三種の神器・草薙の剣を祀る神社『熱田神宮』(名古屋市・熱田区)

愛知県

神器を祀るために創建された、非常に長い歴史を持つ神社。剣のミュージアムやきしめんが楽しめる休憩広場もあり、参拝と合わせて様々な楽しみ方ができます。ところで「草薙剣」は見ることができるのでしょうか?

訪問日:2024/11/24(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

草薙剣を祀る神社

突然ですが「三種の神器」をご存知でしょうか。

「冷蔵庫・洗濯機・テレビ」ではありません。「カラーテレビ・クーラー・自家用車」でもありません。その界隈において重要な3つのアイテムを指して広く使用されるコトバですが、もともとは何を指すのか、即答できる方は意外と少ないかもしれません。

正解は「八咫鏡・八尺瓊勾玉・草薙剣」のこと。漢字が難しいですが、シンプルにするならば「鏡・玉・剣」。天皇の即位儀式において重要な役割を果たし、日本の神道においても特別な意味を持つものです。

その一つである草薙剣を祀る神社が熱田神宮素盞嗚尊(スサノオノミコト)がヤマタノオロチを退治したときにその尾から生まれたといわれている剣であり、創祀は景行天皇43年(西暦113年)とも伝わっています。

1900年以上も経った現代においても名古屋を代表する神社であり、美しい自然に包まれた境内は多くの参拝者で常ににぎわっています。

見どころの多い境内

参道沿いに生える大クス。弘法大師こと空海のお手植えと伝わる、樹齢1000年以上の巨木です。大きく枝を広げる姿が荘厳な存在感を放ちます。

南神池周辺はくさなぎ広場となっており、後述の「草薙館」や「宮きしめん」が並んでいます。舟が浮かぶ入り江のような雰囲気は、かつての海の玄関口「熱田湊」をイメージしているそうです。

こちらは佐久間 勝之が奉納した佐久間燈籠。高さは約8mと巨大な姿。京都・南禅寺の「佐久間灯籠」、東京・上野東照宮の「お化け灯籠」とともに、日本三大燈籠の一つに数えられています。

すぐに見えてくるのが本宮。玉垣に囲まれた奥には本殿も見ることができます。主祭神は熱田大神(あつたのおおかみ)。草薙神剣を御霊代・御神体としてよらせられる「天照大神」のことです。

他にも、織田信長が必勝祈願のお礼として築いたとされる「信長塀」や、江戸時代の絵図にも残る梅の古樹「ならずの梅」、多数の摂社・末社など見どころは多数。ゆっくりと時間をかけて歩きたくなる境内です。

神聖なこころの小径

本宮への参拝を終え、引き返してしまう方が多いですが見逃せないのが「こころの小径」。本宮をぐるりと囲むようにつくられた散策路で、以前は立入禁止となっていたエリアが開放されています。

開門は9:00〜16:00、そして写真撮影が禁止となっています!特に注意される感じでは無かったのですが、案内板にはしっかり記されていました。

この道沿いには、天照大御神の荒御魂を祀る「一之御前神社」、清らかな湧き水に美肌のご利益があるという「清水社」、五穀豊穣の神・大年神を祀る「御田神社」、草薙神剣を奉安した「土用殿」、吉備武彦命・大伴武日命を祀る「龍神社」と、見どころがたっぷり。本宮や授与所に比べると人も少なく落ち着いた雰囲気で、熱田神宮の神聖な空気をより強く感じることができます。

剣のミュージアム・草薙館

境内には「剣の宝庫 草薙館」というミニミュージアムがあります。令和の御大典事業として2021年10月に開館した新しい施設。貴重な日本刀、約450口を収蔵する刀剣専門展示館です。

基本的に展示室は写真撮影NG。ただし、一部体験コーナーに限り撮影可となっていました。こちらはホンモノの「脇差」を実際に持つことができるコーナー。全長70cmと短い刀ですが、なかなかの重さ。

ここの収蔵品の中でもひときわ目立っていたのが「真柄大太刀」。姉川の合戦で奮闘した武将、真柄直隆・ 直基父子の所持と伝わる大きな刀であり、刃長221.5cm、全長303cm、拵え総長340cm。真柄直隆自身が身長210cmという大男であり、それに見合った巨大な刀です。

そんな太刀のレプリカを実際に持ち上げられる体験コーナーも。その重量は約6kgと想像以上の重さ。これで戦うなんて、いったいどれほどの剛腕だったのでしょうか。

今回は時間の都合で省いてしまったのですが、こことは別に「宝物館」もあります。お時間に余裕がある方は、あわせて立ち寄ると、より理解が深められそうです。

絶品の宮きしめん

境内には「宮きしめん」というきしめん屋さんがあります。大正12年創業の老舗で、名古屋市内だけでなく、岐阜県や三重県にも出店しています。

メニューのバリエーションは豊か。「とろろきしめん」、「玉子とじきしめん」、「カツカレーきしめん」、えびの天ぷらがのった「金しゃちきしめん」、「ベーコンとほうれん草のカルボナーラ風きしめん」などなど。

私が選んだのは「白えびかき揚げきしめん」。太くてぷるぷるした麺、ふわふわのかきあげ、そして出汁が染みたシイタケがとっても美味でした!うっかり味噌カツも追加で頼んでしまいました。

他にも「宮ぜんざい」「宮まんじゅう」「宮ソフト」といった甘味もあり。参拝の休憩にぴったりのスポットです。

草薙剣は見られるの?

さて、そんなところで境内の散策もおしまい。そういえば、草薙館でスタッフさんにこんな質問をしている方を見かけました。

「三種の神器の1つ、草薙の剣はどこで見れるんですか?」

冒頭に書いた通り草薙剣を祀る神社であるため、ここに来れば見ることができると思いがちですが、この草薙剣は一般公開されていません。年に一度の公開、なんてこともありません。参拝者どころか神職の方ですら見ることは許されておらず、さらには天皇ですら見てはいないそう。

おそらく、現代に生きている人間で見たことがある人は存在していない代物。いったいどんな剣なのか、そもそも剣のカタチをしているのか、果たして存在しているのか・・・。いつか公開されることがあるのでしょうか。

アクセスと営業情報

●地下鉄名城線「熱田神宮西(神宮西)」駅下車、徒歩7分(本宮・西門)
●地下鉄名城線「熱田神宮伝馬町(伝馬町)」駅下車、徒歩7分(正門・南門)
●名鉄名古屋本線・常滑線「神宮前」駅下車、徒歩3分(東門)
●JR東海道本線「熱田」駅下車、徒歩8分(東門)

開門時間 24時間
料金 無料
公式サイト https://www.atsutajingu.or.jp/

※掲載の情報は2024年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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