白虎隊ゆかりの地として会津若松を代表する観光スポット飯盛山。そこには、さざえ堂と呼ばれる一風変わった仏堂があります。二重らせん構造で仕上げられた堂内を歩いて、その不思議なスパイラルを体験してみよう。
飯盛山の珍建築
会津若松市にある飯盛山は、標高314mのちいさな山。白虎隊悲劇の舞台として知られているスポットですが、ここには「さざえ堂」というユニークな建築があります。
さざえ堂が建てられているのは、山の中腹部分。立ちはだかる階段か、動く坂道であるスロープコンベアを利用して登っていきます。ただし、このスロープコンベアはひとり250円と有料なのでご注意ください。
まだまだ旅の序盤なので躊躇いなく利用しましたが、山頂までの階段は183段。健脚の方でしたら階段を登ってもそれほど時間はかからないかもしれません。
スロープコンベアの降口から山頂方面へ行かずに左へ進んで行くと、その姿が見えてきました。
高さ16.5m、六角3層の不思議な外観の建築。庇(ひさし)が巻き付く様に取り付けられており、異様な姿をしております。
スロープで上る堂内
料金を支払い、堂内へ。このさざえ堂、正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」。入口には、このお堂を建立した郁堂(いくどう)禅師の像が安置されていました。
すぐに見えてくるのは、上層部へとつづくスロープ。螺旋状に堂内を進んで行くことができます。このような寺院建築でスロープ、しかも螺旋状というのは非常に珍しいです。
ぐるぐると上っていくと、最上部に到着。天井にはお札がびっしり!!まるで何かを封印しているかのようですが、こちらはおそらく千社札。参拝の証として貼られたものであり、多くの人に信仰されてきたことを物語っています。
二重らせん構造とは
さて、ひと通り見て回ったのでスロープを降りて入口へと戻ります。来た道を戻ろうとしたところ、順路は反対方向のスロープを示しています。
そのままスロープを降りていくと、入口とは別の出口へと到着しました・・・!
このさざえ堂、らせん構造なだけでも特殊なのですが、さらにスロープが二重らせん構造となっています。上りと下りのスロープの螺旋は別々に造られており、それらが上手く組み合わさっているため、一度通った所は二度通らないようになっているのです。当然、上る人と下りる人がすれ違うこともありません。
掲示されていた朝日新聞の記事によりますと、レオナルド・ダ・ヴィンチの設計と伝わるシャンボール城の二重らせん階段が蘭書に記載されて日本に伝わり、影響を与えたとの説もあるようです
また、秋田藩主であり画家でもあった佐竹曙山(佐竹義敦)のスケッチに「二重らせん図」の記載があり、それはロンドンで出版された「実用透視画法」(ジョセフ・モクソン著)の写しであるそう。そこから着想を得て建立されたとみる説もあるようですが、いずれも確固たる証拠があるわけではないようです。
飯盛山の見どころ
飯盛山山頂には様々な記念碑や慰霊碑が立ち並ぶ広場があります。眺めがよくてとても気持ち良い場所です。
そこからさらに少し歩くと見えるのが白虎隊自刃の地。その昔、白虎隊と呼ばれる少年兵たちは、ここから煙を上げる鶴ヶ城(会津若松城)を見て落城したと思い、自刃を決意しました。しかし、本当はまだ城は落ちておらず、周辺の火災もしくは湯気であったと言われています。(※城が落ちていないことは知っていたが、敵に捕まる前に武士として自ら命を絶ったとの話もあります)
静かな池の奥には、戸ノ口堰洞穴と呼ばれる穴が見えます。猪苗代湖北西岸の戸ノ口から会津まで水をひく人口の洞穴で、かつて戸ノ口原の戦いで敗走した白虎隊士たちはこの穴を通ってここまで逃げてきたといいます。
つづいて白虎隊記念館。豊富な白虎隊関連の資料や、戦いが再現されたジオラマなどの展示があります。2階ではアニメの解説映像が流れているのですが、まるで紙芝居のようなほのぼのした雰囲気。ちょっと気が抜けてしまいますが、悲劇のストーリーはこれくらい方がさらっと見られて良いのかもしれませんね。(館内撮影NGでした)
アクセスと営業情報
まちなか周遊バスの「ハイカラさん」と「あかべぇ」の「飯盛山下」下車後、徒歩5分。
開館時間 | 8:15~日没 ※1~3月は9:00~16:00 |
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休館日 | 無休 |
料金 | 400円 |
公式サイト | https://www.aizukanko.com/spot/138 |
※掲載の情報は2023年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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