浄土宗の大本山である格式の高い寺院。広々とした境内と、高台ならではの風が心地良いお寺です。まるでアフロヘアのような阿弥陀如来像にも出会うことができます。
浄土宗の七大本山
法然を開祖とし、鎌倉時代に開かれた浄土宗。総本山である知恩院の他に、「七大本山」と呼ばれる7つの寺院があります。東京の増上寺、鎌倉の光明寺、長野の善光寺など、日本各地にある大本山。今回ご紹介する金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)も、その七大本山の一つ。通称「くろ谷さん」とも呼ばれる寺院です。
創建は承安5年(1175年)、法然によって開かれた草庵がルーツ。当初は念仏道場でしたが、堂宇が整えられ「紫雲山光明寺」に、その後「金戒光明寺」へと改められました。
江戸時代初期には幕府によって知恩院とともに城郭構造に改修されます。これは、幕府が京都に睨みをきかせるためであったそう。正門にあたる高麗門は、お寺というよりはお城のような面構えです。
立ち並ぶ伽藍
そびえ立つのは山門。万延元年(1860年)に完成したものであり、高さは約23m。巨大な姿で迫力があります。
山門のそばには勢至丸像が。勢至丸というのは、浄土宗の開祖である法然上人の幼名。岡山に生まれた勢至丸は、比叡山で学び、43歳にして浄土宗を開きます。
阿弥陀堂は、慶長10年(1605年)に豊臣秀頼により再建されたもので、阿弥陀如来像が安置されています。この像は腹中に彫刻で使われたノミが納められていることから、「おとめの如来」「ノミおさめ如来」とも称されているそう。
もともとは経蔵であったという納骨堂。2011年の法然上人八百年遠忌記念事業の大修理によって、納骨された骨でつくられた骨佛を本尊として安置しているそう。扉は閉ざされているため、御姿を見ることは叶わず。
こちらは鎧掛けの松。熊谷直実が法然を訪ねた際に、ここに鎧を掛けたという伝説が残されています。現在の松は3代目であるそう。
御影堂と文殊菩薩
本堂にあたる御影堂は、昭和19年(1944年)に再建されたもの。かなりの大きさです。
堂内では、本尊の阿弥陀如来坐像の他、様々な仏像を安置しております。特に見応えがあるのが運慶作と伝わる文殊菩薩像。渡海文殊形式の像であり、獅子にまたがる文殊菩薩を中心に、手綱を握る優填王、仏陀波利三蔵、最勝老人、善財童子と5体が並んでいます。善財童子は欠失しており、新調されたものであるそう。
安倍文殊院(奈良県桜井市)、大聖寺(山形県高畠町)、智恩寺(京都府宮津市)とともに、「日本三文殊」にも数えられています。4つあるのは気のせいです。
残念ながら堂内は撮影禁止。「渡海文殊形式の像」が気になる方は検索してみるか、安倍文殊院菩薩の記事をご覧ください。

そびえ立つ三重塔
石段の先にそびえ立つ三重塔。伊丹重好が江戸幕府2代将軍・徳川秀忠の菩提を弔うため、寛永10年(1633年)に建立したものです。
近年まで文殊菩薩と脇侍像を安置していたため文殊塔とも呼ばれています。現在、文殊菩薩は御影堂に移されているとのこと。きっと先ほどの渡海文殊が、当初はこの塔に安置されていたのですね。
この金戒光明寺は高台に建つ寺院。さらに三重塔は石段を上った先にあるため眺めが抜群!岡崎エリアを広く見渡せます。
新選組ゆかりの地
幕末の京都守護職に就いていた会津藩主・松平容保が本陣を構えた寺としても知られています。
その理由となったのが前述の幕府による改修。城郭構造であったため、防御性に優れておりました。また、御所や東海道にも近い立地もポイント。
そして、1,000名もの軍隊が駐屯できるように宿坊を明け渡したのが本陣として選ばれた由来であるそう。新選組も支配下においており、新選組の壬生の屯所と黒谷本陣との間では毎日報告・伝達が行われていたそうです。
現在、その面影を感じ取れるものはほぼありませんが、この広い境内にはかつて大勢の兵士が並んでいたのでしょうね。
話題のアフロ阿弥陀
三重塔に登る石段の左に静かに佇む像。こちらは五劫思惟阿弥陀如来石像。
どうしても目が行くのはその大きな頭。螺髪と呼ばれる髪の毛がびっしりとそろっており、大きく膨らんでいます。その姿から「アフロ阿弥陀」とも呼ばれているのです。
名称である「五劫(ごこう)」とは時の長さ。とにかく長い時間をかけて思惟をこらして修行をされた結果、髪の毛が伸びた様子を表しているそうです。
ちなみに五劫ってどれくらいの時間なのでしょうか?一説によると1劫=約43億2千万年とのこと。この像は五劫なので、その5倍。「5億年ボタン」もびっくりなスケール感でした!!!!
アクセスと参拝情報
開門時間 | 9:00~16:00 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.kurodani.jp/ |
※掲載の情報は2025年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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