海にそびえる上立神岩!国産み神話の残る離島『沼島(ぬしま)』(南あわじ市)

淡路島

淡路島から片道10分でアクセスできる沼島は、気軽に日帰りで立ち寄れる離島。「おのころ島」にまつわる伝説が残っており、日本で最初にできたはじまりの島とも呼ばれています。島内には多くのパワースポットがあり、穏やかな集落を抜けると神秘的な空気が流れます。

訪問日:2021/9/22(水)

淡路島から行く離島

兵庫県の淡路島から4.6kmの位置に浮かぶ離島、沼島(ぬしま)。周囲9.53km、面積2.71km²と、巨大な淡路島に比べるととってもコンパクトな島です。

島のカタチは「勾玉」とも形容されます。ぐにゃりと曲がったような独特のシルエット、そして島内中央にある池が穴のようで、言われてみれば勾玉っぽいような気も。

島内には、「上立神岩」や「おのころ神社」など、国生み神話にまつわるスポットが多く存在しています。淡路島で神話や歴史にふれたならば、ぜひとも合わせてめぐりたい場所。離島ならでは長閑な空気も流れているため、のんびりと島時間を楽しみたい人にもおすすめの島です。

土生港から沼島へ

沼島行きの船は、淡路島南部の南あわじ市にある土生(はぶ)港から乗船します。本数は1日10便とかなり多いため、非常に利用しやすいです。ただし、欠航になることもあるので、公式サイトにて確認が必要です。

今回は朝イチの7:00発の船に乗船します!ということで、日が昇ったばかりの早朝の土生港へ。しっかりとした待合室があり、ここの受付で乗船券を購入します。運賃は往復920円。

なお、港の駐車場は有料で1日500円。無料駐車場ばかりの淡路島ではなかなか強気な値段設定に感じますが、島に渡ったあとお金使う場所も少ないのでこれくらい平気です。

こちらが沼島へ向かう船「しまちどり」。真っ白なボディがとってもキレイ!

船内は年季が入っていますが、きちんと清掃されています。沼島までの乗船時間はわずか10分。海域としては瀬戸内海ではなく太平洋にあたりますが、波もあまりなく快適な船旅です。

島内散策スタート

沼島港に到着。待合室の券売所には、見やすい観光マップがおいてあります。島内散策の前に必ず入手しておきましょう!

前述の通り島の面積は小さいため、島内散策は徒歩がメイン。2時間あれば主要な観光名所はぐるっと見て回ることができ、4時間あればほぼ一周できます。

穏やかな雰囲気の港。沼島の産業は漁業がメインで、アジ、イカ、タチウオ、タイなどが水揚げされています。中でもハモは沼島名物として知られており、大阪や京都の料亭では高級品として扱われているそう。

港周辺には集落が広がります。私が訪問した時は、子供を乗せた原付がたくさん行き来していました。平日の朝だったので、港へ送迎しているのでしょうね。

上立神岩への道のり

おそらく沼島で最も人気のある観光名所が上立神岩(かみたてがみいわ)。港から約20~30分ほどのところにあります。

マップを見ながら集落を離れ山の方へ。しばらくすると池が見えてきます。離島において水源はとっても貴重。現在は淡路島から送水ケーブルが敷かれていますが、かつては生活を支えた水だったのではないでしょうか。

徐々に山道へ突入。といっても舗装されているため歩きやすい。午前中だったので山の影に入り、ずっと日陰というのもラッキーです。

港から20分ほどで展望台に到着。さて、上立神岩はどこだろう?まだ姿が見えません。

海にそびえる巨岩

展望台から左に伸びる階段を登り、海を見下ろすとその姿を発見!海上に突き出した巨大な上立神岩が見えました!

さらに海岸線へと降りていくルートを進めば、もっと近づけます。フナムシたっぷりなので、足元を見ながら・・・いえ、足元を見ないで歩くのがおすすめです!

上立神岩は高さ30mの縦長の巨岩。海から突き出したインパクトのある姿から、沼島のシンボルとして親しまれています。先端はまるで鏃(やじり)の如く研ぎ澄まされており、天を突きさすようにそびえています。

この上立神岩にはいくつかの伝説があります・・・・が、それは後ほど!

