シロクマが見守るデザイン×アートミュージアム『富山県美術館』(富山市)

富山県

近現代のアート作品をはじめ、デザインアートも多く取り扱うオリジナリティあふれる美術館。ユーモラスなシロクマやオノマトペの屋上など、親しみやすいアート作品も多く、誰でも楽しめる美術館です。

営業時間:9:30~(17:30)18:00
休館日:水曜、翌祝、年末年始
料金:コレクション展300円
見学所要時間:1時間
訪問日:2020/7/24(金)

アクセスと駐車場

富山駅から徒歩17分、富岩運河環水公園のすぐ近くにあります。

駐車場は建物直結の屋内型で103台停めることができます。駐車料金は1時間330円、以後30分ごとに110円追加となっていますが、美術館利用者は2時間まで無料で利用できます。

カジュアルな美術館

富山県立近代美術館のコレクションを引き継いでスタートした富山県美術館。近代美術や現代アートを多く収蔵しています。

建物そのものも作品と呼べるほど洗練されたデザインで、どこを切っても絵になります。

展示室以外の部分はほとんどがガラス張りなため、流れる運河や富山市街地を見渡す展望台としても楽しめます。自然光を大きく取り入れているため、明るく開放的な雰囲気。

富山県美術館の特徴として珍しいのが、館内はほぼ全て写真撮影が可能なところ。また、作品の解説も多く掲示されており、美術素人でも楽しめるような工夫がなされています。

幅広い作品が並ぶコレクション

「明日の神話」by 岡本太郎
原子爆弾をテーマにした油絵作品。渋谷駅に展示されている同名作品の制作にあたり、描かれた下絵になります。下絵は全部で5つ確認されており、ここで見ることができるのは2号。

「闘牛士」by ベルナール・ビュフェ
フランスの近代画家の作品で、彼らしい力強い黒線でくっきりと描かれています。黒と金の額縁も作品と相性ぴったりです。

「戸口によりかかる娘」by ジョージ・シーガル
リアルな人形は、石膏を染み込ませたギプスで人間から直接型をとったそう。この手法は彫刻界のタブーとのことですが、直接コピーに当たるから作品的価値が取れないということでしょうか。

富山を描いた作品

富山県らしい作品も多く展示されています。「富山を描く100人100景」および「富山を描く平成の20景」を収蔵しており、そのうちの数点を見ることができました。

「早春の立山連峰」by 斎藤真一
富山の冬を描いた作品。おそらく昭和に描かれており、歩いている学生たちの様子も今とは少し異なっています。キラリと輝く金星のような一番星が印象的な作品。

「風の盆」by 大森運夫
おわらで開催される風の盆をテーマにした作品。傘紐を結ぶ手前の女性の表情も明るく、その後ろで踊る女性もしなやかな動きが表現されています。一人だけ、男性が混ざっているのですが、手前の女性との関係を想像したくなります。

「埋没林」by 工藤甲人
海底に眠っていた森の化石・埋没林。ホタルイカ、蜃気楼とともに魚津市の3大奇観に数えられる景観です。埋没林博物館で見ることができるのですが、この絵の作者が訪問したときは休館日。実物を見ることなく描いたそう。

富山県の様々な景色が描かれており、新しい形の観光案内を見ているようでした。

デザインミュージアム

美術作品だけでなく、モダンなデザインアートが展示されているのもこの美術館の特徴。施設名にも「アート & デザイン」というワードが掲げられおり、「アートとデザインをつなぐ」というコンセプトがあります。

ポスターが作品として展示されている「ポスターコレクション」。インパクトも持たせつつ、内容も表さなくてはならないという制限の中で行われる表現には、製作者の様々なアイディアが詰まっています。

「20世紀の椅子コレクション」は様々な椅子が並び、一見すると家具のショールームのよう。しかし、よく見ると、なかなかクセのある椅子が揃っています。

美術評論家の瀧口修造が集めた様々なものが展示されている「瀧口修造コレクション」。サンゴや貝殻、カラフルなボタン、小さなチェス盤など、芸術的価値を問わない様々なモノが並びます。

 

遊べるアート作品

美術館屋上は「オノマトペの屋上」とうい名の遊べるアートスポット。一般的な公園の遊具とは異なっているため、遊び方を考える力が育まれそうです。

ここにあるものは全て「うとうと」「つるつる」「ぼこぼこ」など、オノマトペを表した作品。さあこちらのタイトル、何かわかりますでしょうか?

正解は「ぷりぷり」。もしかしたらもしかするのかもしれません。

体験型3Dドローイングもあります。スクリーンの前で動くと、画面に変化が現れる体感型のデジタルアート作品。感覚的に楽しむことができます。

美術館のシンボル・しろくま

近年、美術館にはシンボルとも呼べる印象的な作品が設けられていることが多いです。青森県立美術館の「青森犬」や十和田市現代美術館の「スタンディングウーマン」、21世紀美術館の「スイミング・プール」など、旅行雑誌や観光ポスターにも大きく掲載されています。

富山県美術館のシンボルといえば、こちらのシロクマ。三沢厚彦の作品で、樟の木で作られています。いわゆる木彫りのクマではあるのですが、デフォルメされたおもちゃのようなデザイン。

屋外展示場にも並ぶシロクマ。こちらは、木を原型としたブロンズ像なので、雨が降っても平気です。

大中小と全部で3種類のシロクマが並びます。それぞれ触れることもできるため、シロクマに抱きかかえられるような写真を撮ったりして楽しむことも可能。

このシロクマたちは、美術館があまりに居心地が良いため居付いてしまったそうです。夏でも雪を被る立山連峰が聳える雪国は、シロクマがとっても似合いますね。

 


広々とした美術館ですが、展示作品はそこまで多くないので1時間もあれば見てまわれます。バリエーション豊富な内容なので、飽きることなく楽しめました!

7日間の北陸旅行、2日目はこれでおしまい。西町大喜で富山ブラックを食べて、呉羽の湯でお風呂。射水市の道の駅カモンパーク新湊で車中泊します。

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