地域に根差したコンパクトな水族館。小さな淡水魚がメインかと思いきや、ピラルクやゾウガメ、巨大なトカゲなど様々な生き物が飛び出す、非常にユニークな水族館。一般公開は非常に限定的なので、事前に確認してから訪問するのがおすすめです。
子どものための水族館
花園教会水族館は、その名の通り花園キリスト教会が管理する小さな水族館。観光施設というよりは、地域の子供たちのために作られた施設であるため、一般的な水族館とは異なる施設。
「生きた魚を見たことがないという」子どもの声から始まった水族館であり、子どもが気軽に遊びに来ることができる場所として大事な役割を担っています。
飼育されている生き物の世話も「花園ジョイフル子ども会」という近隣の子ども達が行っているそう。私が訪問した際も、建物の前のスペースで水槽掃除をしている子どもたちの姿が。中学生~高校生くらいに見えましたが、わいわいと楽しそうでとっても微笑ましいです。
開館時間に注意
この花園教会水族館、いつでも開館しているわけではありません。
まず、基本的にオープンしているのは土日のみ。さらに、時間帯は「14:00台・15:00台・16:00台」と3回入れ替え制。各回20名までなので、合計1日60名までしか見学することはできません。
事前予約は行っておらず、当日の13:30に入口の前に各回の整理券が設置されるというシステム。
こんな感じで入館チケットを自分で取っていきます。私が向かったときは、水槽掃除していた高校生が「見ていきますか?このチケットどうぞ!」と、入館チケットを手渡ししてくれました。
充実の解説
小型の水槽がびっしりと並ぶ館内。例えるならば、アクアリウムショップのような雰囲気です。
水槽のまわりには情報がたっぷり詰まった解説がびっしり。子ども向けかと思いきや、生体や分布に加えて人との関りなどもしっかりと書かれており、大人が読んでも勉強になります。
館長らしき大人のスタッフさんが常駐しており、あちこちで生き物の解説も行っております。また、水槽を眺めていると、飼育を行っている高校生くらいの子たちがすぐにいろいろと説明してくれます。内容はもちろんのこと、ホスピタリティの高さに驚きです。
バリエーション豊かな生き物
小さな水族館ですが、その飼育生物の幅は広い。
こちらはプロトプテルス・エチオピクス・エチオピクス。肺呼吸が可能なサカナで、いわゆる「肺魚」と呼ばれる種類です。
巨大なミミズみたいな生き物はミツユビアンフューマ。サカナでもヘビでもなく、実は両生類。よくみるとちっちゃなおててが生えており、さらによく見ると指が3つ。これが名前の由来となっています。
ピラルク、レッドテールキャット、ゴールデンオフスロネームスグラミーなど大型淡水魚が泳ぐ大きな水槽。14:00台の訪問だったので、ピラルクのエサやりが行われていました。ピラルクは水面に浮かぶエサを空気ごと飲み込むので、水しぶきが散る迫力ある捕食シーンでした。
ちなみに、15:00台はナイルモニター、16:00台はゾウガメと、それぞれの時間帯で異なる生き物のエサやりイベントが行われています。
アンバサダーのゾウガメ
館内を進んでいくと、突然現れるのはアルダブラゾウガメ!!
館内を放し飼いのような状態で飼育されているのです。
このゾウガメは、なんとおさわり自由!甲羅や脚だけでなく、なんと顔を触っても大丈夫。アゴを撫でてあげると、とっても気持ちよさそうな顔をしていました。また、スタッフさんが「甲羅を触る場合は白い筋を触ると喜びます」との情報も教えてくれました。
この水族館には、人に慣れて訓練されたアンバサダーと呼ばれる生き物がいます。このゾウガメもそんなアンバサダー生物のうちの一匹。訪れる人をふれあいを通してもてなしてくれています。
捨てられた生き物
館内に展示されている生き物の中には、ペットとして飼育されていたけど飼いきれなくなって預かったものや、捨てられて野に放たれてしまったものなど、訳アリな生き物も多数存在しています。
このサバクトゲオアガマもそんな生き物のうちの一匹。なんと、平野神社の境内から見つかったそうです。こんな生き物に神社で出会ったら、神の使いではと思ってしまいますね。
こちらのナイルモニターは1.4mにも及ぶ大きなトカゲ。その名の通りアフリカのナイル川に暮らす生き物ですが、なんと京都の鴨川、北大路大橋の下で見つかったそう。
このような捨てられた爬虫類は秋に見つかることが多いとのこと。もともとはアフリカなど温かい地域に暮らす生き物であるため、冬場はヒーターなどで電気代がかさむこと、さらに「どうせ冬を越せないから」と無責任に放たれてしまうそうです。
最近では、有栖川宮記念公園にて発見されたヨーロッパオオナマズも引き取り予定であったそう。残念ながら搬出作業中に息を引き取ってしまったそうですが、今後もきっと様々な生き物を受け入れていくのでしょうね。
行ってみた感想
大水槽や目を引くような仕掛けはありませんが、生き物との距離が近く、じっくりと生物と向き合うことができます。スタッフさんの解説もわかりやすく、色々と学ぶことがたくさん。日本各地の水族館めぐりをしていますが、改めて「生き物を知る楽しさ」を再確認できた気がしました。
本当に小さな水族館なので、最初は物足りないかな?と思ったのですが、得るものが多いため満足度は非常に高いです。近くへ訪れた際にはぜひとも立ち寄ってほしい場所です。
なお、入館料は無料ですが、入り口には寄付ボックスがあります。物凄く楽しめたので、ささやかながら寄付させていただきました。
アクセスと見学情報
JR山陰線(嵯峨野線)の花園駅より徒歩約10分、地下鉄東西線の太秦天神川駅より徒歩15分ほど。
見学時間 | 14:00/15:00/16:00 |
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休館日 | 平日 ※一般公開は土日のみ |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.kyotohanasui.com/ |
※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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