光のアーティスト、ジェームズ・タレルがプロデュースした「泊まれるアート」。スイッチで開閉していく天井をはじめとした館内は、宿泊者以外も見学することができます。今回はアートめぐりの中で、ふらっと立ち寄ってみました。
泊まれるアート作品
新潟県にて開催される大地の芸術祭。十日町や津南町からなる「越後妻有(えちごつまり)」地域を舞台に、多数のアート作品が展示されます。3年に1度のトリエンナーレ形式ですが、それ以外の年に訪れても多くのアート作品を鑑賞することができます。
そんな中でも人気の高い作品が《光の館》。光のアーティスト、ジェームズ・タレル氏がプロデュースした作品で、2000年に開催された第1回大地の芸術祭にて建設された老舗作品です。
宿泊機能を備えた「泊まれるアート」ですが、日中は宿泊者以外でも見学が可能。写真左の小屋が受付で、見学料金を支払います。
こちらが光の館。豪雪地であるため、床が地面よりもかなり高く造られています。
明るい雰囲気の館内
館のまわりを一周するように縁側があります。このスペースは幅が広く、ごろんと横になることも可能。5月に訪れたところ、新緑が床に反射した「床みどり」がとってもキレイ。
光の館は周辺よりも少し高いところに建設されているため、眺めも抜群。吹き抜ける風が心地よいです。
館内にはキッチンも完備しています。IHの調理器具、炊飯器、冷蔵庫と一通り揃う設備。基本的に素泊まりであるため、食事は持参するかここで自炊するかのいずれかになるようです。
開放的なお風呂
お風呂も見学可能です。居室の下、1階部分にあるのですが、引き戸を開けば半露天のような気分で入浴可能。里山の自然を眺めながらの貸し切り風呂なんて最高すぎます。
実はこのお風呂も《Light Bath》という作品。光ファイバーが仕込まれており、入浴すると体が光るという仕掛けがあります。
(残念ながら日帰り入浴はやっておりませんので、光る姿を拝むことはできませんでした。)
ちなみにトイレもきれいで広々。ちゃんとウォシュレットも備えています。
スイッチで開く天井
さてさて、この光の館で一番の見どころといえばなんといっても《Outside In》。12畳の和室に設置されたこの作品、壁のスイッチを操作すると屋根が動き出しました!!!
左がビフォー、右がアフター。ウィーンと和室に不釣り合いな機械音が響き、天井が開きました。
でも、これは本当に空なのでしょうか?もしかしてただ蛍光灯に照らされた板だったりしないでしょうか?
そんな猜疑心も、雲間から降り注ぐ太陽の光にかき消されました。
畳にごろんとなって空を仰ぐ。太陽光が降り注ぐ和室はなんて気持ち良いのでしょうか。
宿泊者はこの屋根を自由に操作できるそう。星空を見ながら眠ったり、朝日で変わりゆく空の色を楽しんだりできるということですね!!なんてうらやましい。
『陰翳礼讃』の思想
この光の館は、谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼讃』(いんえいらいさん)に着想を得てつくられているそうです。
なんだか難しそうなタイトルですが、せっかくなのでちょっと調べてみました!
タイトルの陰翳は『陰』、そして礼讃は『ほめたたえる』という意味。その名の通り、陰を良いものとして扱う、日本古来の美意識について説いた作品とのこと。建築や照明、食事など、様々なところに潜む日本人の感覚を考察した作品であり、アメリカやフランスでも翻訳され様々な分野の人に影響を与えているそうです。
大地の芸術祭の総合ディレクターを務めた北川フラム氏は、タレル氏にこの『陰翳礼讃』を手渡したそうです。
気になる料金は・・・
もの凄く魅力的な宿泊施設ですが、気になるのはその料金。きっと凄く高価なのではないでしょうか・・・?
公式サイトによると、まず以下の施設基本料が1グループあたりにかかります。
4月1日~11月30日: 30,000円(1泊)
12月1日~3月31日:25,000円(1泊)
※2023年8月時点の金額です
そして、利用人数に合わせて以下の一人当たり利用料がプラス。
■土曜日・日曜日・祝祭日
一般(中学生以上)6,000円 / 小学生 3,000円
■月曜日~金曜日(平日)
一般(中学生以上)5,000円 / 小学生 2,500円
※小学生未満無料
※寝具レンタル料、1人500円が別途必要
※ごみ処分料、1人100円が別途必要
※2023年8月時点の金額です
4~11月の土日祝日に5人で泊まれば1人あたりの宿泊料は12,000円。もし10人集まれば1人9,000円ほど。仲良いグループで自炊しながら過ごしたらとっても楽しそうですね!
ちらっと公式サイトの予約カレンダーを覗いてみましたが、基本的に満室。毎月1日に4ヶ月先の予約が開始するようなので、早めの確認がおすすめです!
タレル氏が複数の家族での交流も望んでいることから、少人数で予約の場合、他グループと同泊をお願いされることもあるそうです。その場合、この施設基本料は組数で割り算となるため、もっと安い料金で宿泊できる可能性もあります。
ただし、キッチン、浴室、トイレは共同であり、各部屋にカギも無いためちょっと気になるという方もいるかもです。公式サイトの予約カレンダーの「△」となっている日で申し込むと同泊になるのかもしれませんが、気になる方は直接問い合わせてみるのをおすすめします・・・!
アクセスと見学情報
近くにバス停などはないため、十日町駅からタクシーで向かうそう。所要時間は15分程とのことです。
見学時間 | 4~10月:12:00~15:00(15:30閉館) 11~3月:11:30~14:30(15:00閉館) |
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料金 | 600円 |
公式サイト | https://www.hikarinoyakata.com/ |
※掲載の情報は2023年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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