武家屋敷群や冬に飛来するツルで知られる鹿児島県の出水(いずみ)市。不知火海に面した静かな入り江に貼られたプレートに記されていたのは「オシリカジリムシ発見の地」。あのキャラクターはここで発見されたのでしょうか?
オシリカジリムシ発見の地
今回、冬に飛来するツルの観察目的で訪れた出水市。「箱崎八幡宮」「クレインパークいずみ」「出水市ツル観察センター」あたりへ訪問することは決まっていましたが、他に見逃しているところはないか気になり、もう少し調べて見ることに。何気なく開いたGoogle Mapで周辺を調べていると目に付いたのはコチラ。
「オシリカジリムシ発見の地」
おしりかじり虫ってNHKの音楽番組『みんなのうた』のキャラクターですよね?発見されたということは、実在している生き物なのでしょうか。あまりにも気になったので、実際に現地へと足を運んでみることにしました。
ちょっと寂しい現地のプレート
国道3号線を進み、少し脇道にそれると静かな入り江が見えてきます。防波堤に貼り出された青いプレート、これこそが「オシリカジリムシ発見の地」の証です。
特にモニュメントなどもなく、他に解説板などもありません。得られる情報はこのプレートだけであるため、よほどマニアックなスポットが好きな方以外はわざわざ訪れる場所ではないような気がします。
発見された新種の甲殻類
せっかくなのでプレートに記されている以下の情報、こちらをもう少し詳しく見ていきましょう!
是枝 伶旺 氏
命名者 鹿児島大学理学部
准教授 上野 大輔 氏
2021年、当時鹿児島大学大学院農林水産学研究科修士課程1年であった是枝 伶旺(れお)さんが、出水市の小次郎川河口干潟にてハゼ科の「チワラスボ」を採集。その臀鰭(しりびれ)に見たことの無い生物が付着しているのを発見します。
その生物の体長は1.3mmほど。半透明のカラに覆われており、ケンミジンコのようですがこれまで見つかってきた種と一致しなかったそう。調査の結果、この甲殻類は新種のカイアシ類ということが判明しました。
気になるネーミング
不知火海(しらぬいかい)でみつかったため、学名は「コレフトリア・シラヌイ」として登録されます。コレフトリアはギリシャ語で「踊り子」を意味する言葉。直訳するなら、不知火海の踊子・・・なんだかとっても素敵な名前です。
その一方で日本語名である和名は、魚のお尻にかみついていたことから「オシリカジリムシ」と命名されました。
気になりすぎるその名前ですが、親しんでもらいたいという理由でNHKの音楽番組『みんなのうた』で放送された楽曲「おしりかじり虫」に登場するキャラクターからそのまま付けられました。
その際、キャラクター作者であるうるまでるびさんと、番組制作をおこなったNHKとは事前に相談が行われたそうです。うるまでるびさんは、「僕らが作った架空のキャラクターが本物になったと思い、びっくりしました。学術的な名前として世の中に残るのはうれしいです」とのコメントを残しているようです。
ということで、あくまでキャラクターの方が先に登場しているため、「おしりかじり虫が実在している」という表現をとると、ちょっとだけ違和感ありますね。
余談ですが、うるまでるびさんはうるま(男性)さんとでるび(女性)さんの夫婦によるユニット。私はてっきり一人の名前だと思い込んでいました・・・!フジテレビ制作のテレビ番組「ウゴウゴルーガ」や、プレステ2のソフト「びっくりマウス」をはじめ、様々な作品を発表している彼ら。その名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
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