最澄・空海とも所縁の深い山岳寺院『高雄山神護寺』(京都市右京区)

京都府

高雄山の中腹にそびえる寺院。市街地から離れているため喧噪も無く静かな境内が広がっており、谷間に向かってかわらけ投げも楽しめます。かつては最澄と空海がともに入山していた時期もあるという、非常に重要な歴史を持つお寺です。

訪問日:2021/9/25(土)

長い石段を登って境内へ

平安京造営の最高責任者であった和気清麻呂が開いたとされる高雄山寺がそのルーツ。824年には同じく清麻呂が河内に建てた神願寺と合併し、神護国祚真言寺(じんごこくそしんごんじ)へ。

平安時代に災害によって2度の焼失してしまいますが、文覚上人によって復興。つづく応仁の乱の戦火も受けますが板倉重勝によって再興。その後、昭和に新たな伽藍が新築され、現在に至ります。

清滝川に架かる高雄橋が神護寺の入り口。朱色の立派な橋は、紅葉シーズンには人気の撮影スポットとなります。

橋を渡ったあとは、長い石段が続きます。なかなかハードな道のりなので、歩きやすい靴、動きやすい服装で行くのが望ましいです。途中には、うどん・そばやかき氷を扱うお店の誘惑もあります・・・!

登り始めてから10分弱で楼門が見えてきました。現在は工事中でシートに包まれています。こちらが拝観受付です。

重厚な伽藍

並んで建つのは毘沙門堂五大堂。いずれも江戸時代初期の元和に建立されたもの。閉扉しているため内部を拝むことはできませんが、毘沙門堂では平安時代に造られた毘沙門天立像を安置しています。

金堂へと続くそびえる石段。ゴツゴツした武骨な姿はまるで武者の鎧の草摺(くさずり=腰回りに垂れている部分)のようです。

石段の向こうに建つのは金堂。重厚な歴史を感じさせる建築ですが意外と新しく、昭和10年に大阪の豪商の寄進によって建立されたお堂です。

広隆寺の弥勒菩薩半跏像に続いて2番目に国宝に指定された平安前期の薬師如来像をはじめ、日光菩薩、月光菩薩、十二神将など多数の仏像が安置されています。

空海と最澄

毘沙門堂の西側に建っている杮葺きの大師堂。こちらは空海の住房であった「納涼房」を復興したものです。唐から帰国した空海は高雄山に14年ほど住んでいたそう。

現在も真言宗の寺院として知られていますが、実は天台宗の開祖である最澄とも深い縁があります。最澄は唐へ渡る前にここへ招かれ、法華経の講演を行っていました。また、帰国後も高雄山に訪れ、空海に弟子入りし灌頂という儀式を学んでいたといいます。

平安仏教を代表する二人の僧がこの地で交流していたと考えると、日本仏教史において重要な寺院であることが伝わってきますね!

余談ですが、本来最澄の方が空海よりも年上でエリートであった最澄が、まだ無名の空海に弟子入りしたというのはかなりセンセーショナルな出来事であったと考えられます。この2人の関係について興味がある方は、「最澄 空海」などで検索すると、いろいろなエピソードがでてきますよ~。

厄除けかわらけ投げ

境内を奥へ進むと、山々を見渡せる展望台が広がります。鳥の声と虫の声だけが響く静かな風景に心が安らぎます。

ここではかわらけ投げを行うことができます。3枚200円の素焼きのかわらけを、谷に向かって思いっきり投げる!厄除け・厄落としなので願い事を唱える必要はありません。さらに、「注連縄の間を通す」といった的もありません。ただ投げることだけ集中できます!

飛んでいったかわらけが上手く地面に届くと、パリンという音が響いてなんとも爽快。

全国各地の寺院や景勝地などで見ることができるかわらけ投げ。戦国時代に武将が必勝祈願として盃を投げたことがルーツといわれており、江戸時代には現在の形で庶民の娯楽として流行したそう。

そんなかわらけ投げですが、発祥はここ神護寺といわれているそうです。

アクセスと駐車場情報

京都駅よりJRバスで約50分のバス停《山城高雄》下車後、徒歩20分。もしくは四条駅より市バスで約45分のバス停《高雄》下車後、徒歩20分。

車で行く場合、高雄は道が狭く転回が難しいので事前に駐車場を確認してから向かうのがおすすめ。

京都市高雄観光駐車場は無料で利用でき、高雄橋までは徒歩15分ほど。※紅葉シーズンに限り有料になります。

また、嵐山-高雄パークウエイの高雄口ゲートを入ってすぐのところにある高雄大駐車場も無料で利用できます。少々アップダウンがありますが、こちらも高雄橋まで徒歩15分ほど。※駐車料金は無料ですが、通行料(普通車1,200円)が必要になります。

他にも、民間の駐車場が数件あります。相場は800〜1,000円ほど。
私は今回清滝川の川沿いにある「高雄観光ホテル案内所駐車場」を利用しました。1回500円と安く、高雄橋のすぐ目の前にあります。管理人のおじさんはなかなかクセがありますが優しい方で、神護寺の見どころについて丁寧に案内してくれました。

拝観時間 9:00~16:00
料金 600円
公式サイト http://www.jingoji.or.jp/

※掲載の情報は2021年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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