琉球王国最高の聖地とされるパワースポット。そこに社殿のようなものは無く、大きな岩と生い茂る木が生えるだけの空間が広がります。それにも関わらず多くの人々を吸い寄せる、不思議な力を持った場所です。
琉球最高の御嶽
御嶽(うたき)というのは沖縄に存在する聖地。琉球神話の神が降臨、または存在している場所です。
沖縄本島や離島など、各地で見ることができる御嶽ですが、その中でも斎場御嶽(せーふぁーうたき)は琉球王国最高の聖地とされています。2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として、首里城跡や今帰仁城跡とともに世界遺産にも登録されました。
基本的に御嶽という場所は観光地化されていません。神社やお寺と違って、社殿などは無くそこにあるのは鳥居と香炉だけ。信仰の無い観光客が見に行っても何か得られることは少なく、わざわざ足を運ぶことはないのでしょう。
ところが、この斎場御嶽は観光客であふれています。バスツアーにもよく組み込まれるほどメジャーなスポットで、沖縄本島を代表する観光地の一つとしてかなりの知名度を得ています。
最高の御嶽ときくと一般人は入ることができないのではと考えてしまいますが、ここは誰でも訪れることができます。かつては国王ですら入ることのできない男子禁制でもあった場所ですが、何だか不思議です。
斎場御嶽への道のり
駐車場となっている南城市地域物産館から受付までは10分ほどの道のり。両サイドにはカフェやパーラー、おみやげ物屋さんが並んでいます。
受付を済ませると、まず最初はビデオによる解説からスタート。とてもわかりやすく解説している映像なので、何も知らずに訪れても、その価値を何となく理解することができます。
300円で参加できる予約不要の定時ガイドツアーも開催されています。土日祝日限定で1時間に1回ほどのスケジュールとなっているので、参加予定の方は事前にHPにて確認してから向かうのが良さそうです。
何もない聖地
木が生い茂る道を進みます。石畳が敷いてありますが、なかなか傾斜があります。少し歩きにくい箇所もあるので、スニーカーなどの歩きやすい靴の方が安心かと思います。
こちらは寄満(ゆいんち)。「台所」を意味するそうですが、料理をしたわけではなく、様々な交易品が集まるところという意味合いだそうです。
このように斎場御嶽は、神社やお寺と異なり建築や像など見て楽しめるものはほとんどありません。そこにあるのは木々と岩、そして小さな香炉があるのみ。そんな場所ですが、訪れる人は後を経ちません。「最高のパワースポット」という触れ込みに吸い寄せられているのでしょうか。
戦争の傷跡
歩いていると、小さな池を見つけました。この池も何か神聖な場所かと思いきや、こちらは艦砲穴。その名の通り砲弾によりできた穴なのです。
第二次世界大戦で甚大な被害を受けた沖縄県、「鉄の暴風」と言われるほど激しい攻撃が各地に繰り広げられます。聖地である斎場御嶽も例外ではありません。
終戦直後は、様々な場所にこのような艦砲穴がありましたが、ほとんどは埋められます。この斎場御嶽では、後世にその被害を伝えるための戦争遺跡としてあえて残しているそうです。
負の遺産とも呼べる傷跡ですが、木々に覆われた池は皮肉にも神秘的な水たまりに見えます。
三角岩と三庫理
さてさて、斎場御嶽を代表する光景といえばこちらの三角岩。切込みをいれたかのように斜めに入った割れ目からは太陽の光が射し込み、神秘的な姿を見せます。
森と岩で構成された斎場御嶽において、唯一のシンボルとも呼べる存在感。皆ゆずりあったり、割り込んだりしながら岩の前でポーズを決めて写真を撮っています。とりあえず斎場御嶽に来たという写真を撮りたい人は、ここが一番わかりやすいポイント。人気の撮影スポットとなっています。
三角岩を抜けた先、三庫理(さんぐーい)にあるのがチョウノハナという拝所。社殿や祠があることはなく、やはり香炉が置かれているだけ。
ここからは琉球の創世神が降り立ったといわれる聖なる島・久高島(くだかじま)を望むことができます。
よし、ここまで来たら久高島へ行ってみよう!!!
アクセスと営業情報
斎場御嶽は沖縄県南部の南城市にあり、那覇市内中心部から車で約40分ほど。
南城市地域物産館が駐車場&入場券の販売所となっています。カーナビで「斎場御嶽」と入れると、直接斎場御嶽前の駐車場まで案内されますが、そこまで進んでも駐車できずに折り返すことになるのでご注意ください。
開館時間 | 3~10月:9:00~18:00 11~2月:9:00~17:30 |
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休館日 | 無休 ※年に2回休息日あり |
料金 | 300円 |
公式サイト | https://okinawa-nanjo.jp/sefa/ |
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