鞍馬天狗とネコへの愛『大佛次郎記念館』(横浜市)

神奈川県

「鞍馬天狗」や「天皇の世紀」で知られる大佛次郎を深く知ることができる記念館。館内には作品に関連する展示や、再現された書斎、愛用の置物なども並んでいます。随所に配置された多数のネコの置物も見逃せません。

訪問日:2024/10/14(月・祝) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

作家・大佛次郎の記念館

横浜生まれの作家・大佛次郎(おさらぎじろう)。1897年10月9日、現在の中区英町(はなぶさちょう)に生まれ、その後東京に転居。東京大学法学部卒業後は鎌倉に住み、生涯の住まいとしました。鎌倉高等女学校(現・鎌倉女学院)の教師、外務省嘱託を経て作家活動を開始。1924年、26歳のときに「鞍馬天狗」を発表、流行作家として人気を博しました。

代表作は、『鞍馬天狗』(1924年 – 1965年)、『赤穂浪士』(1929年)、『パリ燃ゆ』(1964年)、『天皇の世紀』(1969年 – 1973年)など。

港の見える丘公園内には、そんな大佛次郎の記念館が建っています。アーチ型の屋根と赤レンガが特徴的な2階建ての建物で、周辺に立ち並ぶ洋館と馴染む雰囲気です。

■大佛次郎の名前の由来
気になるペンネームの由来ですが、鎌倉大仏で知られる長谷寺の裏に住んでいたことが由来とのこと。大仏が太郎であることから謙遜して次郎とし、「おさらぎ」と読ませるのは、「北条氏の一族でこの土地に住むのを大仏と書いて、こう読んだから」であるそうです。

華やかな内装の館内

受付の先には広々とした吹き抜け空間。ブルーのステンドグラスがあざやかです。

2階が展示室となっており、大佛次郎の作品や写真が多数展示されています。書斎を再現した記念室には、大佛次郎が愛した絵画や書籍などがびっしりと並んでいました。(※撮影NG)

展示室の先にあるのは優雅なサロン。八角形のテーブルや椅子が並ぶラグジュアリーな空間で、窓からは山手公園や横浜港が見渡せます。

こちらは大佛次郎愛用のソファー。テーブルには秋の花やカボチャが並んでいました。

代表作・鞍馬天狗

展示室ではテーマ展示が行われています。訪問した際に開催されていたのは「鞍馬天狗 誕生100年   ヒーロー、100年の歩み」(2024年8月31日~2025年1月5日)。代表作である鞍馬天狗に関連した展示です。

「鞍馬天狗」は、1924年の発表以降、約40年に渡り雑誌や新聞に掲載されたという人気作品。快刀乱麻の太刀さばきで悪をこらしめ、風とともに去っていくヒーロー。少年誌に掲載されると、子どもたちの人気者に。きっとこの世代の子どもたちはみんな真似したのでしょうね。

展示室内には文庫本や絵本、カルタやめんこといったグッズが展示されています。さらに当時の読者が投稿したファンアートも。ディスプレイでは無声映画の「鞍馬天狗」も上映されており、見たことがなくても作品の雰囲気を感じ取ることができます。

なお、鞍馬天狗を主人公にした小説は47作テレビドラマは12作、そしてなんと映画は63作にも及ぶそう。この数字だけで、どれほど人々に愛された作品なのかは一目瞭然です。ところで、全部制覇してる人はいるのでしょうか?

猫探しも楽しめる

猫を「生涯の伴侶」と言うほど、大の猫好きだった大佛次郎。猫を題材とした多くのエッセイや、小説、童話も残しております。

受付のそばにもネコの置物があり、書斎を再現した部屋にはネコの置物がびっしり。あちこちに置かれたネコを探してみるのも、この記念館の楽しみのひとつです。

吹き抜け空間の照明の上にもネコ。それぞれ違った素材・デザインであるため、見比べてみると面白いです。

館外にもネコが置かれています。建物の周りをぐるっと見ていると、リアルネコとの遭遇も・・・!

大佛次郎は常に多数のネコに囲まれた生活を送っており、野良猫も含めると生涯になんと500匹以上もの猫と暮らしていたそう。この数字だけで、どれほどネコを愛していたのかは一目瞭然です。

アクセスと営業情報

みなとみらい線の元町・中華街駅の6番出口より徒歩8分。

開館時間 4~9月:10:00~17:30
10~3月:10:00~17:00
休館日 月曜、年末年始
料金 200円
公式サイト https://osaragijiro-museum.jp/

※掲載の情報は2024年10月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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