因島の土生港からニューうおしま2に乗り、たどりついた高井神島(たかいかみしま)。港の直ぐ側に広がる集落には、色とりどりな壁画がたくさん!そこに描かれているのはいずれも漫画のキャラクター。いったいなぜこんな壁画があるのでしょうか?
漫画アートの島
魚島群島に属する高井神島の集落は、他の島とはちょっと異なっています。
港のそばに立ち並ぶ家屋、その壁にはカラフルなアートが描かれています。静かな離島の集落であるのに、とっても華やかな印象。
よく見ると、描かれているのは全てマンガのキャラクター。往年の名作から、若手漫画家の作品まで、その数は約30点。幅広い世代が楽しめるラインナップがそろっています。
多彩なキャラクター
このざわざわしているイラスト、なんでしたっけ!?そんなときはGoogle Pixelの必殺技『囲って検索』ですぐに判明します!福本伸行さんの『賭博黙示録カイジ』でした!
カイジの隣は、ホラー漫画界の巨匠といわれる御茶漬海苔さんの『魔夜子ちゃん』。実はここは「なたおれの木」という民宿でもあります。
『キャンディ・キャンディ』などで知られるいがらしゆみこさん。描かれているのはキャンディス・ホワイト・アードレーかと思いきや、実は『いがらしゆみこ美術館』のキャラクター、ローズちゃんであるそう。
浜田ブリトニーさんの『パギャル』も登場します。ポップな色彩と躍動感あふれる姿で、明るい気持ちになれます。
集落から少し離れたタンクに描かれているのは、細野不二彦さんの『Gu-Guガンモ』。実は先日のライブ配信でなぜかこの作品の話題になり、キャラをよく知らずに困っていたところ、島に詳しい百島さんが「高井神島にもいるよ」と教えてくれたんです。慌ててカメラフォルダを見返すと、知らないうちにその絵を撮っていたという、ちょっとした偶然のエピソードがありました。コーヒーを飲むと酔っぱらうのですよね?
マンガっぽくないテイストの絵をみつけました。こちらは岸田尚さんの作品。大正~昭和初期の洋画家・岸田劉生を大祖父に持つ画家であり、画家・漫画家・小説家など、様々な活動をされています。
イラスト壁画の由来
なぜんこんなにもイラスト壁画があるのでしょうか?きっと皆さま気になってきているハズ!
このイラスト壁画に関わるのは、島の自治会長である木村定さん。人口減少で無人島になるのを防ぐため島に訪れる人を増やしたいと、友人である長谷部理さんに相談します。
長谷部さんは、知人の漫画家・山田貴敏さんに相談したところ、代表作である『Dr.コトー診療所』の原画が無償で提供されます。これを公民館に描いたのが最初であるそう。
その後、他の漫画家にも連絡、趣旨に賛同いただけたら原画をいただき、次々と壁画に仕上げています。過去に島に訪問された方の写真と見比べてみると、新しいものが増えているのがわかって面白いです!
なお、島内のイラスト壁画の中には、浜田ブリトニーさんによって描かれた、長谷部さんの壁画も。
恐るべき再現力
どうしても気になるのが、いったいどのようにして描いているのかということ。原案は漫画家さんからいただいたとしても、それを壁に再現するというのは非常に高度なテクニックが必要な作業のハズ。
機械を使った印刷かと思いきや、看板屋さんによる手作業とのこと。キャラクターって、少しバランスが変わるだけで別ものになってしまうというのに、どれを見ても違和感がありません。建物の壁は平面とは限らないのですが、それも上手く考慮されて見事に再現されています。

トタンも窓枠もものともせずに描かれている、森下裕美さんの『少年アシベ』。
あざやかな色彩も再現されています。山口しずかさんのグラデーションがかった鮮やかなイラストも、雰囲気そのままに再現されています!
路地裏の漫画神社
集落の細い路地を進むと、小さな神社が姿を現します。こちらは漫画神社。
鳥居や社とともに、壁に貼られているのはイラスト壁画の原画。さきほど撮影した写真と見比べてみても、ほぼ完璧に再現されています。
貼られている写真などを眺めていると『浜田ブリトニー先生と看板屋おやじ』と書かれているものが。もしかして、こちらがイラスト壁画職人の方でしょうか!?
ひと通りイラスト壁画を楽しんだので、このあとはもう少し島の奥へと進んでみることしました!
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