伝統ある闘牛を実際に目の前で見ることができる牛の角突き。ここ新潟県の闘牛の特色は、なんと勝敗をつけないこと。といっても、全力でぶつかり合う牛を、いったいどうやって引き分けるのでしょうか。
毎月開催される闘牛
新潟県の山古志や小千谷では牛の角突きと呼ばれる『闘牛』を行っております。古来より伝統が続いており、国の重要無形民俗文化財にも指定されているそうです。沖縄、徳之島、隠岐の島、岩手、愛媛、そして新潟と全部で6ヵ所で行われている闘牛ですが、国の重要無形文化財に指定されているのはここだけとのことです。
現在闘牛が行われている闘牛場は「山古志闘牛場」と「小千谷闘牛場」。それぞれ開催日程がずれています。参考までに2023年の日程を貼ってみますね!
4月29日(祝・土)
5月4日(祝・木)、28日(日)
6月18日(日)
7月16日(日)
8月2日(水)、3日(木)、27日(日)
9月17日(日)
10月8日(日)、22日(日)
11月3日(祝・金)
5月3日(祝・水)
6月4日(日)
7月2日(日)
8月13日(日)
9月3日(日)
10月1日(日)
11月5日(日)
見ての通り、4~11月まで、毎月開催しております。2つの闘牛場の日程はずれているため、実質月に2回以上。想像以上に盛んに行われているようです。
闘牛スタート
今回はスケジュールの都合で山古志闘牛場へ。円形のスタジアムタイプで、まさにコロシアムといった雰囲気。全体を見渡しやすい2階席もあります。
13:00、ついに闘牛スタート!!最初に係の人の前説が入ります。闘牛の歴史や特徴などを、こなれたトークでとてもわかりやすく説明してくれます。
勢子(せこ=闘牛士)に引かれて牛がやってきました!序盤は小型の若い牛の取り組みから。向かい合った牛はガシガシと頭をぶつけて押し合います。
ポイントは「必ず引き分け」
膠着状態になるか、もしくはどちらかの牛の気持ちが少しでも折れたらそこで試合終了。頃合いを見計らって勢子が綱を引き、なんと止めに入ります!
山古志の闘牛は勝敗を付けない、引き分け闘牛。大切な牛を傷つけないための優しさを感じます。また、勝敗をつけないことで賭博になることもなく現代まで続いてきたそうです。
そんな引き分け闘牛ですが、ときには最初からまったく闘わない、なんてことも!
何度見合わせてもお互いくんくんしてしまい、一向にはじまりません。こんなときは無理やり戦わせるなんてことはなく、始まる前から試合終了。場内には笑いがあふれます。
大迫力の後半戦
後半になるにつれて、「歴戦の猛者」という言葉が相応しいような猛々しい大きな牛が出てきます。猛者たちは、闘牛場に入るやいなや、あふれる闘争心を抑えるかのように嘶き地面に体をぶつけています。
序盤は勢子が綱を引いて戦わせていましたが、後半戦では試合が始まるとなんと綱を外してしまいます。解き放たれた牛たちは、ときにフェンスに体をぶつけ、場内をかけめぐります。
取り組みも大迫力!互いに頭をぶつけあう牛たちの目は、びっくりするくらい真っ赤に血走っています!
勢子vs牛の戦い
後半に進むにつれて激しさを増していく闘牛ですが、それでも勝敗はつけず引き分けるというルールは継続されます。しかし、後半戦では前述の通り綱を外してしまいます。綱のない牛をどうやって止めるのでしょうか。
向き合った牛が膠着したら、まず足に綱をくくりつけます。10人以上の勢子たちが集まり、上手く二手に別れてその綱を引いて牛を別れさせます。
荒れ狂う牛に綱一本で立ち向かう姿はとても勇ましい。そして、その手際の見事なこと・・・!
スペインの闘牛は『人 vs 牛』ですが、ここ山古志の闘牛は『牛 vs 牛』、そして『それを全力で止める勢子』という不思議な構図。でも、それこそがこの闘牛の最大の見所なのです。
行ってみた感想
闘牛といってもそんなに激しくなさそう、と勝手に思い込んでいましたが、想像以上の迫力に大興奮!
牛といえば牧場で草を食べているか寝ているかのイメージしかありませんでしたが、こんなにも迫力ある動物だったなんて驚きです。そんな牛を綱だけで止める勢子たちの姿も素晴らしく、全体的に非常に見ごたえのある伝統文化でした。
もし長岡や小千谷へ訪れる予定の方、もしくは「大地の芸術祭」のエリアからも車で1時間程度なので、アートめぐりと合わせて訪れるのもおすすめです。
GWは大混雑で場所取りとか厳しそうかなと思っていましたが、途中で移動する人も多いため、遅れてきても意外と近くで見ることができます。万が一席がなくても、周辺の地形は闘牛場を囲むように高くなっているため「前の人がいて見えない・・・」なんてことは全くありませんでした。駐車場は満車でしたが、近くの臨時駐車場があり、歩いても5分程度。シャトルバスも運行していました。
なお、5月に訪れる予定の方は、とにかくケムンパスに注意!2階席がよく見えて良いかと思ったのですが、おびただしい数のケムンパスが足元や手すりに・・・見ているだけで痒くなってしまったので、1階席へ移動しました。
風に乗って飛んできたり、足元から登ってきたり、みんな体のどこかにケムンパスがついています。私はかなり注意していましたが、気づいたときには靴の上にいました。早めに気がついて良かった。
駐車場に戻り、車に乗る前にもう一度全身チェック。首に巻いていたストールを広げると・・・!!!
アクセスと営業情報
関越自動車道小千谷ICより約30分、長岡南越路スマートICより約25分。
長岡駅より有料のシャトルバスも出ています。長岡駅東口8番線11:20発→山古志闘牛場12:00着、運賃は片道900円とのことです。詳しくは公式HPなどでご確認ください。
開始時間 | 開場10:00 / 開始13:00 |
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料金 | 2,500円 |
公式サイト | https://niigata-kankou.or.jp/event/1985 |
※掲載の情報は2023年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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