秘密がたくさんの石庭『龍安寺』(京都市右京区)

京都府

室町時代に開かれた禅宗寺院で、世界遺産にも指定されている人気の観光地。洗練された石庭や禅の精神が込められたつくばいを眺めていると、心が洗われるような気持ちになります。禅問答の如く、それぞれの意味を考えてみるのも面白いです。

訪問日:2021/9/25(土)

緑ゆたかな禅宗寺院

臨済宗妙心寺派の寺院として1450年に建立された龍安寺。もともとは徳大寺家の別荘でしたが、細川勝元が譲り受け、玄承を招いて開山しました。

応仁の乱が勃発すると、細川勝元は東軍総大将を務めていたこともあり、真っ先に西軍から攻撃を受け焼失。その後、勝元の子である細川政元が再興します。

1994年には、世界遺産「古都京都の文化財」構成資産として登録されます。

鏡容池という池が広がる境内は公園のような雰囲気。歩いているだけでも清々しい気持ちになります。

枯山水の石庭

龍安寺といえば石庭。庫裡で受け付けを済ませて方丈へと進んでいくと、参拝者が腰掛けている縁側が見えてきます。

皆の向く先にあるのが龍安寺石庭。東西25m、南北10mの長方形の庭園で、水を使用せずに山水を表現する枯山水庭園です。

室町時代後期に造られたと予想されていますが、誰が作庭したのかは不明。ひとつの石に「小太郎、清二郎」の名が見つかるも、決定打にはっておりません。

石庭を取り囲む壁も独特な風合い。これは、菜種油を混ぜた土壁であるため、その油による変色がこのような色味をもたらしています。

石の意味するものは

白砂が敷き詰められた中に岩が置かれており、その周りに波紋が広がっています。枯山水庭園において、砂の流れは水の流れ。岩=水の中に浮かぶ島と考えるのが自然ですが、気になるのはその並び。

全部で15個の岩が5つのグループに分かれて配置されておりますが、これはいったい何を表しているのでしょうか?

「東から5、2、3、2、3となっており、5+2で七、3+2で五と捉えることで、めでたい数である七五三になる」という考えがあります。もしそうだとしたら、なぜ最初から7、5、3の3グループにしなかったのか気になるところです。

他にも「五知如来を表している」「五山を表している」「塀側からみるとW=カシオペア座(錨星)になる」「黄金比と白銀比が隠れている」など様々な考察がなされています。

すべては見えない石

さらにこの石庭、どこに座っても全ての岩を同時に見ることができないように並んでいるという点もポイント。

15という数字は、十五夜=満月を示すことから「完全」を表す数字とされています。また、日本には「完成すると衰退の一途をたどるため、あえて完成させない」といった未完成の美学があります。この2つの考えを組み合わせると、「あえて全て見えなくすることにより、未完成の状態を保っている」なんて考えもできますね。

もしくは、「見えない石は心の目で見よ。」みたいな意味が込められているのかもしれません。ぜひ龍安寺へ赴いた際は、石庭と向き合っていろいろ考えてみるてはいかがでしょうか。

知足のつくばい

方丈を進んでいくと、水戸光圀の寄進といわれている蹲踞(つくばい)があります。

静かに水が流れる表面には、漢字が4文字。真ん中の四角形を口と読むことで、「吾れ唯、足れを知る」と読むことができます。教科書でもおなじみなので、覚えている方も多いのでは。

現代風に言い換えるならば「私はただ満ち足りていることを知っている」と表せます。この言葉の解釈は諸説ありますが、「満足して不平不満を言わない」「必要なものは全て足りている」などとも言われています。

実際のところ、答えの無い問いに向き合うのが禅問答。石庭の並びと合わせて、自分なりの考えを見つけてみても面白いかもしれませんね・・・!

アクセスと見学所要時間

バスの場合は京都駅から市バスに乗りバス停《立命館大学前》下車後、徒歩7分。もしくは三条駅から市バスに乗りバス停《龍安寺前》下車後、すぐ目の前。

電車の場合は京福電鉄の龍安寺駅下車後、徒歩7分。

駐車場は拝観者に限り1時間無料で利用できます。(駐車券や受付などは無いため時間管理の方法は不明です)

見学所要時間は、【石庭を見るだけなら30分程度】【石庭+鏡容池をぐるっとまわって40分程度】でした。

開館時間 8:00~17:30 ※12~2月は8:30~16:30
料金 500円
公式サイト http://www.ryoanji.jp/smph/

※掲載の情報は2021年11月時点のものです。最新情報は公式サイトにてご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました