高山植物が豊富な赤城山。いくつもの散策ルートがある中でも、覚満淵(かくまんぶち)コースは30分程度でお手軽ハイキングが楽しめます。小尾瀬とも称されるこの場所で9月に咲く花を探します。
初心者におすすめ「覚満淵コース」
赤城山には数多くの登山ルートやハイキングコースがあります。その中でも気軽に山歩きを楽しめるのが覚満淵(かくまんぶち)という小さな沼を一周するコース。
1周30分というお手軽さに加えて、歩きやすい木道が整備されているので普段着、普通の靴でも全然大丈夫。せっかく赤城山に来たので山の自然を味わいたい、でも山歩きは慣れてない!なんて方にぴったりです。
まずはビジターセンターへ
覚満淵ルート入口のすぐ目の前には赤城公園ビジターセンターがあります。広い駐車場やトイレもあるので、出発前の準備にぴったりなスタート地点。館内には赤城の自然を紹介したミニミュージアム、そしていろいろ教えてくれるおじさんもいます。
駐車場から道路を挟んだ向かいがすぐに覚満淵ルートの入口です。
神秘的な覚満淵
覚満淵は周囲800mの小さな沼。周りには群馬県産の木材で作られた木道が敷かれています。
比叡山のお坊さんである覚満法師がここで大法会を開いたことから覚満淵と名付けられているそう。
人もほとんどおらず、聞こえるのは鳥の声と風の音。そんな静かな世界で霧の中に消えてゆく木道はあまりにも幻想的。どこか違う世界に行ってしまいそうな気持ちになります。
9月に見られる花
豊富な高山植物の茂る覚満淵は、尾瀬のミニバージョンという意味合いで「小尾瀬」とも呼ばれています。
高山植物の多くは6〜7月といった初夏に花期を迎えます。多くの花が終わりを迎えた9月ですが、それでもまだ咲いている花をいくつか見かけました。
『アキノキリンソウ』
黄色く小さな花をつける。名前の通り、秋を代表する山野草です。
『シロヨメナ』
アキノキリンソウに負けず劣らずたくさん咲いている白い花。シロヨメナとほぼ同じで少しピンクがかった花が咲いていたのですが、そちらはノコンギクという別種らしい。野菊は似ているものが多くて見分けるのはムズカシイです。
『タムラソウ』
アザミそっくりのピンク色の花ですが、トゲがありません。なお、トゲがあるものはノハラアザミという種。パッと見同じに見えますが、よく見るとそれぞれ特徴があります。植物を見分けるのって本当に難しい。
そして、葉に斑が入っている場合はトネアザミ。トゲも生えており、何となく強い悪役のような印象の植物。まるでノコンギクに襲いかかるようなシーンも。
『ミズヒキソウ』
ワイヤー状に伸びた茎に赤く小さな花が咲いています。人の目線からは見えないのですが、花を裏返すと白くなっており、お祝いののし袋に付ける紅白カラーの「水引」を連想させることからミズヒキソウという名で呼ばれています。
『ワレモコウ』
赤茶色の花がポンポンとしているのはワレモコウ。栗の花、もしくはあるものに似た香りがするのですが、運営上NGワードなのでここではちょっと伏せます。(気になる方は調べてみてね)
見れたらラッキー!難易度高めな植物
1周回り終えたのでビジターセンターへ。スタッフのおじさんに撮ってきた写真を見てもらって、名前や性質を教えてもらいました。
「入口付近には〇〇が咲いていますよ」
「今の季節だと、△△がぎりぎり見れるかも」
いろいろ話しているうちにおじさんに火がついた!ビジターセンターを飛び出したおじさんガイドのもと、再度覚満淵へ!
ここから先は私一人では見つけられなかった難易度高めの植物をご紹介します。
『エゾリンドウ』
地面付近、草木に隠れるようにひっそりと咲いています。普通のリンドウと違い、花びらが開かないのが特徴らしい。9月ともなると花期は終わりに近いため、もうほとんど花は残っていません。私が見つけたのもたった2株でした。
『アケボノソウ』
とても小さな花なので見つけるのは難易度高め。白い小さな花びらにはドット模様。雌しべ・雄しべ・蜜腺が立体的に組み上がっており、かなり特徴的な花をしています。
『ヤマトリカブト』
ドクウツギ、ドクセリと合わせて日本三大有毒植物に数えられる毒草。嘔吐、呼吸困難、内蔵停止、そして命を落とすこともあるそう。国語の教科書に載っていたことで有名な狂言「附子」も、このトリカブトの毒がテーマとなっています。
このまま覚満淵2周目してしまいそうな勢いですが、そろそろ帰りの時間がせまってきているので途中で終了。ビジターセンターのおじさん、色々教えていただきありがとうございました!
覚満淵を見渡す展望台
覚満淵コースを周ったあとは、ぜひ立ち寄ってほしいのが、ビジターセンターから車ですぐのところにある赤城山頂記念館。ここは展望台となっており、覚満淵周辺を一望できるのです!
奥には赤城神社のある大沼も見えます。天気が良いと筑波山も見えるそうですが、すぐに雲が出てきてしまいました。
いまさっき見えた覚満淵もすぐに雲の中へと隠れてしまいます。山で展望を楽しむときはタイミングが重要。見えるときに見ておかないと、もうその日は見えなくなってしまうかもせれません。
最後に大沼湖畔のお店が集まっているエリアへ。おっきりこみやワカサギフライなどの名物を楽しめる飲食店やお土産屋さんが並んでいます。
ビジターセンターのおじさんおすすめのお蕎麦屋さん、左手前にある曾山商店で、舞茸天ぷらそば(950円)。
揚げたてサクサクの天ぷらとしっかりコシのあるお蕎麦がたまらないお味でした。
これにて3日間の群馬県の旅はおしまい。まだまだ行きたいところがたくさんあるので、いずれまた再訪します。
コメント