう目的達成されたのかもしれません。
歩きたくない人でも楽しめる島
宝島にも温泉があります。港から近い集落にあるため、他の島に比べても、アクセスしやすいです。
私は暑かったのでスルーしてしまいました。
しかし!これまで坂道があったら諦めて船に戻っていた大阪のおっちゃんがついについに温泉に入ることができたのです!『やっと楽しめる島に来れたよ~』とほくほくしてました!良かったです!
宝島には美しい海水浴場もあります!!
集落から少し離れているので、時間の都合でカットしてしまいました。
しかし!どの島でも港のまわりを少し散歩しては船に戻ってひたすら飲み続けていたへべれけおじさんコンビは海水浴をしたとのこと!『やっと港以外の場所に行けたよ~』こちらの二人も最後の最後で南の島を満喫できたみたいで良かった!
ただし、海水浴場は重油にまみれており、足の裏がベトベトになってしまったとのことでした。困っていたところ、温泉帰りの大阪のおっちゃんが持っていたシャンプーを貸してあげて、キレイさっぱり落とすことができたらしい。なんとも素敵な助け合いエピソードではないでしょうか。
南国感を増す生き物「渡瀬線」とは
飛び回る蝶々、がさがさと動きまわる大きなトカゲ、そして飛び交うバッタ。宝島の生き物はにぎやかです。
そしてオカヤドカリ!!もう気持ちは沖縄の離島です。
突如ヘビもあらわれました。ハブではなそうです。そういえば、トカラ列島では小宝島と宝島にはハブがいますが、他の島には出ないらしい。
後で知ったのですが、悪石島と小宝島の間には渡瀬線(わたせせん)と呼ばれる生物境界線があるらしく、その線を境に本州や九州の生物層と奄美沖縄の南国っぽい生物層に分かれるらしい。
北から並べてみるとこんな感じの位置です。
・口之島
・中之島
・諏訪之瀬島
・平島
・悪石島
渡瀬線
・小宝島
・宝島
・奄美大島
【沖縄】
この境界線は正確ではないとの説もあるみたいですが、体感としては沖縄っぽくなってきたなーって感じがしました。
はっ!!
生き物に気をとられると危険でした!!
※詳しくは前回の小宝島の記事にて
そろそろトカラ列島ともお別れの時間なので、港のフェリーとしまへ戻ります。
これにてトカラ列島レントゲン便は全て終了。天候にもめぐまれ、無事全ての島をめぐることができました。フェリーとしまは終着地である奄美大島向けて出港です!

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