シルバーに輝くカワラがたっぷり!『甍(いらか)公園』(南あわじ市)

淡路島

古来より瓦の産地として知られる淡路島。瓦屋根に留まらず、様々な場所でカワラを見ることができるのですが、中でもインパクトがあるのがこちらの甍公園。斜面を埋める瓦や、瓦で作られた巨大なモニュメントを通して瓦の可能性を感じることができるスポットです。

訪問日:2021/9/22(水)

淡路島の名産品

淡路島の名物ときいて真っ先に浮かぶのがタマネギや淡路牛。淡路瓦(あわじがわら)と呼ばれる瓦も名産なことは、あまり知られていないのではないでしょうか。

古来より淡路島では瓦が作られていたと考えられていますが、本格的な生産が始まるのは江戸時代初期。1613年に池田忠雄という大名が由良成山城を築城する際、播州から播磨瓦の名工・清水理兵衛を呼び寄せて作らせたのがはじまりと言われています。理兵衛が播州に帰った後も、弟子たちによって島内で瓦生産は続けられます。

淡路瓦は、島根県石見の石州瓦、愛知県三河の三州瓦と合わせて「日本三大瓦」にも数えられています。この3県は現在でも多くの瓦を生産しており、全国生産額の上位を占めているのです。(平成29年の生産額を見てみたところ、愛知県が7割、島根県と兵庫県はそれぞれ1割ほどのシェアでした。)

大量の瓦に会える公園

そんな淡路瓦を思う存分堪能できるのが、南あわじ市にある甍(いらか)公園

瓦葺きが施された重厚な建物はトイレ棟。約1万枚の瓦を使用しており、ただのトイレには見えない重厚な出で立ちです。

さらに、トイレの裏手にあたる斜面には2万枚の瓦をびっしりと配置。もはや屋根ではない場所にすら瓦を葺いてしまうというtoo much具合がたまりません。

ちなみに「甍(いらか)」というのは、「屋根の一番高いところ」や「瓦葺きの屋根」を意味するそう。はじめて見る漢字だったので、なかなか読めずに苦労しました・・・!

青海波ピラミッド

この甍公園最大の見どころは、7万枚もの瓦を積み上げて造られた大きな瓦モニュメント。インターチェンジのすぐ近くに立っているため、近くを通りかかると嫌でも目に入ります。

ただ瓦を積み上げたのかと思いきや、よく見ると細やかなデザインがきいています。瓦には本葺瓦、桟瓦、鬼瓦などの種類がありますが、熨斗(のし)瓦という瓦で模様を描いているそうです。

このモニュメントには「青海波ピラミッド」という名が付けられています。青海波(せいがいは)というのは浄瑠璃で舞う人の衣装に使用された文様。その名の通り波をイメージしたデザインで、非常に縁起の良い文様とされています。

作者は山田脩二という人物。カメラマンから瓦職人に転職した経歴を持っている方で、「カメラマンからカワラマンへ」というユニークなタイトルの著書も出版しております。

淡路瓦の特徴

淡路瓦の特徴は、なんといっても銀色の見た目。

まるで金属でできているかのような鈍い輝きを放ちますが、その素材はあくまで粘土。土の色から銀色にするために、製造途中に燻化(くんか)と呼ばれるいぶす行程が行われます。高温状態の窯の中に煙を入れ、炭素を付着させることでシルバーに光る瓦を作り上げているのです。

この美しさの秘密となるのが、「なめ土」と呼ばれる淡路島で採れる土。淡路島は300万年前に湖であったため、非常に粒子が細かい粘土が産出されます。このきめ細やかさのお陰で、いぶした際にもムラにならず美しい銀色に仕上げることができるのです。

また、この土のおかげでとても細かい細工が可能。鬼師と呼ばれる職人が手作業で造り上げる鬼瓦は迫力満点です!

そんな歴史ある淡路瓦ですが、現代では屋根に敷く以外の用途も考えられています。モダンなブロックタイプや柱タイプの瓦は、そのデザイン性を活かしてガーデニングなどのエクステリア素材に。鍋敷きやコースターといった日用雑貨も製造されています。

まだまだ可能性を秘めた淡路瓦。私もインテリアとして欲しくなりました・・・!

アクセス情報

神戸淡路鳴門自動車道の西淡三原ICすぐ目の前にあります。案内板などでは、「緑の道しるべ西路公園(甍公園)」という名前でも記載されていました。

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