人体をかたどった金属製のプレートが多数奉納されている、独特な信仰を持つ寺院。ぶら下げられた腕や下半身は、他では見かけない少し異様な光景です。写真では少し不気味に感じますが、実際に行ってみたところ少し印象が変わりました。
木立に包まれた境内
花輪駅近くに車を停めて、民家の間の参道を抜けていきます。「奉納」と刻まれている2本の石の柱が目印です。(※アクセス情報は最後にまとめてあります)
すぐに見えてくる本堂。須弥壇には不動明王の掛軸が安置されています。真言も記されていたので、おそらく真言宗の寺院なのでしょう。
苔むした境内は静寂に包まれている・・・と言いたいところですが、ちょうど真上を国道122号線が通っており、車の音が鳴り響きます。
堂内で何か作業を行っていたような、人が集まっていた形跡がありました。お昼時の訪問だったので、ちょうど昼休みだったのかもしれません。
手すりのヒトガタ
目的のヒトガタがあるのは、本堂右手にのびている階段の先。特に案内などはありませんので、知らないと見過ごしてしまいそう。
すぐにたくさんのヒトガタが見えてきました。びしっりと吊り下げられた表情の無いヒトガタは、なんとも不思議な光景です。日中の訪問であったこと、そして境内が手入れされていたためあまり不気味には感じませんでしたが、もし山の中などで偶然見つけたらかなりコワイのでは。
ヒトガタは金属のトタンをくり抜いて作られており、その数はおよそ100枚。テープで結ばれているように見えますが、その部分も細長く切られた金属でできています。
独自の信仰
ヒトガタと勝手に呼んでおりますが、実際には人のカタチだけでなく、様々なモチーフが存在しています。
手、足、下半身といった体のパーツもたくさん。なにか厄除けを祈願して奉納されているのでしょうか。体の部位だと「病気平癒」が考えられますが、本来なら病気になりにくいはずの手足が多いのが少しひっかかります。
こちらは傘と草履。旅を連想させる組み合わせです。
通常、こういった奉納品には奉納者の名前や日付、祈願する内容が書かれているのですが、特に何の記載もありません。また、神社の絵馬をかける「絵馬掛所」のように、専用の場所が設けられていることが多いですが、なぜ石段の手すりなのか。謎は深まります。
滝と不動明王
さらに進むと、5mほどの滝が見えてきます。勢いよく流れており、ジャバジャバとした爽やかな音と水しぶきがとても心地よいです。
その傍らには、厳しい表情をした不動明王の姿。お供物が新しく、近くには掃除道具もおいてあるため、地元の人に信仰されている様子を感じ取ることができます。
よくみると傘を被っているのが特徴的。もしかして、先程ぶら下げられていた傘と関係があるのではないでしょうか。
草木に包まれた剣
不動明王様の周辺には、ヒトガタ同様に金属製の剣も奉納されています。不動明王は魔を退散させ煩悩を断ち切るために「三鈷剣(さんこけん)」という剣を手にしているため、それを模って作られているのでしょう。
一枚板であったヒトガタと比べると、立体的に作られています。メッキ加工されたものもあり、木漏れ日が射し込むとキラリと輝く。草木に包まれた姿は異様なほどかっこいいです。
こちらには奉納者の名前が記されているものもありました。消えかかっているものもあったので、もしかしたらヒトガタにも記されていたけど月日が経ち消えてしまったのかもしれません。
要注意のアクセス
Google Mapで見ると国道122号線沿いにマークされているため、「アクセスは簡単そう!走っていれば案内板くらいあるはず」・・・そう思っていたのですが、一向に見つからず気づけば通り過ぎていました。
実は藤瀧不動尊は国道122号線の高架の下にあります。そのため、122号線から外れて花輪駅方面に降りて行く必要があるのです。
こちらのGoogle Mapで示した場所に駐車スペースがあったので、そこから歩いて向かいました。
国道122号線は交通量が多いため、「途中で停車して地図を確認する」といった行動がとりにくいです。また、Uターンポイントが少なく、通り過ぎた場合は引き返すのも困難。事前に地図を確認しておくのがおすすめです!
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