古代より人々が暮らしていたことを物語る貝塚。ここの貝塚は文献にも登場しており、古くから遺跡として認識されていました。そんな史跡に加えて、ここには「ダイダラボウ」という巨人伝説も残っています。
文献にも残る貝塚
茨城県の水戸市にある大串貝塚は、縄文時代前期に形成された遺跡。貝殻や魚の骨、さらには加工した骨角器などが出土し、かつてこの地に多くの人が暮らしていたことを物語ります。
この貝塚は、奈良時代に編纂された「常陸国風土記」にも記録されており、文献に記された貝塚としては世界で最も古いとされています。1970年には国の史跡にも指定されました。
現在、貝塚の周辺は「大串貝塚ふれあい公園」として整備されています。また、園内には「埋蔵文化財センター」があり、ちょっとしたミュージアムも。ということで、まずはこちらから訪問してみますね!
縄文くらしの四季館
埋蔵文化財センター内にある縄文くらしの四季館は、古代にまつわる様々な物を展示したミニミュージアム。入館料は無料で、自由に見学することができます。
大串貝塚から出土した縄文土器。そしてその周りに敷き詰められているのは同じく出土した貝類。そのほとんどがヤマトシジミですが、マガキやハマグリもところどころに混じっています。他にもシカやイノシシなど獣の骨、クロダイやスズキなど魚の骨も見つかっています。
他にも、高天原遺跡より出土した縄文土器、大塚新地遺跡から出土した弥生土器など、周辺の遺跡からの出土品も並びます。
形象埴輪も多数展示。荷鞍坂遺跡より出土した水鳥型や飾り馬型の埴輪、北屋敷古墳より出土した武装男子型の埴輪など、ユニークなものも多く、見応えあります。
古代の香りを感じる園内
公園内には再現された古代の住居が並んでいます。一見すると同じに見えますが、それぞれ縄文住居、弥生住居、古墳時代住居と時代が異なっているのです。縄文住居と弥生住居は中に入ることもできました。
周囲には古代人の銅像も。生活の中の様々な動きで描かれており、当時の人々の暮らしがイメージしやすいです。
さらに園内を奥に進むと、貝層断面観覧施設があります。貝殻が積もった地層を見学できるのですが、施錠されておりました。
なお、ドアに記載された貼り紙には、「埋蔵文化財センターに電話すると係員が来て開錠する」との記載が。私一人のためにわざわざここまで来て空けてもらうのも申し訳ない気がしますので、今回はガラス窓から覗くだけにとどめておきました。
真っ白なダイダラボウ像
さてさて、この公園のシンボルといえばこちら!高さ15mにも及ぶダイダラボウ像!!東水戸道路などからも見えるため、「白い大きな像が気になっている」なんて話もよく耳にします。
この像は、常陸国風土記に記載された伝説の巨人をモチーフにしたもの。気になる記載ですが、要約するとこのような感じです。
どうやら、貝塚の形成にも関わっていたと記載されていたようです。
茨城県内には他にも多数のダイダラボウ伝説が残っており、「富士山と筑波山を天秤にかけて重さ比べした」「桜川や千波湖を造った」など、地形と関わるものもたくさんあります。
巨人像の内部へ
このダイダラボウ像、背中側に入口があり内部に入ることができます。
像内部にはちょっとした展示があります。この鏡張りの土偶の部屋は、壁に大きな土偶のレリーフがある不思議な空間。ライトがミステリアスな雰囲気で、ユニークな写真が撮れます。
この像は展望台となっていますが、残念ながら公開中止。スズメバチの巣が見つかったため、駆除完了まで閉鎖とのことです。
全国の巨人伝説
こちらの地図は日本全国に残る巨人伝説マップ。ダイダラボウ、ダイダラボッチという呼び名だけでなく、中国・四国地方のオオヒト、北海道のコタンカラカラムイ、鹿児島の弥五郎など、それぞれ様々な巨人伝説があります。
さらっと調べてみると、「巨人の足跡からできた池」「巨人がつくった山」などの伝説が日本各地にたっぷり。富士山も琵琶湖も巨人が造ったという話があるようです。さらに、「オオヒト」については「播磨国風土記」にも記載があったりします。
ここまで全国に広がっていると、実際に巨人がいたのでは、もしくは巨人伝説の元になる何かがあったのではと考えたくなりますね。
ちなみに、常陸国風土記のダイダラボウの記載には「尿穴径は二十余歩」というコトバも。これは、立小便によって空いた穴が直径20歩という大きさであったということらしい。わざわざ記録するようなことだったのかと思いますが、こんな情報をあえて記載するというのも逆に信憑性が高まるような気も・・・。
アクセスと営業情報
開園時間 | 24時間 ※巨人像、古代復元住居、埋蔵文化財センターは9:00~16:15 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.city.mito.lg.jp/site/education/4803.html |
※掲載の情報は2024年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント
[…] 最初に目に入るのはジオラマと巨人の絵。こちらは常陸国風土記にも記載されたダイダラボウ。海から遠く離れた地にあった大串貝塚の形成を考えて生み出されたといわれています。詳しくは前前前前回の大串貝塚の記事にて。 […]