阿部丘陵古墳めぐり 文殊院西古墳・艸墓古墳・コロコロ山古墳(桜井市)

奈良県
訪問日:2021/9/18(土)

非常に多くの古墳が残されている奈良県。色鮮やかな壁画が見つかった「高松塚古墳」や四神が描かれている「キトラ古墳」、巨大な石室が露出した「石舞台古墳」など、観光スポットとして人気な古墳も多く存在しています。

そんなメジャー古墳とは別に、Google Mapを見ていると聞いたことも無いような名前の古墳がどんどん見つかります。
有名どころはある程度訪問済みなので、今回は少しマニアックな古墳にも行ってみよう!ということで、安倍文殊院境内とそのまわり「阿部丘陵」における5つの古墳をめぐってみることにしました。

①文殊院西古墳

安倍文珠院の境内にあるため、アクセスは簡単な西古墳。飛鳥時代に造立されたもので、石舞台古墳、キトラ古墳、高松塚古墳と同じく国の特別史跡に指定されています。

石室内に入ることができるのですが、驚くべきは石の加工技術。花崗岩によって組まれた石の壁は、まるで機械を使ったかのように整然と切りそろえられています。

さらに、玄室の天井部分は15㎡にも及ぶ巨大な一枚岩でできています。これだけの巨石を上手く組み合わせるのは、かなり熟練した技術が必要だったのではないでしょう。

この立派な古墳は、安倍文珠院を開いたとされる安倍倉梯麻呂の墓といわれています。

②文殊院東古墳

さらに文殊院の境内にはもう一基、東古墳と呼ばれる古墳もあります。こちらは中に入ることはできないため、外から眺めるタイプ。

外から見る限りですが、石室の石は加工されていないように見えます。きっとこの古墳が造立されたのは、まだ石材の加工技術が確立する前。先ほどの西古墳より古い物と考えるのが良さそうです。

内部には水が湧き出る泉があったため、「閼伽井(あかい)の窟」とも呼ばれていたそう。ここから流れる水は、法要の際に使用され、信仰の対象でもあったらしいです。

③艸墓古墳

さて、ここからは文殊院の境内を飛び出して周辺の街中に眠る古墳めぐりへ!

まずは文殊院から300mほどのところにある艸墓古墳へ。「艸」という顔文字でしか見たことないような漢字がインパクトある名前、こちらは艸墓(くさはか)と読みます。7世紀中頃に造られたと考えられており、別名カラト古墳とも呼ばれています。

住宅地の中にあるのですが、そもそも道路に面していません。そのため、住宅街の家と家の間を進みます。一応、小さな案内板(写真左上)は出ていました。

さらに、矢印はこんなわずかな隙間へ。通路とも呼べないような塀の脇を通り抜けていきます。

境界線がはっきりとわかりませんが、おそらく私有地の中。民家のテレビ音が聞こえる中、不審者と思われないかヒヤヒヤ。

さて、そんな隙間を進んだ先にあるのが艸墓古墳。方墳と呼ばれる四角形の古墳で、大きさは27m×21mほど。もっと引きで写真に撮りたかったのですが、民家に囲まれているためこれが限界でした。

石室の内部に入ることもできます。真っ暗で天井もかなり低いため、頭をぶつけないようにご注意。

約8mの羨道を進んで行くと、突き当りの玄室には石棺が残されています。入り口に比べてかなり大きめの石棺。後から入れるのは難しそうなので、最初に石棺を置いたのち石室を造営したと考えるのが自然です。

④コロコロ山古墳

続いて向かうのは、艸墓古墳から600mほどのところにあるコロコロ山古墳。コロコロ山という、ユーモラスな名前が気になって訪問してみましたが、こちらもやっぱり住宅街にあります。といっても、先程の艸墓古墳とは異なり、道に面しているのでアクセスは容易。

そう思って歩いていたのですが、それっぽいものが見つかりません。地図を確認すると、どうやらこのフェンスで囲まれた区画が古墳のようです。墳丘があると考えていたのですが、草むらにしか見えません。

入り口は施錠されていないため、自由に開けることができます(たぶん)。中身はかなり藪が茂っており、入るのを躊躇います。登山用の服装ならまだしも今日はひらひらした普段着。迷ったのですが、距離は短いし、せっかくここまで来たので入ってみることにしました!

草をかきわけて進むと、すぐに見えてくる石室。内部は草も無くキレイな空間。ちょっとした藪漕ぎの後なのでとっても落ち着きます。天井はもの凄くきれいに揃えられた石・・・と思いきやよく見るとコンクリート!

このコロコロ山古墳は、もともと一辺30mにも及ぶ大型の方墳でした。1984年に発見され、翌年に発掘調査が行われます。1987年に石室をこの場所へ移築、その際に失われていた天井石の代わりにコンクリートによる補強がなされました。

古墳から戻ると、服には草の種がびっしり!こちらはヌスビトハギという植物で、かなりしっかりと衣類にくっつきます。化学繊維ならば割と簡単に撮れるのですが、綿100%でしかも形状が複雑な服で来てしまったので困難を究めます。全部取り外すのに恐ろしいほど時間がかかりました・・・。

⑤谷首古墳

古墳めぐりのラストは谷首古墳。艸墓古墳、コロコロ山古墳と同様に7世紀前期~中期頃に造立されたと考えられている方墳です。

こちらも住宅街にありますが、道路沿いのため見つけるのはかんたんでした。

なのですが・・・

真っ暗な森!!

日も暮れてきたまっくらクライクライな森に入るのはかなりコワイ。ライトも無ければ、服装も種まみれな普段着。なんといっても今日は9日間の旅の初日なので無理は禁物です。

ということで、これにて探索は終了。

壱岐に行ったときも感じたのですが、古墳めぐりって想像以上にハード!ちょっと立ち寄るにしても、ある程度動きやすい服装や虫対策などは必須です。また、そもそも場所がよくわからない・・・なんてことも多々あります。

 

そしてたぶんですが、夏よりもの方が良さそうです。

アクセスと見学所要時間

今回めぐった古墳は、いずれも駐車場はありません。私は安倍文殊院に参拝後、そのまま停めさせていただいて徒歩でめぐりました。

まちなかの古墳はそれぞれ24時間見学自由なため早朝や夕方の訪問でも大丈夫ですが、安倍文珠院は駐車場を含めて9:00~17:00と決まっているのでご注意ください。

見学所要時間は、安倍文珠院の参拝+西古墳+東古墳で40分程度、文殊院の外の3つの古墳で40分程度。さらっとめぐるならば、【1時間30分】ほどみておけば余裕かと思います。

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