竹を専門とした珍しい植物園。素人目に見てもその違いがはっきりわかるくらい個性的な竹が大集合!園内の資料館では、竹材としての竹や、不思議な生態についても学ぶことができます。車が無いとアクセスしづらいですが、非常に満足できるスポットでした!
竹専門の植物園
「乙訓(おとくに)」ということばをご存知でしょうか。京都の南西部の地域で、現在の向日市、長岡京市、大山崎町あたりを指すエリア。大阪と京都を結ぶ交通の要衝であり、短い間ですが長岡京という「都」が置かれていた時代もあります。
長岡天満宮、楊谷寺、乙訓寺などの見どころがある中で、今回訪れたのは京都市洛西竹林公園。入り口から既に見えている竹林。風で揺れると独特な音色が響き渡ります。

入口側の竹、よく見ると黄金の稈(かん=幹の部分)に、緑のラインが入っています。まるで塗料で塗り分けたような個性的な姿。こちらはキンメイモウソウという、モウソウチクの園芸種です。

まるでタコ糸で縛られているかのようなキッコウチク。こちらもモウソウチクの園芸種で、亀の甲羅のように膨れる特徴的な稈をしています。

最初から個性的な竹の登場に、早くもわくわくしてきました!
様々な竹の工芸品
すぐに見えてくるのは竹の資料館。こちらも無料で見学することができます。

内部には京都の伝統的な竹製品や竹で作られた様々な工芸品など、竹に関する展示がずらり!

竹のバット、竹刀、花器など、様々なものが展示されています。篠笛やバンブーレインスティックなどの竹の楽器は、実際にさわって音を出すことも可能!
おそらく日本一有名な竹の加工品といえば、これじゃないでしょうか?

ご存じ、青竹踏み。竹を割っただけというシンプルな品ですが、上に立つだけで足ツボを刺激できるというアイテム。
ここでは実際に試すことができます!幼い頃におばあちゃん家で見かけて以来の青竹踏み。痛い記憶しかありませんでしたが、今は痛気持ち良いに変わっていました!
バリエーション豊かな利用
木枠に入っているのは、長岡京時代の排水溝。784~794年に都として機能していた長岡京遺跡より発掘されたもので、竹を利用して作られています。

こちらの一見すると竹要素を全く感じない展示品、実は竹筋コンクリート。金属不足となった太平洋戦争時に、鉄筋の代わりとして竹が利用されていました。

これはエジソン電球といい、アメリカの発明王エジソンが作ったもの。その貴重なひとつが展示されています。

この電球を見て竹との関連が真っ先に浮かんだ方はすごい!中央にうっすらと伸びる発熱部分「フィラメント」の材料として利用したのが京都八幡のマダケ。現在はタングステンという金属が中心ですが、かつては電球も竹を使用した製品であったのです。
竹といえば家具や工芸品のイメージが強かったのですが、こんなにも様々な利用がされてきたのですね!
激レアな竹の果実
こちらの瓶に入っているのは竹の果実。インドやバングラデシュに生える「メロカンナ」という種類の竹は、花を咲かせて大きな果実を結ぶそう。

日本に自生するモウソウチクやマダケも実を結ぶことはありますが、米粒サイズの非常に小さな実。メロカンナのように立派な果実が実る竹はかなりレアです。

なお、果実が実る前に花が咲くのは数10年に一度きり。ときには130年という長い年月を経ることもあるそう。花が咲いて実をつけたあと竹は枯れてしまうため、竹の花を見れたら超ラッキー!竹の果実に出会えたら超超ラッキーです!!
美しき竹材の世界
壁一面に並んでいるのは京都特産の竹!「白竹」、「孟宗竹」、先ほど入口付近で見かけた「亀甲竹」など様々な竹が並んでいます。

京都ならではの技法で生産された竹を「京銘竹」と呼びますが、そのうちのひとつが「図面角竹」。タケノコの太さにあわせて木枠を被せて形を角ばらせ、薬剤を含む刷毛で図面模様をつけるという手の込んだ竹材。これで青竹踏み作ったら、ツボの刺激がマシマシになりそうです。

コーヒー色の模様が付いているのは煤竹。こちらは生産の段階で何か手を加えるのではなく、茅葺き屋根の天井などに利用された竹が煤で黒くなったもの。独特の色合いは非常に美しいですが、このような色になるのにかかる時間は100年以上。そのため、非常に高級な竹材となっています。

目を引くのは真っ黒なラインが入る竹。黒漆のようですが、一体どのようにして仕上げているのでしょうか。「嵯峨柱」という名が表記されていましたが、スタッフさんに尋ねても詳しいことはわからず。Webで検索してもまったくヒットしません。もしかして闇のアイテムなのでしょうか・・・?

竹林が広がる生態園
竹の資料館から先は、生態園という庭園が広がっており、自由に散策可能。

まるで嵐山の「竹林の径」のような竹林も、ほぼ誰もいない状態で楽しむことができます。

こちらの細い竹は「ヤダケ」。その名の通り、矢に利用されます。名前には「竹」とついていますが、実は「笹」に分類される植物。笹と竹って何が違うのか気になったので調べてみたところ、タケノコから成長した際に稈の部分に皮がついたままのものを笹、皮がとれてつるつるになるものを竹と分類するそうです。

応仁の乱の最初の大合戦が行われた「百々橋」や、二条城の石垣に使用されていた「石仏群」などの歴史遺産も置かれていますが、長くなってきたのでこのあたりで。

これまであまり意識してこなかった「竹」について、たっぷりと学ぶことができました!今すぐに覚えた竹知識を披露したいところですが、なかなかそのチャンスは訪れなそうです。
どうでも良いのですが、訪問前に「竹林公園には絶対にチクリンというキャラクターがいるハズ」と思っていたところ、竹のキャラクターを見つけました!

ほら、チクリンだ!と思ったのですが、その名は「たけにょん」でした!これは想像できませんでしたね。
アクセスと営業情報
近くに駅がないため、車がないとアクセスは少々難しめ。シェアサイクル「ハローサイクリング」のポートが公園の駐車場にあるので、どこかでレンタルして向かうのもありです。
| 開園時間 | 9:00~17:00 |
|---|---|
| 休園日 | 水曜、年末年始 |
| 料金 | 無料 |
| 公式サイト | https://chikurin-park.com/ |
※掲載の情報は2025年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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