古墳時代の人々の生活や文化を現代に伝えるミュージアム。ハニワや武具をはじめとした様々な出土品も展示されており、壮大な古代ロマンに浸ることができます。安藤忠雄による無機質なコンクリート建築も見どころです。
安藤忠雄の傑作
一須賀古墳群を保存する史跡公園「近つ飛鳥風土記の丘」。そこにある近つ飛鳥博物館は、古墳時代をテーマにした歴史博物館。
コンクリート打ちっぱなしの印象的な外観は、表参道ヒルズや光の教会などで知られる建築家・安藤忠雄によるもの。1994年に完成したこの博物館は彼の代表作であり、日本芸術大賞も受賞しています。
眺めの良い屋上にそびえる四角形の塔は「黄泉の塔」。周囲は階段が広がっており、腰かけて休んでいる人の姿も見られました。
館内は吹き抜け構造で開放的。3フロアに渡り展示室が広がっており、受付から下へ降りて行きながら見学するのが順路となっています。
気になるには「近つ飛鳥博物館」というネーミング。これは、古代におけるこの辺りの名称「近つ飛鳥(ちかつあすか)」を冠したもの。この名前は、当時都が置かれた大阪から見て近い飛鳥という意味。ちなみに、遠い飛鳥は、現在の奈良県明日香村と考えられています。(※諸説あり)
巨大な古墳の模型
中心にある大きな古墳は、堺市にある仁徳天皇陵古墳の模型。長さ525mという日本最大の古墳で、周囲には濠がめぐらされています。1/150とのことですが、もともとが巨大なためこの縮尺でも直径10m近くあります。
実物は上から見ることができないため、こういった模型があるととてもイメージがしやすい。大きな古墳の周辺には、小さな古墳がたくさん造られています。これは陪塚(ばいづか)と呼ばれており、近親者や従者を葬っているそう。
古墳の周りには、小さな人々の姿が。シカを追って狩りをしていたり、宴を開いていたりとヒューマンドラマがあって面白い。人々の目線になってみると、古墳の巨大さを実感します。
様々なハニワ
古墳の出土品といえば、有名なのは埴輪。人型の埴輪は、困っているような、悲しんでいるような、なんとも言えない表情で人々の心を惹きつけます。
ひとことで埴輪といっても、人型以外にも様々なモチーフがあります。こちらは藤井寺市の青山4号墳より出土したイノシシ型の埴輪。立派なタテガミがポイントですが、現代で見かけるイノシシと比べると、首が長いのが気になります。
こちらは水鳥型埴輪。藤井寺市の津堂城山古墳から出土したもので、4世紀頃に作られたそう。クチバシから推測するに、アヒルやカモのような水鳥に見えます。脚が体の下ではなく両サイドに付いているところも気になるポイント。構造上、あえて脇に付けたのでしょうか?
横たわる修羅
展示室内に横たわる大木、これは木のソリ「修羅」。古墳の造営に使用した運搬具で、大きな石棺などを載せて運んだと考えられています。
アカガシで作られており、長さは8.8mとかなり大型。藤井寺市の三ツ塚古墳より粘土に包まれて出土したもので、古墳時代の修羅としては初めての出土だったそう。
通常、木製品は多く水分を含んでいるため、出土して乾燥すると朽ち果ててしまいます。そこで、内部の水をポリエチレングリコールへ置き換えいくという方法で保存処理を行うことで、出土時の状態を保つことに成功します。
そのときの苦労や博物館へ運ばれる様子は、展示隣に設置されたモニターにて見ることができます。
アクセスと営業情報
近鉄長野線の喜志駅から金剛バス阪南線で約16分、バス停《近つ飛鳥博物館前》下車後、徒歩8分ほど。
車の場合は南阪奈道路の羽曳野東ICか太子ICから約10分。駐車場は「風土記の丘駐車場」と「博物館駐車場」の2ヶ所あります。博物館駐車場は博物館の目の前ですが、風土記の丘駐車場からだと、公園内を8分ほど歩くことになります。
この2つの駐車場を直接つなぐ道路が無いため、駐車場間の移動はぐるっと遠回りする必要があります。歩きたくない方は、最初に地図で博物館駐車場を確認して向かうことをおすすめします!
開館時間 | 9:45~17:00 ※展示室は10:00から |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 310円 |
公式サイト | http://www.chikatsu-asuka.jp/?s=index |
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