喜多方市中心部から車で10分弱のところにある、深い歴史のある神社。境内には大きなイチョウの木や宝物殿などの見どころがあります。壁のない拝殿「長床」は、とても心落ち着くやすらぎスポットです。
熊野三山を祀る神社
喜多方市の中心から少しはずれたところにある新宮熊野神社。創建は平安時代後期にあたら1055年。源頼義が「前九年の役」の際に戦勝祈願のために熊野神社を勧進したのがはじまりと伝えられています。
続く「後三年の役」では、頼義の子である源義家が熊野新宮社・熊野本宮社・熊野那智社と熊野三山を遷座。後にこの三社が合祀され、現在の新宮熊野神社となりました。そのため、名前は「新宮熊野」ですが、新宮・本宮・那智宮の熊野三山を祀っている神社です。
・家都御子神(けつみこのかみ)
・熊野速玉大神(くまのはやたまおのかみ)
・熊野夫須美大神(くまのむすみのかみ)
神社ではありますが、地元の住民によって結成された新宮地区重要文化財保存会によって維持管理されています。そのため、拝観時間は決まっており、拝観料300円も必要となります。
清々しい空気の境内
大鳥居の先が拝観受付。木製でそんなに大きいわけではないのですが、なんだかとても重厚に見えます。日の光を浴びて金色に輝く注連縄(しめなわ)は、なんと約1トンもあるそうです。
参道には杉の巨木が並んでおり非常に美しい。歩いているだけで清々しい気持ちになります。
1611年の会津地震で被災、さらに明治時代初頭におこった仏教排斥運動・廃仏毀釈により多くの仏像が失われてしまいました。
境内の奥には本殿があるのですが、訪問した2018年11月は工事で立ち入り禁止でした。中央の「本社新宮証誠殿」、末社である「那智山飛龍権現」「本宮十二社権現」からなるそうです。
境内の見どころ
境内には枝を大きく広げた大イチョウがそびえ立っています。樹高は約37m、幹周りは8mで、樹齢は800年以上といわれています。
11月中旬~下旬くらいになると、真っ黄色に染まった姿を見せてくれるそうです。さらに、時期限定でライトアップも行われるとか。11月上旬に訪問したため紅葉にはちょっと早かったけど、黄緑色の葉は美しいです。
高さ132㎝という大きな銅鐘。貞和5年(1349年)に造られたものであり、福島県内で最も古いそうです。
「木造文殊菩薩騎獅像」や、修験道に用いられたとされる「銅鉢」などを安置する宝物殿もあります。こちらは拝観料でそのまま見学可能でした。
開放的な長床
さて、この新宮熊野神社に私が来た理由はこちらの長床(ながとこ)。
平安時代の寝殿造りを踏襲して建てられたこちらは、新宮熊野神社の拝殿。熊野信仰修験道に基づく特殊な建築であり、国の重要文化財にも指定されています。
この社殿、壁や戸がない吹き抜けの構造となっています。
ずらりと並ぶ柱の数は44本。薔薇の花だったら「不変の愛を誓う」本数ですが、柱の数にも意味があったりするのでしょうか。
スリッパに履き替えて、自由に上がることもできます。べたーっと座ってひと休み。何があるというわけではありませんが、不思議なほど落ち着く空間。ぜひ現地で体験してみたください。
アクセスと営業情報
JR磐越西線の喜多方駅から車で約10分。磐越自動車道の会津若松ICから車で約30分。
駐車場はそれほど台数が多くないため満車になることもあります。ただし、それほど長居する場所でもないので、回転はそこそこ。
拝観時間 | 8:30~17:00 ※12月~3月は土日祝日の9:00~16:00のみ |
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料金 | 300円 |
公式サイト | http://www.kitakata-kanko.jp/category/detail.php?id=60 |
※掲載の情報は2023年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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