■下立神岩も存在する!?
その昔、上立神岩の南には下立神岩という岩がそびえていたそう。上立神岩よりも高かったそうですが、安政の地震によって折れてしまい、門のようなカタチに。さらに昭和の室戸台風を受けて倒壊してしまい、今ではその一部を残すのみとなっています。

おのころ神社

上立神岩から集落まで戻ってきたところ、帰りの船までまだ少し時間があったのでおのころ神社まで行ってみることにしました。

集落から少し歩いたところにある神社入口。サビたトタン小屋の後ろにある小さな階段を進みます。うっかり見逃してしまいそうなほど入口は小さいので要注意です。

しばらくは木々に包まれた斜面の道が続きます。湧き水が流れているため少々ぬかるみ、カニもたっぷり横切っていきます。

森を抜けると、最後は石段が登場。険しく見えますが、これまでの未舗装路に比べたら歩きやすいです。木々に包まれて苔むした石鳥居はなんとも神秘的な出で立ち。

こちらがおのころ神社。国産み神話のイザナギ、イザナミを祀る神社です。もともとはこの神社がある山そのものが御神体で、地元では「おのころさん」と呼ばれているそう。

ところで、「おのころ」っていったい何でしょうか?

おのころ島とは

「おのころ島」という言葉をご存じでしょうか?

古事記や日本書紀に記された国産み神話において、イザナギ・イザナミという2柱の神様が「天の沼矛(あめのぬぼこ)」で下界をかきまわします。そのときに一番最初にできたのが「おのころ島」。イザナギ・イザナミはそのおのころ島に降り立ち、まず淡路島を、そして、四国や本州といった日本の島を次々と産んでいきました。

おのころ島はいったいどこにあったのでしょうか。はっきりとわかっておらず、いくつかの島や地域が候補と考えられています。今回訪問したこの沼島も、そんなおのころ島候補地の一つなのです。

沼島はおのころ島?

沼島がおのころ島ではないかと考えられるのには、様々な理由があります。諸説ありますが、代表的なものだけさらっとまとめてみました。

①淡路島に近い

「おのころ島に降り立ったイザナギ・イザナミが最初に淡路島を産む」という点から、淡路島周辺の島ではないかと考えられます。そのため、すぐ近くに浮かんでいる沼島が候補に挙がるのは自然な流れ。地図で見てみると、淡路島を産むのに程よい距離感に思えます。

②天の沼矛との関り

先ほどの海からそびえる上立神岩が、イザナギ・イザナミが下界をかき回した天の沼矛の矛先とも伝わっております。確かに鋭く尖った岩は、矛先のように見えなくもないですが、ちょっとだけサイズ感が気になります。

③島の名に冠した「沼」の字

島の名前に付く「沼」の文字。これも天の沼矛から取っているとも言われています。どちらも「ぬま」ではなく「ぬ」と呼ぶところが一致しており、なかなかの説得力です。

④天の御柱

上立神岩は「天の御柱(あめのみはしら)」ではないかという説もあります。この天の御柱というのは、2柱の神様がおのころ島に降り立った際に立てたとされる柱のこと。この柱をそれぞれ逆にまわり、出会ったところで夫婦となったとの伝説があります。

⑤男まわりと女まわり

その天の御柱をまわる際、イザナギは時計回り、イザナミは反時計回りにめぐったそう。その名残か、島では時計回り=男まわり、反時計回り=女まわりと呼ぶことがあるそうです。(なぜか、沼島観光案内所のHPに限り「時計回り=女まわり・反時計回り=男まわり」と逆の記載も・・・!私はパニックです。)

 

ざっくり5つほど挙げてみましたが、沼島がおのころ島の最有力候補といわれるだけあって、いずれもそれなりに納得できるもの。ここに挙げたのはほんの一部で、他にもいくつもの理由が考えられています。実際に島に訪問される際は、「沼島=おのころ島」の痕跡を探してみると、より島内散策が楽しめます!

おのころ島の他の候補地については、こちらのおのころ島神社の記事にて書きました!

日本のはじまりはここから!?『おのころ島神社』(南あわじ市)
真っ赤な大鳥居がインパクトあるおのころ島神社は、はるか大昔の国産み神話が残る場所。天の浮橋、葦原国とめぐっていくと、壮大な神話の世界を感じることができるスポットです。ところで、おのころ島ってなんでしょうか。

今回は土生港7:00発の船で沼島へ渡り、沼島8:30発の船で淡路島に戻る、滞在時間1時間20分という超ショートコース。上立神岩とおのころ神社をめぐってちょっと急ぎ足でした。

島内には他にも沼島灯台や八十八ヶ所霊場など見どころがたくさんあります。次に行くときは、一泊してのんびりと過ごしてみたいです!

※沼島観光案内所のホームページが、離島のサイトとは思えないほど見やすく充実しています!訪問予定の方は、ぜひご覧ください。

兵庫県南あわじ市〜沼島〜
兵庫県南あわじ市 沼島観光案内所 です。沼島の名所、施設案内、祭り情報、周辺漁船、釣り情報の紹介です。

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