豊かな自然が広がる都市公園「群馬の森」。多くの人でにぎわう森の中には、戦時中に稼働していた火薬製造所の跡が残っているそう。今回は30分ほどでその跡を探しながら園内をめぐってみました。
群馬の森に隠されたヒミツ
緑豊かな都市公園、群馬の森。博物館や美術館もあり、人々の憩いの場として知られる広大な公園です。実はこの公園、もともとは火薬製造所であった場所。
1882年に「東京砲兵工廠岩鼻火薬製造所」が設置され、1923年には「陸軍造兵廠火工廠岩鼻火薬製造所」へ。続く1940年には「東京第二陸軍造兵廠岩鼻製造所」と名前を変えますが、一貫して火薬やダイナマイトなどが生産されていた場所なのです。
1905年には、日本初となるダイナマイト工場が建設されます。そんな歴史から、園内には「我が国ダイナマイト発祥の地」の碑が建立されております。
群馬の森開設に伴い多くの施設は解体撤去されましたが、今もいくつかの面影が残されているそう。せっかく来たので、園内をめぐってその跡を探してみることにしました!
土塁とコンクリートトンネル
「あそびの広場」の南側を見ると、土の斜面を貫通するように設けられたコンクリート製の短いトンネルが姿が。
実はこちら、 火薬製造工場にて爆発事故発生時に被害を軽減するために築かれた土塁なのです。
人目に付く場所ではありますが、特に気にしている人はおらず。言われないとこれが人工的な土塁であること、そして火薬製造工場に関連するものだなんてなかなか気が付けないと思います。
森の中の火薬工室
ダイナマイト碑の近くにある公衆トイレ。そこに背を向けて森の中を見ると、立入禁止ロープが。
落ち葉を歩いて少し近づいてみると、古の建物がずらりと並ぶ姿を見ることができます。
おそらくですが、1937年頃に建てられた火薬工室の跡地。トタン屋根に鉄筋コンクリートの姿は、風雪に耐えて今もそのカタチをとどめています。
横たわる巨大な射場
おそらくこの火薬製造所跡で一番見応えがあるのが射場。園内の奥地、修景池の近くにフェンスで閉ざされた道があります。
その奥には筒状のコンクリートが横たわる姿を見ることができます。こちらは1935年に完成したもの。フェンスにわずかながら案内文が記されており、それによると小火器専用として使用されていたそう。
この射場、思っていたよりも大きくその直径は3mほど。木々に包まれた姿もあいまって、存在感と迫力が凄いです!!
めぐってみた感想
ということで、さらっと「土塁&コンクリートトンネル」「火薬工室」「射場」の3ヶ所をめぐってみました。
戦争遺跡の多くは山の中であったり、海辺の岩場であったり、本土から離れた離島であったりとアクセス難易度が高いことが多いです。その点、ここは誰でも気軽にアクセスできる公園の中。ランニングや犬の散歩をする人、駆け回る子供たちのすぐ側でこんな重厚な遺跡が残されている違和感が非常にユニークなポイントでした。
今回紹介した以外にも、ふと森の中に目をやると、レンガ造りの何かが眠っていたりします。きっと他にも多数の跡が残されているハズ。訪問予定の方は、ぜひ園内をめぐって探してみてくださいね!
なお、射場や火薬工室は近くで見ることができないため、写真を撮りたい方は望遠レンズなどのご用意を。そして、夏は生い茂る草木と多数の虫が行く手を阻みます。もし季節を選べるならば、冬がおすすめです!
アクセスと駐車場情報
今回めぐったポイントは、群馬の森の南側の歩道沿いに全てそろっています。
駐車場は西側の「正面入口」に停めて、美術館や歴史博物館と合わせて訪問しました。もし、火薬製造所跡だけを見るならば、森の東側「修景池」近くにも駐車場があり、そこからの方が近いです。
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