暴れ川の歴史とそこに暮らす生物『筑後川発見館くるめウス』(久留米市)

福岡県

九州一の大河、筑後川に暮らす生き物を中心に、様々な淡水魚を飼育するミニ水族館。暴れ川として知られる筑後川の治水や防災についても学ぶことができるミュージアムです。

2021/5/3(月)

筑後川のミニ水族館

くるめウスは筑後川の川辺にあります。周辺はお店も多く賑やかな市街地ですが、交通量の多い大通りから側道に入ったところにあるため、とても落ち着いた雰囲気の場所です。

入口のゲート型水槽では、ウグイやオイカワ、カワムツ&ヌマムツが泳ぐ。いずれも上流域に暮らすサカナたちです。5月に訪問したところ、それぞれ婚姻色で色鮮やかな姿を見ることができました。

中流域に入ると、色鮮やかなコイやギンブナなどが登場。大型の水槽の中を悠々と泳ぐ姿を見ることができます。アフリカからやってきたティラピアも生息しているそうです。

様々な淡水魚

ゴツいサカナはオヤニラミ。10cmほどの大きさの小型なサカナですが気性が荒く、オイカワやムギツクなど他のサカナが近づくと睨んで追い返しています。なんだかふてぶてしい雰囲気。

こちらのサカナはセボシタビラという、筑後川に棲むタナゴの仲間です。腹ビレと尻ビレに白い線が入っているのは産卵期限定のカラーリング。

アブラボテという名のタナゴもいます。確かに他のタナゴに比べるとぼてっとしている印象、と思ったのですが、ボテ=タナゴの俗称とのこと。ちなみにアブラは、体色に由来しているそうです。

くるめウスとは

キラキラときれいなこのタナゴは、ニッポンバラタナゴ。昔は西日本各地で見ることができましたが、外来種であるタイリクバラタナゴが増加した結果、今では数がとても少なくなっています。

このニッポンバラタナゴ、学名が「ローデウス・オケラトゥス・クルメウス筑後川で捕獲された個体が標本となったため、久留米産という意味で付けられています。そう、この水族館の名前、「くるめウス」はココから来ています。

クルメウスと一緒に泳いでいる黒い線の入ったサカナはヒナモロコ。久留米市の天然記念物に指定されており、日本では福岡県だけに生息しているレアなサカナです。

暴れ川としての姿

筑後川は九州で最も長い河川。その流域は福岡県、佐賀県、熊本県、大分県と4県にまたがり、有明海へと注いでいきます。くるめウスでは、そんな筑後川の治水の歴史や人々との関りを知ることができる展示も並びます。

筑後川は、利根川、吉野川とともに日本の三大暴れ川に数えられています。昔は大きな川を人名に例える習慣があったため、「筑紫次郎」という名でも呼ばれていました。「板東太郎(利根川)」「四国三郎(四国三郎)」とともに、暴れ川三兄弟とされていました。

そんな筑後川流域ではたびたび洪水が発生。高い石垣を設けて水に浸からないようにした「水屋」や、天井に避難用の小舟を設置する「揚げ舟」など、様々な生活の工夫がなされていました。

くるめウスの目の間に流れる筑後川は、とても穏やか。ダム建設などの治水工事が進み、大規模な洪水が起こる頻度はかなり減ってきているそうです。

面白かったのが、筑後川という名に決まったエピソード

かつては筑前の人は、筑後の人はと呼んでいました。江戸時代に川の名前を統一する会議が行われたのですが、両者譲らず難航を極めました。そんなとき、筑前の家老がうっかり筑後川と呼んでしまい、それを聞き逃さなかった筑後の人に押し切られて筑後川が正式名称になったそう。

伝承なので真偽は定かではありませんが、たった一言のうっかり発言で決まってしまったのならば、家老というのはかなり責任の重い役職だったのでしょうね。いつの時代も為政者は発言に慎重にならねばならないのだなと思います。

アクセスと営業情報

西鉄天神大牟田線の宮の陣駅から徒歩15分。車の場合は九州自動車道の久留米ICから約5分。大型ショッピングモールゆめタウン久留米の裏側にあります。

開館時間 9:30~17:00
休館日 月曜
料金 無料
公式サイト http://kurumeus.net/

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