東京国立博物館④ フルボリュームなアジア美術『東洋館』(台東区・上野)

東京都(23区)

アジアの美術品を中心に扱ったミュージアム。中国の陶磁器やインドの石仏、エジプトのミイラから東南アジアの仮面まで、様々な国の展示が盛りだくさん。地下にはミュージアムシアターまで備えているため、時間に余裕を持って訪問したい博物館です。

訪問日:2023/1/9(月) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

多層的なミュージアム

東京国立博物館の一角にそびえる東洋館。装飾は少なくシンプルな外観ですが、重厚な雰囲気の建築物。

館内は5階建てで13もの展示室が並びます。スキップフロアが組み上がっており、立体的な構造。窓などはほとんどありませんが、閉塞感が抑えられた仕上がりです。

建築を担当したのは谷口吉郎。金沢出身の建築家で、東京国立近代美術館や石川県美術館など数多くの建築作品を残しています。同じく東京国立博物館の一つである法隆寺宝物館を設計した谷口吉生の父にあたります。

フルボリュームなアジア美術

東洋館は、別名アジアギャラリーとも呼ばれており、その名の通り東洋美術を中心に展示したミュージアム。中国、インド、朝鮮半島からエジプトにいたるまで膨大な展示が楽しめます。

中国の仏像コーナーには6〜8世紀の石仏・金銅仏がずらり。高さ3mに及ぶ観音菩薩立像や、ずらりと並んだ宝慶寺石仏群など、日本の仏像のルーツともいえる作品が並びます。

ガンダーラの菩薩像など、インドの彫刻も多数展示されています。日本や中国の仏像とは服装や装飾具、さらに顔立ちや体つきが異なっているのが面白いです。

中国の青銅器・絵画・書物、朝鮮の陶磁、 東南アジアの金銅像やインド北西部からトルコにかけての西アジア遊牧民の染め物なども。幅広くアジアを網羅した展示品、じっくり見ていたら時間がいくらあっても足りません。

個性的な作品群

イラン北西部の『多彩釉画像タイル』。王宮など特別な建物の壁を飾っていたと考えられているタイル。描かれているのは、人の顔をしているけれど体は普通の人間とは少し異なった生物。神様のようですが、詳しい記載は見つからずです。

2つ並んだ石像は『セクメト女神像』。雌ライオンの頭部を持ったエジプトの神様・セクメト。癒やしをもたらす女神であるため、安らぎを感じる柔和な表情を浮かべています。

多くの人の注目を集めるのは明治37年にエジプト考古庁より寄贈されたという『パシェリエンプタハのミイラ』。容器部分が開かれており、内部のミイラの姿をじっくりと観察できます。目や鼻にぽっかり空いた黒い穴は、ずっと眺めていると吸い込まれてしまいそうです。

色鮮やかな獣は『三彩鎮墓獣』。中国において墓を守る獣で、翼、ヒヅメ、角、タテガミと様々な動物がミックスされたデザインをしています。鎮墓獣の造形は定まっているわけではなく、様々なデザインがあるようです。

カンボジアの『ガネーシャ坐像』。ヒンドゥー教のシヴァ神の子で、象の頭をした姿が知名度の高い神様。あらゆる障害を除く神様として信仰されているそうです、

メラネシア、ビスマルク諸島の『仮面』。頭部にびっしりと刺さった小枝が呪術的に見えます。

たのしい占いコーナー

館内の一角に唐突に現れる占いコーナー。アジア各国の占いについて展示されているエリアですが、実際にその占いを体験することもできます。

モンゴルのシャガイ占いは、ヤギなどのくるぶしの骨4つを振って、出た目で占うというもの。サイコロと違い、骨はどの面なのか判断が難しい・・・!

エジプト、中国、メソポタミアの夢占い。ベッドに置かれたクッションにはいろいろな夢が描かれており、ひっくり返すとその結果が見れます。試しにうっすらと記憶のある「鳥を捕まえる夢」をめくってみたところ、「財産が持ち去られるだろう」とのこと。身の危険を感じます。

2つの占いで良い結果が出なかった人のためのラッキーアイテムとして、エンボススタンプも用意されています。ガネーシャ、スカラベなど縁起の良さそうなスタンプです。

ミュージアムシアター

地下一階にはミュージアムシアターが設置されています。鑑賞するには別料金600円でチケット購入が必要。チケットはシアター入口に自動券売機があります。

2023年1月2日(月)〜3月5日(日)の期間は『鳥獣戯画 超入門!』。11:00〜16:00まで毎時00分、平日は12:00〜16:00までの毎時00分に上映。時間は約35分。

鎌倉時代に描かれた絵巻物、鳥獣戯画。甲乙丙丁の4部に分かれた中で甲巻を中心とした映像作品を見ることができます。擬人化された様々な動物のストーリー、うちわを使った参加型クイズなどもあり、大人から子供まで非常に楽しめる内容でした。

見学所要時間と行ってみた感想

今回は閉館時間前に2時間ほど滞在したのですが、シアター35分を含めて全ては見切れませんでした。

とにかく様々な国の様々なジャンルの美術品が並んでおり、世界をめぐっているような気持ちになれます。とはいえ、全てに解説があるわけではないので、全く知識が無い国・ジャンルだとさらっと通り過ぎることになりそうです。全て見ようとはせず、なんとなく気になったモノだけを摘まむように見て行くのが良さそうだと感じました。

東京国立博物館は、基本的に全館共通チケット。そのため、一回で多くの建物をめぐった方がおトクになります。しかし、この東洋館と本館は展示が多すぎます!!

見学時間はもちろん、あまりたくさんの展示を見ると、脳がパンクしてしまうかもしれません。無理に全館めぐりしようとせず、この2館は別日にして、それぞれ+αで法隆寺宝物館や平成館、表慶館を見るのが良さそうです。

アクセスと営業情報

JR上野駅公園口、または鶯谷駅南口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅からは徒歩15分。

開館時間 9:30~17:00 ※金土に行われていた夜間開館は2023年1月時点では中止となっています
休館日 月曜 ※祝日の場合は翌日
料金 1,000円
公式サイト https://www.tnm.jp/

※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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