一万羽を越えるツルが越冬のために飛来する出水(いずみ)。ツル博物館は、そんなツルの生態や越冬の様子を知ることができるミュージアムです。
出水市の自然博物館
鹿児島県の出水市にあるクレインパークいずみは、冬に渡来するツルをはじめ、出水の自然について学べるミュージアム。1995年にオープン、もうすぐで30周年を迎える老舗の博物館です。
広々とした公園の中央にそびえたつこちらが博物館。真っ白い大きなドーム状の外観が印象的な建築です。
内部もとっても広々。ホール空間に様々な展示が点在しています。平日の朝イチで訪問したため、訪れている人はまだおらず、ほぼ貸切状態でした。
出水に飛来するツル
ずらりと並んでいるのはタンチョウ、ソデグロヅル、クロヅル、ナベヅル、マナヅル、カナダヅル、アネハヅルといった、出水で見ることができるツルの解説。実物大の模型や剥製が置かれているので、その大きさも体感できます。
ツルときくと真っ白で首が黒く頭が赤い「タンチョウ」が頭に浮かびますが、多数の種類が存在しています。羽の色も大きさもばらばらですが、いずれもスラッとした優美な姿は共通です。
最も数が多いのがナベヅル。首から下が鍋底についたススのように黒いことからその名がついたといわれています。翼長は180cm、世界には15,000羽が生息しているそうですが、そのうち8割以上が出水で越冬するとのこと。
次に多いのがマナヅル。ナベヅルと似ていますが、青灰色の体と、赤い顔が特徴的。世界では7,000羽ほどであり、その半数近くが出水にやってきます。
体感型のコンテンツ
こちらは7種類のツルの鳴き声を聴くことができる装置。左右のスピーカーからステレオで流れてくる、立体感のあるサウンドが特徴的です。気になるツルの鳴き声ですが、体が大きい鳥であるため、とてもよく響きます。
卵のカタチをしたシアターでは「ツルの1年」という7分間の映像を上映中。動画のなかでは、3月にロシアへ帰る「北帰行(ほっきこう)」の実際の映像も。数千羽のツルが羽ばたき空へ舞い上がる姿は圧巻です。
ツルの羽数調査という、映像に映るツルを手元のカウンターで数えるというコンテンツも。これはぜひともやってみたかったのですが、残念ながら故障中でした。
人とツルのかかわり
いわゆる生物学的な側面だけではなく、人とツルのかかわりについてといった文化的な面に関する展示も。茶色く四角いポストみたいなテレビでは、様々なツルと人とのストーリーを見ることができます。
よく見ると、テレビの左右にはそれぞれ人とツルをデザイン化したオブジェも。さりげないところにこだわりを感じます。
「ツルにまつわる物語」「ツルの愛情物語」「荘中学校ツルクラブ」「テックスとアーチボルト博士」など多数のラインナップの中でも私が気になったのは「ツルごろしの裁判」。印象的なタイトルですが、いったいどのようなストーリーなのでしょうか。
「つるごろし」が重罪とされていた江戸時代。誤ってツルの命を奪ってしまった少年と、その少年の罪を問わずに済ませようとする役人の物語。役人の名裁きが見どころであり、人情がつまった心温まるお話です。ただし、ツルは完全に脇役でした。
アクセスと営業情報
JR九州および肥薩おれんじ鉄道の出水駅より徒歩30分ほど。
開館時間 | 9:00~17:00 |
---|---|
休館日 | 4~10月:月曜 11~3月:無休 |
料金 | 330円 |
公式サイト | https://www.city.kagoshima-izumi.lg.jp/cranepark/ |
※掲載の情報は2023年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント