住宅街にたたずむ小さな昆虫館。世界の様々な昆虫の標本はもちろん、実際に生きている昆虫も見ることができます。スタッフさんがいろいろと教えてくれるアットホームな施設です。
住宅街のミュージアム
閑静な住宅街に現れる黄緑色のラインが入った建物、ここは虫の詩人の館というNPO法人日本アンリ・ファーブル会が運営する研究施設。曲面のある外観は、昆虫の繭をイメージしているそう。
入口となる1階と地下に展示があり、無料で見学可能。通常の昆虫館のイメージと比べると小規模ではありますが、様々な展示が詰まった空間です。
今回は日曜の訪問ということもあり、子供連れで大賑わい。ここでは「上級者用昆虫クイズ」というイベントも開催しています。挑戦料1,000円と一見すると高く感じますが、クリアすると好きな昆虫標本がもらえるそうです。なかなか難易度が高いようで、親子で一生懸命取り組んでいる姿を多数見かけました。
昆虫を学べる展示
ずらりと並んだ多数の昆虫標本。びっしりと並ぶモルフォ蝶は、光を反射して美しいブルーに輝きます。よく見ると羽のカタチや色合いが少しずつ異なっています。
こちらはヘラクレスオナガヤママユ、ヘラクレスモルフォ、ヘラクレスシロスジカミキリ、ヘラクレスキノボリハンミョウ・・・。まさかのヘラクレスシリーズ大集合!ギリシャ神話の英雄の名を冠した昆虫は、オオカブトだけじゃないんですね。
コントローラで見ることができる3D昆虫図鑑もあります。毛の一本一本が見えるほどズームして観察することもできます。
レンズとライトで昆虫の体を拡大して観察できるコーナーも。まるでおもちゃのように箱に詰まっているのは、甲虫の亡骸。ちょっとだけドキッとします。
生きている昆虫もたくさん
もちろん生きている昆虫の姿も見ることができます。人気なのはカブトムシやクワガタ。立派な角を持つヘラクレスオオカブトも飼育されていました。
こちらも大きなパラワンオオヒラタクワガタ。ツヤ消し加工されたかのような真っ黒な身体は、非常に貫禄があります。
他にもニジイロクワガタやタイワンサソリモドキなど、日常では見ることができないような昆虫などがたくさん。生体の販売も行っており、カブトムシの幼虫が300円、コクワガタは600円でした。
奥の方には、まさかの「世界のゴキブリ」水槽も!残念ながら、みんな土に潜っており姿は見えませんでした。いやー残念です。
ファーブルを感じる生家
こちらはファーブルの仕事机の複製。若い時に購入した小さな机であり、最期まで愛用していたそうです。机の上には、寝るとき以外常にかぶっていたという愛用のフェルト帽子も置かれています。
地下には再現されたファーブルの生家もあります。カナダの100年前の倉庫や納屋などの木材を利用しているため、時間の経過した趣が詰まった空間です。
展示されているのは南仏ルーエルグ地方の家具や什器。「貧しいファーブルの家にこんなにたくさん物があったとは思えませんが、一種の民俗博物館だと考えてください。」とのこと。
ちょっとした解説も置かれているため、それぞれの道具の用途もわかりやすいです。ベッドに置かれている謎の木型のようなものは、寝る前に炭火を使ってベッドを温めておくためのアンカであるそう。
企画展・立体昆虫図譜展
2024年3月31日は、地下にて立体昆虫図譜展を開催。画家のマリーア・ズィビラ・メーリアン(1647-1717)の描く昆虫画と実際の標本を組み合わせた企画展です。
当時、昆虫は腐肉や泥から自然発生すると信じられており、昆虫を飼育したら魔女としての疑いをかけられる可能性すらあった時代。そんな中、画家としてのスキルを持っていたメーリアンは昆虫を緻密に描写。昆虫学に多大な貢献をもたらし、さらに生物画を芸術の域にまで高めました。
この企画展では、そんなメーリアンの描いた図譜とともに、実物の昆虫標本を合わせた立体昆虫図譜を展示。彼女の描写力を実感することができる内容となっております。
施設自体は非常にコンパクトでしたが、展示物はなかなかユニーク。駆け抜ける子供たちの邪魔にならないように、じっくりと楽しませていただきました。
アクセスと営業情報
・JR山手線・京浜東北線の西日暮里駅・田端駅より徒歩12分
・東京メトロ千代田線の千駄木駅より徒歩12分
・南北線の本駒込駅より徒歩10分
開館時間 | 土日の13:00~17:00 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | http://www.fabre.jp/ |
※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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