甲斐国の一之宮という由緒正しき神社。ワインとの関連や、ずらりと並ぶ「十二支像」、厄払いの「桃之玉石 」など、見所は多いです。謎の霊鳥「ヨゲンノトリ」の絵馬もあります。
甲斐国の一之宮
笛吹市にある浅間神社は、現在の山梨県にあたる「甲斐国(かいのくに)」で最も格式の高い一宮とされている由緒正しき神社。

その歴史は古く、垂仁天皇8年という紀元前20年頃に神山の麓(現・山宮神社)で創建されたと伝わっております。その後、貞観7年(865年)に現在地に遷座したそうです。駿河国側には富士山本宮浅間大社が既にあり、甲斐国側にも浅間神社を建立して両方向から富士山を鎮めようとしたともいわれています。
日本各地に見られる浅間神社ですが、富士山を祀る神社の場合は読み方が「せんげん」で、火山そのものを信仰する場合は「あさま」と読むケースが多いです。しかし、この神社は富士山を祀っているにもかかわらず、読み方は「あさま」。正確な理由はわかりませんが、創建の古さから推測すると富士山信仰が確立される前に建立されたのがその理由かもしれません。
木造の随神門は趣深いたたずまい。

富士山を向かない社殿
参道を進むと、左側に東向きの拝殿が見えてきます。寛文12年(1672年)の建築であり、重厚な姿。

拝殿は富士山を向いておらず、90度横を向いて建てられています。これは、万が一の噴火の際に、神様が正面から被害を受けないようにするためだと言われています。

御祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。大山祇神の御女であり、山火鎮護、農業、酒造、子授安産などの霊徳神として信仰されています。
この神社、日本遺産「葡萄畑が織りなす風景」の構成資産にも登録されています。ブドウ畑とどのような関係があるのかと思い調べてみたところ、御祭神の木花開耶姫が酒造の守護神でもあるため、農作業の始まる毎年3月に多数のワイナリーがワインを奉納しているそう。山梨ワインの聖地のひとつでもあるのです。
境内散策で見つけたもの
こちらの手水は「御鎮座千百五十年記念事業」として掘られたもの。御祭神にあやかり、女神の井戸と命名されています。

境内社である護国社の両脇には尖ったものが置かれています。これはなんと砲弾でした!向かって右が日独戦争、左が日露戦争のものであるそう。

鳥居の傍にあるのが山宮神社遙拝所。前述の通り、もともとは神山の麓にて創建した浅間神社。本宮にあたるその地は、現在は摂社の「山宮神社」となっており、ここはその山宮神社を遙拝するための場所です。隣には、陰陽石も祀られていました。

社務所の裏側へまわると、本殿の囲いの中に「夫婦梅」が立っています。梅の実が2つくっついた状態で実り、その実をいただくと子宝に恵まれるといわれております。樹齢200年を超える長寿の梅の木でしたが、令和7年に枯死してしまったそう。現在はこの木を親とする子の梅が咲き、その遺伝子は継がれているようです。

ユニークな十二支像
拝殿の奥へと進むと、石でできた型抜きのようなモニュメントが見えてきます。こちらは石の祓門。くぐることで災難が祓われて、神のご加護がいただけるそう。

その奥に並ぶのが十二支石像。今年の干支とご自分の干支にお参りくださいとのこと。

この石像、デザインがとっても個性的!!ヘビは丸っこくてまるでチンアナゴみたいなかわいらしさ。

ヒツジはただ丸いだけでなく、注連縄みたいな紋が刻まれています。

サルはなぜかトサカのような突起があり、まるでニワトリと融合したかのような姿。

12体それぞれがかわいくも味がある仕上がりで、とっても魅力的です。誰がデザインしたのかとっても気になりますが、調べても情報が出てこず・・・。他にも作品があるのでしょうか。
厄払いの桃之玉石
十二支像の先には、2024年に誕生した「桃之玉石」があります。故事に習い、桃の実に見立てたこの石を「鬼石」に当てて砕き、厄を祓うというもの。500円で2玉入りです。

鬼石があるのは、三角形の穴が空いた「富士石」の先。この穴を上手く通すコントロール能力が試されます。

穴自体は大きいためそれほど難易度は高くなさそう・・・と思いきや、この富士石の位置が低いのがポイント。立った状態ではうまく投げられないため、なかなか難しいです!1回目は遠い位置から投げて手前に落ちてしまったので、2回目は少し近づいたところ無事成功しました!当たって砕ける瞬間はとっても気持ち良いです!
謎のヨゲンノトリ
絵馬に描かれているのは不思議な鳥。八咫烏(ヤタガラス)かと思ったのですが、足は普通に2本。その代わり、白と黒の頭が2つついています。

こちらは「ヨゲンノトリ」。かつて甲斐国の名主であった喜左衛門が記した「暴瀉病流行日記(ぼうしゃびょうりゅうこうにっき)」 の8月の記事に描かれている、 頭が二つある不思議な鳥です。安政4年(1857年)に加賀国白山にあらわれ、翌年に流行するコレラを予言し、「私の姿を朝タに拝めば難を逃れることができる」と言ったとされています。
SNSで流行した「アマビエ」と非常に似たタイプの妖怪ですね!実はこのような予言妖怪は「件(クダン)」や「アマビコ」など多数存在しています。面白いのは、いずれも登場が1830~1860年頃ということ。飢饉や噴火など、人々が不安になる出来事が多く重なった時代であることが、このような妖怪が多数登場するきっかけとなったのかもしれませんね。
(つい「妖怪」と書いてしまいましたが、「霊鳥」や「神獣」と書いた方が適切であったかもしれません・・・!)
アクセスと参拝情報
| 参拝時間 | 24時間 |
|---|---|
| 料金 | 無料 |
| 公式サイト | https://asamajinja.jp/ |
※掲載の情報は2025年12月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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