生石(おうしこ)神社の御神体は巨石「石の宝殿」。石を祀る磐座信仰の神社というのはそれほど珍しくないのですが、問題はその石のカタチ。人為的に加工したとしか思えないルックスは、まるで何かの部品のような姿。太古の昔、神が作りあげたという伝説も残されています。
巨石を祀る神社
高砂市にある生石神社(おうしこじんじゃ)は、住宅街を抜けた宝殿山の高台にあります。
大穴牟遅(おおあなむち)、少毘古那(すくなひこな)を主祭神とする神社で、社殿によると創建は崇神天皇の時代とされています。西暦にすると紀元前97~30年。もし事実ならな2000年という恐ろしいほどの歴史を持つ神社です。
この神社の御神体は石の宝殿という巨石。社殿の中へ進むと、石の宝殿への参拝口が続いています。
拝観料は100円ですが、受付などはありません。24時間参拝可能ですが、「なるべく日が昇っているうちにお参りください」とのことでした。
石の宝殿
目の前に現れるのは巨大な四角形の岩、こちらが石の宝殿です。
1片6〜7mにもおよぶ大きな立方体で、前に立つとかなりの迫力。ぐるりと掛けられた注連縄が神聖なものであることを物語ります。
岩の下には水が張られているのですが、着水している点が見えないようになっており、まるで宙に浮かんでいるかのような姿。そのため、浮石とも呼ばれているそう。おそらく、山の岩盤をぎりぎりまで削り込んでこのような状態に仕上げているのではないでしょうか。
この不思議な景観は、水の色が変わるという御釜神社の「神釜」(宮城県)、霧島岳の山頂に刺さる「天の逆鉾」(鹿児島県)と合わせて日本三奇にも数えられています。
不思議な造形
正面から見ると立方体に見えていたのですが、サイド部分には、左右対称にスリットが刻まれています。まるで何かにはめ込んでいたかのような痕跡です。
さらに裏手に回ってみると、謎の突起が出ています。四角形の岩なら自然にできることもあるだろうと思いますが、この造形はさすがに人為的に造られたと考えるのが自然です。
スリット・突起ともに、まるで何かとドッキングしそうな構造。もしかして、他の岩と組み合わさっていた、または組み合わさることを想定していたのでは・・・?
神によって作られた?
かつて、御祭神である大穴牟遅と少毘古那の2柱が国土経営のために出雲の国よりこの地にやってきました。
国を鎮めるための石の宮殿を造営しようとするも、この播磨に住む土着の神である阿賀の神の反乱を受け、未完成に終わってしまいます。
2柱は「たとえ未完成であっても、二神の霊がこの石に籠もり、永劫に国土を鎮めん」と言明したため、石の宝殿として祀られるようになったそうです。
不思議なカタチをも、宮殿のパーツと考えると合点が行きますね・・・!
回りながら考える正体
石の宝殿をぐるっと取り囲むように遊歩道が作られています。高い位置から見下ろすと、不思議な造形の全貌がよく見える。改めて何かのパーツのようなカタチにどきどきしてきました。
さらに少し登ると、周辺を見渡せる開放的な山上へ。辺りを見渡すと、石切を行った採石跡も見えます。こちらは竜山石採石遺跡といい、古墳時代から続く採石の跡になります。
古墳時代・・・もしかして、石の宝殿は古墳に使用するパーツだったのでは?古墳の石室や石槨ではかなり優れた石の加工技術を見ることができるので、この石の宝殿を作り上げることもそれほど難しくなかったかもしれません。さらに、兵庫県は日本一古墳が多い県。そういった技術が高められていた可能性は大いにあります。
アクセスと情報
最寄り駅は山陽本線(JR神戸線)の宝殿駅。そこから歩いて25分ほど。
目の前には無料の駐車場もあります。
開門時間 | 24時間参拝可能 |
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公式サイト | http://www.ishinohouden.jp/ |
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