真っ赤な大鳥居がインパクトあるおのころ島神社は、はるか大昔の国産み神話が残る場所。天の浮橋、葦原国とめぐっていくと、壮大な神話の世界を感じることができるスポットです。ところで、おのころ島ってなんでしょうか。
おのころ島とは
淡路島に行くとよく目にする「おのころ」という単語。お土産の銘菓やテーマパークなど、随所で登場するキーワードですが、いったいどういう意味なのでしょうか?まずは「おのころ島」とは何かを簡単にご紹介します!
おのころ島というコトバが出てくるのは日本誕生にまで遡ります。古事記や日本書紀に記された国産み神話では、伊弉諾尊(イザナギノミコト)と伊弉冉尊(イザナミノミコト)が「天の沼矛」で下界をかき回すと、雫が落ちて最初の島が生まれます。このはじまりの島こそが、自ずから凝り固まってできた島ということで「おのころ島」と呼ばれています。
この2柱はおのころ島に降り立ち、夫婦となり国づくりを開始。最初に産んだのが淡路島と言われています。
淡路島より前に生まれた最初の島「おのころ島」はいったいどこなのでしょうか。いくつか候補とされる場所がありますが、今回ご紹介するおのころ島神社が立つ丘も、その候補の一つ。国産み神話の聖地として、崇敬されてきた場所なのです。
イザナギ・イザナミを祀る神社
おのころ島神社のシンボルはこちらの大鳥居。高さ21.7メートルの朱塗りの巨大鳥居はインパクト抜群。島の遠くからでも目に入ります。京都の平安神宮、広島の厳島神社の鳥居と合わせて「日本三大鳥居」に数えられているそう。(三大鳥居シリーズは、日本三鳥居、日本三大木造鳥居などいろいろなバリエーションがあるので混同しないようにご注意ください・・・!)
鳥居の先の石段を登ると、すぐに正殿が見えてきます。伊勢神宮に代表される神明造の社殿で、木々に包まれた姿が神秘的な出で立ち。
御祭神はもちろん国産み神話のイザナギとイザナミ。この2柱は前述の通り夫婦の神様なので、縁結びや夫婦和合のご利益があると信仰されています。
境内散策でみつけたもの
おのころ島神社の御神木はこちらの横たわる古木。なぜ地面に生えた立木ではないのか、何かあってこのような形になっているのか、気になるところ。「明治時代に枯れてしまった」との情報も見かけましたが、真相は不明です。
こちらは鶺鴒石(せきれいいし)。イザナギとイザナミは、この石の上にとまったつがいのセキレイを見て夫婦の契を交わしたと伝わっており、縁結びのご利益があるとされています。赤と白の2本の縄は、「二人で来たときは男性が赤い縄、女性が白い縄」、「一人で来た場合はまず赤い縄、続いて白い縄」と握ってお祈りするそう。
摂社の八百萬神社。イザナギとイザナミは天照大御神をはじめ、八百萬の神の親神にあたる存在。ここでは八百萬の神様を御祭神の御子神として祀っています。
神が降り立つ天の浮橋
おのころ島神社まで来たら、少し足を伸ばして「天の浮橋(あめのうきはし)」へ行ってみるのもおすすめ。徒歩5分ほどの住宅街の中にあります。
この天の浮橋というのは、イザナギとイザナミがおのころ島で最初に降り立った場所。
実際に現地では小さな石があるだけなので、ちょっと物足りなく感じます。しかし、巨岩だったり不思議な形をした石ならいざ知らず、このような小規模なものが長く信仰されているというのも妙にリアル。逆にホンモノ感ありませんか?
葦原国
さらに、天の浮橋から少し歩くと葦原国(あしはらのくに)もあります。
この田んぼの真ん中で、コンクリートの塀で囲まれている場所が葦原国。鳥居の向こうには「葦原国」と刻まれた石碑、「千速振る神代の昔あしはらをひらきそめにし国常跡」と刻まれた歌碑があります。
こちらも天の浮橋と同様に、何かすごいモノがあるわけでもありません。ただ、天の浮橋は神が降り立った場所だったのに対し、こちらは「イザナギ・イザナミがつくりあげた日本国土全体」や、「天上界である高天原(たかまがはら)と、地下である黄泉国(よみのくに)の間にあるとされる場所」とも説明される場所。
これほどの規模だと、あまり国といった感じがしないため少し違和感。「葦原国」ではなく「葦原国跡」や「葦原国がはじまった場所」といったもう一言があるだけでかなり納得できるのですが・・・。この辺り一帯が葦原国だった、ということでしょうかね。
おのころ島はどこ?
天の浮橋に葦原国までそろっているとなると、この場所がおのころ島であるという伝承はいよいよ説得力があります。
でも、せっかくなので他の候補地にも目を向けて見ましょう。
おのころ島だと考えられている場所は、このおのころ島神社以外では沼島、絵島、家島諸島などが考えられているそう。いずれも兵庫県に属する離島で、淡路島にほど近い距離。「おのころ島から淡路島が生まれた」ということを考えると、淡路島周辺の島を候補と考えるのはとても自然です。
他の地域には無いのでしょうか?
神話といえば宮崎県の高千穂。試しに「宮崎県 おのころ島」で検索してみたところ、高千穂におのころ池という名の池があり、そこにはおのころ島が浮かんでいます。
さらに、茨城県の筑波山も候補地の一つとのこと。山なのに島?とも思いますが、筑波山がそびえる関東平野は、大昔は海の中。もしかしたら筑波山は島であったかもしれません。
さらにさらに、おのころ島を「自ずから凝りかたまった島」ではなく、「自ずから転がる島=自転する地球」と考える説もあるそう。
もしそうだとするならば、地球の自転運動に気づいていた、というかそもそも地球を認識していたという高度な世界観を持っていたことになります。
真相はわからずですが、いろいろと考えてみるのはとても楽しいです!
アクセスと見学所要時間
三宮バスターミナルから約70分、または高速舞子から約50分のバス停《榎列(えなみ)》から徒歩10分。車の場合は神戸淡路鳴門自動車道の西淡三原ICから約5分。大鳥居の目の前に無料駐車場があります。
「天の浮橋」と「葦原国」に駐車場は無く、なかなか細い道を進むことになります。車で移動せずに、おのころ島神社から歩くのがおすすめです。
見学所要時間は、【おのころ島神社だけなら10分】、【天の浮橋と葦原国合わせても30分】ほどでした。
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