江戸時代から明礬(みょうばん)の採取が行われてきた地獄。情緒あふれる茅葺きの小屋の中では現在も湯の花が製造されており、その過程を見学することができます。
ちょっぴりディープな地獄
多数の地獄があり、地獄めぐりが楽しめる別府。ブルーが美しい「海地獄」や、間欠泉の「龍巻地獄」などが有名ですが、それ以外にもいくつかの地獄があります。今回紹介する明礬地獄も、そんなちょっとマニアックな地獄のひとつ。
他の地獄が多数ある「鉄輪(かんなわ)」や「柴石(しばせき)」からは少し離れており、山を登ったところにあります。別府地獄組合のように観光地化はされておらず少し地味ですが、歴史を感じることができるタイプの地獄です。
入場は有料。入口にある受付は基本的に無人であるため、すぐ傍の岡本屋売店で購入します。こちらが駐車場でもあるので、先にお店に立ち寄って支払ってから向かうとスムーズです。
なお、「○○地獄」という名ですが、別府地獄組合には入っていないため共通券でめぐることはできません。
趣きある湯の花小屋
硫黄の香りとともに、見えてくるのは藁葺きの小屋。これぞ湯治場といった雰囲気ですが、ここは入浴する場所ではありません。この小屋たちはいったい何なのでしょうか?
ここは江戸時代より「明礬(みょうばん)」の採取が行われてきた場所。1804年(文化元年)岡本屋の祖である岩瀬正網という人物が山奉行として着任。明治維新により岩瀬家に払い下げとなって以来、「湯の花」の採取が行われている地です。
現在もここで湯の花が造られています。土間に温泉成分を含んだ青粘土を敷き詰め、地中から噴出する熱蒸気が浸透して結晶化することで湯の花ができあがっていくそう。この生産技術は2006年に国の重要無形民俗文化財にも指定されました。
なお、湯の花の成長速度は1日1ミリ程度。できあがるのにおよそ2ヶ月ほどかかるそう。
噴霧が広がる光景
湯の花小屋を出ると、蒸気が立ち込める温泉地帯が広がります。
「地獄」とつくからには噴気孔も多数。岩の隙間から吹き出す蒸気は霧のように広がります。
進んでいくと、江戸時代の明礬製造所跡もあります。積み上がった石の下には、噴気孔の断面が確認されたそうです。
足湯もありますが、2024年4月時点では休止中でした。
園内はそれほど広くないので、さっと見なら10分、じっくり見ても15分ほどの滞在時間で充分かと思います。
岡本屋名物のプリン
帰り際に、車を停めている岡本屋に寄り道。温泉玉子をのせたカレーやうどん、名物のとり天など様々なメニューを扱っています。
ちょうどお昼の時間なので何か食べていこうかなと思ったのですが、店内はなかなかの混雑。屋内座席は満席となっておりました。
外のベンチで軽く食べられるもの・・・ということで頼んだのは名物の「地獄蒸しプリン」。苦味が効いたカラメルと、卵の濃厚な味わいが絶品です!
ちなみに岡本屋の後ろにも湯の花小屋があり、こちらは入園料不要で見学できます。ただし、明礬を採取している小屋の中を見ることはできません。
また、周辺には「みょうばん湯の里」や「明礬山の湯」などの入浴施設もあります。地獄メインで訪れるというよりは、こちらの施設メインでついでに立ち寄るくらいが良さそうな気もします。
アクセスと営業情報
別府駅西口からバスで約25分のバス停「地蔵湯前」から徒歩1分ほど。車の場合は別府駅から約20分、大分空港から約45分。前述の通り、目の前の「岡本屋」が駐車場なのでそちらを目指すのが良さそうです。
なお、4月の平日に訪れたところ、駐車場がほぼ満車でした!連休中だと、駐車が困難になる可能性が高いです。
開園時間 | 8:30~17:30 |
---|---|
休園日 | 無休 |
料金 | 200円 |
公式サイト | https://jigoku-prin.com/sp/jigoku.htm |
※掲載の情報は2024年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント