日本全国に9,000以上あるという駅(軌道含む)。そんな中で最東端に位置する駅は、北海道東部を走る根室本線上にあります。 観光スポットとしてにぎわっているのか、それとも最果てのような駅なのか、いったいどのような駅なのでしょうか?
車で向かう東根室駅
邪道かとは思いますが、私は車で駅舎めぐりをするのが好きです。もちろん、本来は電車で降り立つべきだとは思っていますが、鉄道に詳しくない私にとって駅舎というのは、まず外観から楽しみたいもの。そして、時刻表に縛られずに滞在したいという理由もあります。そんなわけで、車旅でふらっと立ち寄るのが好きなのです。
『目的地:駅』これってとっても行きやすい。ナビで出てこないなんてことはないし、近くに行けば交差点に案内板があるので目的地として迷うことはありません。普通は。
今回の目的地である東根室駅へ向かうため、ナビに沿って進むと路地裏へと導かれます。そこには車用の案内板も何もありません。
普通の駅なら交差点などに「○○駅入口」などの表示があるのですが、ここでは見つかりません。
もしかしてナビが変なとこさしてるのかも・・・疑いつつも、とりあえずナビに従って進みます。次の瞬間、目を疑う光景が!!
想像以上に何もない!
こ、これが駅!?
駅舎がない!待合所もない!建物と呼べるものが何もない!普通に駅舎とかあるタイプの駅を想像していたのでびっくりしました。
周辺には売店やコンビニはおろか、一軒も店が見当たりません。この雰囲気は「秘境駅」と呼びたくなりますが、市街地にあるためそこまでの寂しさはありません。
例えるなら、梅まつりのシーズンのみ利用される偕楽園駅や、体育祭限定の仁愛グランド前駅のような、イベントのときだけ電車が停車する「臨時駅」タイプの姿。
開放的なウッドデッキ
ホームは木製のウッドデッキ。道路よりも一段高いところにあるため、なかなか爽快です。日当たりが良くて日向ぼっこしたくなるシチュエーション。レジャーシート引いてお弁当食べたら怒られますかね・・・?
木の電柱には、錆び付いた看板。まるで昭和にタイムスリップしたようなノスタルジックな雰囲気です。
控えめな最東端アピール
駅のインパクトに負けてすっかり忘れていましたが、ここは日本で最東端というちょっと特別な駅。何かそれを示すものはあったりするのでしょうか。
ホームを歩いていると、手書きの最東端のプレートを発見しました。非常にシンプルな掲示です。
駅前に戻ってみると、そこには大きな記念碑が立っていました。
もっと何か派手なオブジェやフォトスポットがあるかなと思ったのですが、見ての通りかなり地味です。
とはいえ、何があろうとなかろうと最東端であることには変わりありません。もうそれだけで充分です。
かつての最東端・根室駅
東根室駅は最東端ではありますが、実は終点ではありません。根室本線(花咲線)は弧を描いているため、終点は次の根室駅なのです。
というわけで、根室駅へとやってきました。
東根室駅とは異なり、ちゃんとした駅舎があり、人も多い。隣接のインフォメーションセンターでは、「最東端駅 東根室到達証明書」をもらうこともできます。
実はかつては、この根室駅が最東端の駅でした。その後、根室拓殖鉄道という、根室駅からさらに東へ延びる鉄道が開業し、その終点となる歯舞(はばまい)駅にその座を譲ることとなります。
その後、1959年に根室拓殖鉄道は廃止となり、再び最東端の称号が戻ってきます。ところが、1961年に新しく東根室駅が開業。これによって、またしても最東端を譲ることになったのでした。
おまけ:他のはじっこ駅はどこ?
東根室駅が最東端と書きましたが、西・北・南のはじっこの駅は何でしょうか?せっかくなのでまとめてみました。
最東端ー東根室駅(北海道)
最西端ー那覇空港駅(沖縄県)
最南端ー赤嶺駅(沖縄県)
最北端ー稚内駅(北海道)
果ての駅ときくと辺境の地をイメージしがちですが、意外とそうではありません。最西端の那覇空港駅は、言うまでも無く空港直結の駅。地元民はもちろん、観光客の利用も多いため、非常ににぎわっています。
最南端の赤嶺駅は、那覇空港駅と同じく沖縄唯一の鉄道路線「ゆいレール」の駅。国際通りにつながる県庁前駅や牧志駅、首里城のある首里駅と比べると少々地味ですが、それでも市街地にあるため多くの人が利用しています。
最北端の稚内駅は宗谷本線の終点であり、稚内市の拠点として機能しています。「キタカラ」という複合施設を併設しており、飲食店やコンビニ、映画館まで入っています。さらに、鉄道駅だけでなく、バスターミナル、みなとオアシス、道の駅も併設という盛りだくさんなラインナップ
これらに比べると、東根室駅の何も無さは群を抜いています。ついつい「もっとがんばって!」と思ってしまいそうですが、それは勝手に比較して感じているだけなので、それを押し付けるのは野暮かもしれません。
北海道内では廃止となる駅が増えているので少々不安ではありますが、この先も最東端の駅として地元の方を支える駅であり続けてほしいものです。
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