数多くの塔頭寺院を有する大徳寺。この大仙院は常時公開されているため、時間内であればいつでも拝観することができます。渓谷、大河、大海原と続く壮大な枯山水、そして意外な「日本最古」にも出会うことができます。
常時拝観可能な塔頭
大徳寺の塔頭寺院である大仙院(だいせんいん)は、永正6年(1509年)に大徳寺76世住職であり「大聖国師」こと古嶽宗亘(こがくそうこう)によって創建された寺院。大徳寺の東門をくぐり、山門や仏殿の先、方丈の裏に位置しています。
多くの塔頭寺院が限定公開であったり非公開である中、この大仙院は常時拝観可能な貴重な寺院。座禅会も開催されており、禅の精神を人々に伝える役割も担っています。
門の前に立つのは菩提樹、山法師、娑羅双樹。「仏教三霊樹(菩提樹・無憂樹・娑羅双樹) 」かと思いきや、少し異なるラインナップ。何か意味があるのでしょうか。
大海原を表現した庭園
靴を脱いで受付を進むと、永正10年(1513年)に建立された方丈へ。日本の方丈建築としては東福寺・龍吟庵方丈に次いで古い遺構であり国宝に指定されています。廊下はウグイス張りとなっており、歩くたびにぴよぴよと耳触りの良い音が響き渡ります。
目の前に広がる方丈庭園は、水を使用せず山水の趣を表現した枯山水庭園。開祖である大聖国師によって室町時代に造られた庭園です。
この庭園はが表現しているのは大海原。2つの盛砂以外には岩や築山などの配置がないのも、海の広大さを表しているのでしょうね。
川を遡り渓谷へ
方丈の東側へ周ると、こちらにも庭園があります。先ほどの海を表した庭園よりも小さな庭園、ここは川を表しているそう。
点前には伏せた牛を表す臥牛石、奥には舟のかたちをした舟石が配置されています。よく見ると、砂に埋まって一部だけが見えている石も、こちらは霊亀石といい、亀を表しています。
さらに奥にも庭園があります。これまでとは打って変わってダイナミックな石組。こちらは蓬来山と3段の滝を表現しています。
これまでの3つの庭は連続しており、蓬莱山の滝から流れ出た水が大河となり、大海へ流れていく様子を表現しているそう。何気なく見ていた枯山水庭園ですが、こんなストーリーが込められていたのですね!
日本最古の○○
庭園に面したこちら、一見すると特に見どころには感じませんが、実はなんと国宝に指定されています!
その凄さ、非常にわかりにくいのですが、日本最古の玄関であるそう。日常的に使用している玄関という言葉ですが、もともとは禅において「玄妙の道に入る關門(玄牝の関)」のことであり、禅宗の寺院に見られる出入口を指していました。明治以降、一般家屋の出入口にも使用されるようになったとのこと。
玄関が禅の言葉であり、そしてその最古が存在しているということが驚きです!
撮影不可でしたが、他にも「床の間」も日本最古であるそう。この方丈は、床の間が生まれた頃の建築とのことです。
訪問時はタイミング良く、お寺の方が解説してくれていました。わかりやすく流暢なトークで庭園が何を表現しているのかを教えてくれるので、知識が無くても解像度がぐっと上がります!
なお、以前は撮影禁止であったようですが、2024年11月より撮影可能となったようです。
アクセスと参拝情報
「京都」駅、もしくは地下鉄烏丸線「北大路」駅からバスに乗り「大徳寺前」バス停下車後、徒歩8分。
拝観時間 | 9:00~16:30 |
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料金 | 500円 |
公式サイト | https://daisen-in.net/ |
※掲載の情報は2025年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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